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「あ、骨が折れてるかも」と思ったら ①

今日は友人のお母さんからリクエストを頂いたお話しです。先日子どもさんが骨折をして、どうしたらよいか困ったと。

骨折を疑った後の行動が分からず焦りました!

冷やすのか?!
救急車か?!
どうやって抱っこすれば良いのか?!
腕は伸ばした方が良いのか?曲げた方がよいのか?

まあ、そうですよね。

ということで、骨折について少し考えてみます。

最初に考えるべきこと

骨折を疑ったときに最初に考えることは、

1)  他の部位に致死的な損傷はないか?
2) 出血はあるか?(動脈損傷の可能性は?)出血量は?
3) 折れたところから先に機能障害(動かない、しびれる、感覚が無いなど)
     はないか?
4) 開放創はあるか?

といったところでしょうか。

他の部位に致死的な損傷はないか?

怪我をした!と焦ると、人間見た目に派手なところに注目し他は目に入らなくなるものです。また、一カ所すごくいたいところがあると、他の部位の痛みは分からなくなったりもします。
病院における外傷診療でも、見た目に派手な部分、患者の訴えの強い部分に着目し、実はお腹の中で重要臓器から出血しており、そちらが致死的になる、ということが過去積み重なり、その反省から「外傷初期診療ガイドライン」が策定されています。まず命に関わる徴候がないか?を考えそれに対処する Primary survey を行って、その後、全身をくまなく観察し外傷部位に対応していくということになります。

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病院外で通常怪我をされたら、当然反応を確認されていると思いますが、

息はしているか?
手足が冷たくないか?冷や汗はかいていないか?
大量に出血していないか?
意識は大丈夫か?

等を確認し、保温に努めます。

ここに異常があったら、迷わず救急車です。

また、意識が悪いようでしたら、無理に抱き上げず、上記に注意しながら救急車を待ちます。このような場合は、気道が落ちていて息が怪しくなっている場合が多いので、しっかり胸が動いているか、いびきのような音がしていないか等を観察しながら、息がしやすい体位を取って上げてください

ただし、脊椎を損傷していることが有り、そのような場合は脊髄損傷を起こすことがあります。特に子どもの場合、脊椎の損傷がなくても脊髄損傷を起こすことがあり、注意が必要です。体動(気道確保のための移動、体位変換)でも脊髄損傷が致命的になることがあり、特に頚髄を損傷している場合、そのまま呼吸が止まる可能性もあります。とはいえ、現場では気道を確保せざるを得ないので、このようなことに注意をしながら息ができるよう配慮をする、ということになります。(具体的には下顎挙上法といいますが、詳細はまた今度)

明らかに血が出ていたら圧迫して止血します。



小児科、小児集中治療室を中心に研修後、現在、救命救急センターに勤務しています。 全てのこども達が安心して暮らせる社会を作るべく、専門性と専門性の交差点で双方の価値を最大化していきます。 小児科専門医/救急科専門医/経営学修士(MBA)/日本DMAT隊員/災害時小児周産期リエゾン