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ホロコースト、ナチスの本 2

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「ホロコースト、ナチスの本 1」で紹介した
「夜と霧」。
著者のピーター・フランクルは精神科医であり、心理学的観点の考察が随所に見られる。

そして、ホロコーストを生き延び、精神科医になったボリス・シリュルニク。
彼はフランス人。
少年期にユダヤ人一斉検挙に遭うが、収容所に行かずに生き延びた。
彼の著作では、ホロコースト後の被害者が感情とどう向き合うか、彼自身がどうありたいと考えたかを学ぶことができる。
わたしが読んだのは

「心のレジリエンス
  ー物語としての告白」 吉田書店
翻訳者の現地訪問と著者訪問を記した後書きもよかった。

「憎むのでもなく、許すのでもなく」吉田書店
上記著作をもとに、一斉検挙の夜の記憶やトラウマについて精神科医としての視点から詳しく書かれている。

現在も健在で、先日、パリでの講演の中継があるとの告知を目にした。
残念ながら見られなかったが、その後の著作をまた探して読もうと思うきっかけになった。

続いて、ナチ政権下のドイツの民衆についての本

「彼らは自由だと思っていた
 -元ナチ党員十人の思想と行動」未來社
    ミルトン・
マイヤー      

「ヒトラーを支持したドイツ国民」みすず書房
   ロバート・ジェラテリー

マイヤーの本はこちらで紹介済み
https://note.com/pectapomme/n/n2a34e2a4372d?magazine_key=mba581accfdd7

ジェラテリーは膨大な資料を基に事実を淡々とつづり、ノンフィクションで何が起きていたのか学ぶことが、フィクションを読む上でも大切なことがよくわかる。

フィクションにしか書けないこともあるけれど、フィクションばかりで知った気になるのは危険だと思う。
物語全体は創作だと分かっていても、細かいところを本当だと信じてしまうことが多いのがフィクション。
そのわりに細部に間違いがあって、間違った認識を読者が史実と思い込む可能性が高い。
たまにはノンフィクションで認識の確認をすると良いと思う。

フィクションとノンフィクションが混ざっているおもしろい作品が

「そこに僕らは居合わせた」 みすず書房
   グードルン・パウゼヴァング

戦時下の「普通の人々」にはどんなことが起こっていたのかを、孫が祖父母世代の人に話を聞く形で描いた20の短編。

パウゼヴァングがナチ期を書き始めたのは晩年になってから。
他に「片手の郵便配達人」みすず書房 がある。
https://note.com/pectapomme/n/n29ae0b666606

今回は以上で。

この記事の対象者について
https://note.com/pectapomme/n/n17ab677fb0ac

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