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「平田晃久 | 人間の波うちぎわ」展

2025年8月20日(火)  はれ 34.7℃ (MCJ 011)

練馬区立美術館で開催中の展覧会「平田晃久 | 人間の波うちぎわ」を観に行った。美術館の中に入ると、いきなり黄色い幕が垂れ下がっていて、ただならぬ雰囲気だ。これも展示の一つであり、黄色い幕をくぐって展示を観に行くようになっていて、昔観た映画「ラビリンス」を思い出した。

建築家の平田さんが膨大な情報を得ながら、どんなことを感じ、どんな風に考えながら建築のイメージを構築していくのかが分かるように展示されている。平田さんご本人が説明する動画が各所にあり、それを見て、または声を聞きながら鑑賞できるので、建築家のめぐる思考の感覚などに「へぇ〜」と感嘆しながら平田ワールドに没入できる。

からまりしろ

「蝶が花と花の間を飛び回っている感じを建築にしたい」との想いが原点なのだそう。「からまりしろ(平田さんの造語)」はそのようなふわふわした三次元の隙間の立体、絡まる余地のことで、それをどう建築に表すのかを常に考えているのだとか。

それを知ってから展示を見てみるとなんとなく分かるような、分からないような…? それでも、なにか面白いな、ワクワクするなという感覚を覚えるのだ。その中に「ひだ」や「ひだのある空間」を意識した作品が並んでいる。その「ひだ」は、私にはキクラゲにしか見えなかったりもするのだが、キクラゲってこんな美しいものだったか…逆にそんなことを思ったりする。現代的な芸術作品を見ているようだが、置いてきぼりにはされない感じで親しみやすい。

わが街にできる新しい建築物

平田晃久さんこそは、わが中村橋の練馬区立美術館と貫井図書館を建て替えて新しい一つの建物にしてくれるプロジェクトの建築家なのだ。そのプロジェクトを始めて知ったのは数年前。練馬区報だったか忘れたが「こんなにすごいプロジェクトを本当に中村橋でするの?」と思っていた。嬉しいけれど、住人としてはちょっと心配もある。また、完成予想図を初めて見たときには「中村橋のような庶民的な街に突如として現れる近未来的な建物が浮いたりしないだろうか。似つかわしくない感じにならないといいけれど。」と、これまた賛成とも不賛成ともとれない微妙な感想を抱いたのも事実である。でも、平田さんが一つの建築を考える上でどんな風にイメージして、どんな風に実現させていくのかをこの展覧会で知った今、期待が高まるのを抑えるのはとても難しい。

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