銀杏にご注意を!
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銀杏にご注意を!

台風が過ぎてからめっきり寒くなっていますね。
本日家族で回転寿司に行きましたが、茶碗蒸しに松茸が入っていたり、秋の味覚がおいしい季節になってきました。

秋の味覚というと皆さん何を思い出すのでしょうか。

私が通っていた中学校はそれはそれはきれいな銀杏並木があって、毎年この時期になると、悪臭とともに銀杏を思い出します。

出荷量を見ると、そろそろ流通のピークで、愛知県が出荷量一位なんですね、意外。。。

https://www.yasainavi.com/calendar/yasaiindivi/cal=1228

私はお酒が弱いのですが、煎った銀杏と日本酒、とか、どうすか?好きな方が多いんじゃないでしょうか。一方で、銀杏による中毒はあまり知られていないかもしれません。1881年の日本からの男児2名の死亡例の報告が世界初のようです。
(Kudo K Does the ginkgo seed contain large amounts of cyanogenetic glycosides? Tokyo Iji Shinshi. 1881;149:19–21.)

日本中毒情報センターへの問い合わせもそろそろ増えてくる時期のようですね。

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症状と原因は?

銀杏を食べた後、嘔吐と痙攣(強直性/間代性)を発症します。摂取後 1 - 12 時間程度で症状が発現している例が多いようです。

日本における死亡率は 13  % と報告されていますが、1969 年以降は死亡例の報告はないとされています。(下図横棒が発症数、うち「黒」が死亡例)

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銀杏に含まれる 4’-O-methylpyridoxine (以下、MPN,  ginkgotoxin とも呼ばれる)が原因とされています。MPNはビタミンB6 を競合的に阻害する(つまりビタミンB6 と同様の部位に作用する = 競合的 ので、結果的にビタミンB6 が正しく働けない)ため、ビタミンB6 欠乏と同様の症状を発症します。

また、ビタミンB6 が欠乏する(= 極度の低栄養状態, 成人の場合は酒飲みに多い)病態が背景に存在すると、症状が増悪するといわれています。

上図で、戦後に患者数と死亡例が集中しているのは戦後の食糧難、低栄養が影響しているといわれているようです。一方、その後の発症低下は、銀杏中自体の認知度が医師の中でも低く、報告が上がってこなかったという背景もあるようです。2000年代を超えてインターネットの普及などで銀杏中毒の認知が上がったことが、最近の症例数増につながっているとの考察もあるようですが、本当でしょうかねえ、、、

子どもに多く、5 歳以下が全体の 70% 以上を占めるという報告もあるようです。子どもに多い理由はわかっていないようですね。

治療と後遺症は?

基本対症療法です。痙攣に対しては通常通り鎮痙剤を投与します。痙攣が反復することもあるようですが、通常通りベンゾジアゼピン系でよいようです。ビタミンB6 の欠乏を背景とする、ビタミンB6 を競合的に阻害するということから、ビタミンB6 の補充は効果的との報告があります。

前述の通り、近年の死亡例の報告はなく、後遺症なく終わるようです。

何個までなら食べていいの?

栄養状態も影響するため、明確に「ここまでなら安全」というのは定義できません。日本中毒情報センターによれば、小児例では 10 個程度 でも痙攣が起きたという報告があるようで、5 歳以下の摂取は推奨されていません。

また上限は、過去の報告から、

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とされているようです。幅がありすぎでしょ、、とおもいますよね。。。同感です。また、「小児 7 個」の根拠となる論文を探しましたが、ちょっと見つからず。海外の中毒情報でも10 個前後としているものがおおく、いまのところそれぐらいの数までとしておいた方が無難なようです。(追跡調査して文献見つかったら加筆修正します)

成人 40 個はどうですかね、お酒飲みながらナッツ感覚で、というなら、ポリポリいっちゃうんですかね。お酒飲む方如何ですか?

「銀杏は歳の数まで・・・」先人の知恵は偉大です。

【参考文献】

1. YAKUGAKU ZASSHI 139, 1-6 (2019)
2. J Environ Sci Health C Environ Carcinog Ecotoxicol Rev. 2017 January 02;
    35(1): 1–28. doi: 10.1080/10590501.2016.1278298.
3. 日本中毒センターホームページ
   
4. 北海道医療大学薬学部衛生薬学講座ホームページ
  http://www.hoku-iryo-u.ac.jp/~wadakg/keyword/ginkgofoodp.html

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小児科、小児集中治療室を中心に研修後、現在、救命救急センターに勤務しています。 全てのこども達が安心して暮らせる社会を作るべく、専門性と専門性の交差点で双方の価値を最大化していきます。 小児科専門医/救急科専門医/経営学修士(MBA)/日本DMAT隊員/災害時小児周産期リエゾン

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