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生まれて初めて、ヨガクラスに参加した日(マガジン2)


一話「海外で日本人一人のヨガのティーチャートレーニングに行くと決めたから読む人はこちら


これは、私が初めて入ったクラスの話です。

その頃の私は、ヨガは一回もやったことがなく、運動も全くしていませんでした。

***

ある日、フランス人のDさんから誘われました。

「エイミー、私はヨガのクラスを始めたのよ。小さいクラスで、友達だけ誘ってるの。来てみない?」


きくと、ティーチャートレーニングから戻ってきてすぐのDさんは、友達に教えて経験をつみたいのだそう。


断る理由もなかったので、お試しだけ、と行くことにしました。

この時は、続けるつもりなんてありませんでした。ヨガをやりたいと強く思っていた訳でもありません。せっかく誘ってくれたのだから、断るのは申し訳ないと思っただけ。


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次の週、教えられた場所に行くと、そこはヨガスタジオではなく、アート教室でした。使わない朝早い時間だけ、ということで貸してもらったそう。

壁にはアート教室での作品が飾られ、画材やアート本が入った棚があり、棚の上にまで、絵の具、ペンたてや筆があふれていました。

立て掛けられたキャンバスに囲まれ、ヨガマットを敷くスペースは、4-5人でいっぱいになりそうな小さなもの。

前に座るDさんは、白の上下を着て、白いターバンを巻いています。今日のクラスの動きを思い出しながらイメージしているようですが、少し緊張している様子で、話しかけるのははばかられました。


ヨガクラスも初めての私は、何をするのか分からずに、ストレッチらしき動きをしてごまかしていました。


開始二、三分前になると、ようやく他の生徒たちも入って来ました。全員、西洋人。Dさんの友人たちやDさんの60代の夫でした。


他の生徒たちは、昨日はこのレストランに行ったのよ、などという話をしていました。



言われるままに、足や手を動かして、その日のレッスンは終わりました。

ヨガマットを丸めて帰り支度をする私に、

「エイミー、楽しかった?」とDさんがききました。


「Did you enjoy the lesson?」

エンジョーイという言葉と、なんだか分からずに体を動かした時間とが結びつかず、

えええ、と口ごもりながら、

「エンジョイと言えるかどうか分からない、、」そう言いながらマットを持ち上げました。

声をかけてくれたDさんに悪い気がして「でも、それは私がヨガ初めてだからだと思う」と付け足しました。


立ち上がった時に、ふっと思いました。


エンジョイか分からない、

このレッスンは、分からなかった。


ああ、そうか。

エンジョイでは、ない。


だって、私は分からなかったんだから。


知らないものだったから。


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沈黙する私を、Dさんは困惑した顔で見つめていました。


「私、続けるわ。次のレッスンも来る」


そう言って、初めてのクラスを後にしました。


分からないまま、続けよう。



運転しながらの帰り道、私はそう思っていました。



***


この日から3年後に、自分がティーチャートレーニングに出発しているとは、予想していませんでした。



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