毎日童話『横断歩道とアリ』

僕はアリだ

子供のアリだ

今日は僕にとって

大きな事に挑戦する

大人になる為の試練だ

人間が作った横断歩道を渡るのだ

人間にとってはあっという間の時間だろうが

僕たちにとってはとてつもない時間なのだ

でっかい塊が猛スピードで動いている

数人の人間は立ち止まっている

でっかい塊が停まった

人間が動き出した

僕もスタートする

黒い道が続く

人間がドタドタと歩いていく

でっかい塊だけでなく

人間にも気を付けないと

人間が僕を追い越してどんどん進んでいく

僕もテクテク進んでいく

もうじき白い道だ

人間が走り出した

人間が止まった後

でっかい塊が猛スピードで動き出した

踏まれないようにしながら進んでいく

台風がずーっと来ている感じだ

なんとか白い道にたどり着いた

でっかい水が降ってきた

それもたくさん

雨だ

避けられない

雨の中進む

雨のせいで進むスピードが上がらない

その間にも

でっかい塊と人間が

次々と進んでは止まり進んでは止まり

それでもまだ1個目の白い道

僕の冒険は始まったばかりだ

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