コーヒーブレイク

「あの人、おかしいよね」と言わずにいられない

 パートナーシップをコンテクストから扱う組織コンサルタントのHOSUです。あ、いまさらですけど、わたし兵庫県在住なので、本来は関西弁です。

もうちょい仕事せえよ!

 社員の間で意見が違うとき、ちょっと困った事態になりますよね。
 まぁ、いろんな人がいるわけですから、考え方や感じ方も様々だし、大切にしたい価値観だって生きてきた環境が違えば違うんだから、ぜ〜んぶ何もかもが一致することなんてないですからね。

 でも、同じ部署で働いていると、創りたい価値や成果は同じはずなのに、そこの基準がずれていたり、イメージが違っていたり、アプローチのしかたの妥当性でずれていたりすると、やりにくさがでてきますね。

 とある病院の院長は、社員を大切にしようと旗印を掲げながら、実際には朝と夕方しか病院におらず、日中は家に帰っているのか行方が不明な不在が多く、現場が必要としている決済が下ろせないし、院内のラウンドもしないから「院長はいつもいないね」と社員は距離を感じ、一緒の船に乗っているとは思えない感覚になっているという施設がありました。

 いいサービスを提供することや、働いている人が働きがいや愛着をもつような病院にしようといっているのに、言っていることとやっていることが一致していない。この不一致感が、直属の部下たちのやる気を削り、あきらめ感を募らせ、沈滞ムードをつくっているということに、その院長は気づいていないのかもしれません。

 ていうか、もうちょっとちゃんと仕事してほしいですね。
 そんなんで豪邸住んで、高級車乗り回してたら、そりゃ人ついて来ませんで(笑)

「あの人さぁ・・・」

 で、まぁ、そんな調子だと、「あの院長、おかしいよね」という話が、ここかしこで飛び交います。
 そして、職場のいろんな不満の矛先が院長に向いていくようになったりして、とにかく院長が悪い!ってな話が広がっていったりします。

 もう、そう言いたくなる、いわずにいられない気持ちは重々承知するところです。

 ただね。それで事態は改善するのかと言えば、改善しませんよね。改善しないどころか、こちらの不満は溜まる一方なので、いい結果は何一つ手に入らないということになります。

 おまけに、あの人が問題だとなれば、その人に変わってもらうことを求めることになります。
 つまり、問題の位置が手元から離れる格好になります。どうやったって、相手が変わるかどうかの決定権は、相手にあるのだから、問題解決のイニシアチブは相手にあって、わたしにはないと宣言しているようなものです。

 そして、「あの人、おかしいよね」とジャッジして、それを本人以外の人にいってみても、事態は改善しないんだけど、それでも本人に言わずに、言い続ける人っていますね。
 「本人に言えば?」というと「あの人は変わらないから」って自分が本人に言わない理由を述べますが、じゃあその状態を許容するのかと言えば許容もしない。

どっちつかずをごまかすために

 要するに、『諦めるわけじゃなく、解決するわけでもない』という、どっちつかずです。
 このどこかどっちつかずな状態にあっても、「あの社長がさぁ・・・」っていう話をしていると、「わたしは問題の核心を知っている」という感じが周りにアピールできるし、なんだかそのことに関わっている感じがしてくるんですよね。

 どっちつかずなんだけど、関わっている感じがする!

 こんなにオイシい話はない!って、あなたは自覚していなくても、無意識は知っているだけです。だから、「あの社長がさぁ・・・」って言おうと決めていっているのではなく、言わずにいられない、いや、気がついたら言ってる!みたいな状態でしょう。

 でもね。これって、伝えたいことが伝わらないことが、あればあるほど起きるんですよね。

 だから、何があれば伝えたいことが伝わるのか?
 伝えたいことは、どこまで伝わって、どこから意見がちがうのか?

 それをきちんと話せるパートナーシップがあれば、「諦めるのではなく、解決する」という道も開きやすくなるんじゃないかなと思います。
 皆さんは、どう思いますか?

記事に価値があると認めてもらえることは、何より嬉しいですし、とても力づけられます。いただいたサポートはパートナーシップの価値が大きくなる使い方につなげます。