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短編小説『夢』30

管の中に果汁を注いでみる。汁は勢いよく流れ落ち、最後にポトリと種も一緒に管の中へと落ちていった。
全てを注ぎ込むと、実は皮だけの容器となった。果汁は管の半分の高さまで一旦上がると徐々に地中へと染み込んでいった。

空き缶が落ちてれば缶蹴りをし、箒(ほうき)を持ったら野球をする。穴が空いているから種を入れた。ただそれだけの理由だった。
管の中の水分が全て土に吸収された。中を覗くと底には湿った土の上に種がうっすらと見える。

ここからのアイデアは何1つとして浮かんではいなかった。きっと何かが起こるはずだと、根拠の無い確信を胸に待つより他なかったが、直ぐに変化が起きた。

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