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【出会い編】蒙古タンメン中本ジャンキーのはじまり

 蒙古タンメン中本がとにかく好きです。
 日本で関東近郊に住んでいる方であれば、たとえ食べたことがなかったとしても名前くらいは知っているのではないかと思います。
 今は外出を控えている(というかよっぽどの事情でもない限り外出しない)ので、久しく食べていませんが自粛の直前は2日にいっぺんは食べていました。昼食と夕食の両方を中本で食べたことも何度もあります。中本ってこういう強烈なファンが多いので自分などまだまだひよっこの部類ですが、周りの友人に話すと少しぎょっとされるくらいにはのめりこんでいました。

蒙古タンメン中本
https://www.moukotanmen-nakamoto.com

 一味唐辛子ががっつり入った真っ赤なスープが特徴の、激辛ラーメンが売りラーメン店です。辛さだけがクローズアップされがちですが、辛さの中には確かなうまみがあって、巷で溢れるただ辛いだけのラーメンとは一線を画します。
 中本ジャンキーの贔屓目を抜きにしても、日本屈指の人気ラーメンチェーン店といっても過言ではないでしょう。昼過ぎや夜のピークタイムはどの店舗にも行列ができます。普通のラーメン屋であれば行列を見た瞬間引き返すものを、中本であればどれだけ長い列でもたとえ何十分待とうとも耐えることができます。それだけの魔力が中本のラーメンにはあります。


 中本との出会いは何年も前、自分が大学4年生の夏に遡ります。当時の自分は4月に就職活動を終えたあと、8月に夏休み限定の児童館のバイト(結局卒業直前まで働かせてくれた!)をはじめるまでの記憶が殆ど抜け落ちてしまっています。内定ゲットで心がすっかり弛緩してしまって、たまにゼミ活動などで大学に行き、あとは家でひたすらゴロゴロ、友人に誘われれば夜な夜な飲みに街へと繰り出す…というひたすら怠惰な生活を送っていたことだけは間違いないです。その中には今も思い返すと鮮明に蘇るような思い出やイベントの類は全くありません。就活終了後のダラダラ期間はせめて1週間ほどで終えて、もっと活動的な日々を送ればよかったなあと今更ながら思います。


 そんな非生産的な日々の中で自分は中本に出会います。7月半ばのある日で、やたらと蒸し暑く天気は快晴だったことを何故だか今でも鮮明に覚えています。いつものように朝なのか昼なのかよくわからない時間に目覚め、いつものように近所のセブンイレブンに昼食の買い出しに行きました。その時、棚にやたらと多く積み上げられた蒙古タンメン中本のカップラーメンを発見したのです。
 自分は辛いものが特別好きと言うわけではなく、むしろどちらかといえば苦手でした。カレーも甘口派です(これは何故か中本にハマった今でも変わりません)。そんな自分がその時何故このカップラーメンを買ってしまったのか今でも不思議でなりません。恐らくですが、当時は毎日セブンイレブンのコンビニ弁当やホットスナックを食べていて、ほとんどの商品は一度は購入済みという状況だったことが主因ではないかと思います。腹は空いたけれども食べたいものがない、そんな状況で初めて目にしたカップラーメンに「これはまだ食べてへんし食べてみようかな」と気まぐれを起こした、ただそれだけのことなのだと思います。

 というわけで1個購入し、家に帰って早速食べてみました。
お湯を注いで5分で完成です。付属の辛旨オイルを入れ、恐る恐る食べ進めます。
 予想以上に箸が進み、「あれ?いけるやん!」と思ったのも束の間…
 半分食べるか食べないかの時に異変が起きました。クーラーをガンガンにかけているにも関わらず汗がダラダラと吹き出し、お腹がきりきりと痛み出しました。

「なんやこれめっちゃ辛いやん、、」

 そこからは安易な気持ちで手を出したことを後悔し、半泣きになりながらもなんとか完食。とにかく辛くて辛くて、「俺はなんでこんなものを買ってしまったんやろう?」と自問自答しました。その日はろくに活動できずベッドの上で寝て過ごしました。もう2度とこんな過ちはおかさない。そう心に誓いました。


 それから三日ほどたちました。その日もいつものようにいつものセブンイレブンに行き昼食を物色していました。勿論、棚に並ぶ商品はどれもこれも食べ尽くしています。カップラーメンのコーナーに行くと、やはりそこには中本のカップラーメンがうず高く積み上げられていました。

(あれ?なんかこれもう一回食べてみたいかも……?)

 全く意味が分かりませんが、その時確かに自分はそう思ったのです。あんなに後悔したはずなのに。気づいたら3個カゴに入れてレジに並んでいました。
 家に帰ってすぐにお湯を入れて待つこと5分、三日ぶりに食べたそれは確かに辛かったけれど前回のようにつまったりむせたりすることは一切なかったです。確かに辛い、辛いけど美味い、やめられない……どうやら最初に食べた時、自分では気づいていなかっただけで辛旨の魔力にすっかり魅せられてしまっていたようでした。蒙古タンメン中本に目覚めた瞬間でした。

 そこからはただ転がり落ちるのみでした。大学4年の夏休みだけで中本のカップラーメンを確実に30杯以上は食べました。実店舗に行って更なる深みに嵌るのは、もう少しあとの話です。

 暴力的な迄の辛旨に身を焦がした灼熱のあの夏。
 夏はもうすぐそこです。


   はよ梅雨あけろ!!








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