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これからも豊かな地球で暮らすために、今日も私はイオンに行く。

私は海辺の町に住んでいる。

どうせひとりぐらしなんだし、と、大好きな海にいつでも行ける場所を選んだ。

実際に歩いてみると、徒歩で30分はかかるのだが、それでも週末時間があるときは、ぶらぶら散歩に出かける。

海まで歩く途中に、大きなスーパーマーケットがある。
小売業界大手のイオンだ。

スーパーであれば、もっと家の近くにもいくつかあるのだが、わざわざ歩いて海辺のイオンまで行くのだ。

海に行くついで、でもあるのだけれど。

私がイオンに行くのには、もうひとつ大きな理由がある。


社会に浸透してきた「持続可能性」

SDGs(Sustainable Development Goals)という言葉をご存じだろうか。

最近は「エコ」や「エシカル」と同様に、婦人雑誌にも掲載されるようになり、身近な単語になってきている。

SDGsとは、2015年に国連サミットによって採択された、「持続可能な開発目標」だ(※1)。

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大きく分けて17の目標が掲げられており、その中にはさらに169のターゲットが細かく定められている。

17の目標は、貧困や男女平等、エネルギー問題や生態系の保全など、多岐にわたっている。しかし、一見関係性の薄そうな問題同士が密接に関わっている。

この話はまた改めてするとして。

大変なことに、この目標群は、2030年までに達成しようと決められているのだ。
あと10年しかない!私たちがこの10年を遡ってみて、何か大きく変えられたことがあるだろうか…?

しかしここで絶望してはいけない。

たしかに、SDGsの中には、国内外の政策を根本から改変しなければならないような大きな課題がたくさんある。

しかし、私たち一人一人の行動が少し変わるだけでもすぐさま貢献できる内容もある。


消費者は、消費するものを選べる

SDGsの14番目の目標は、「海の豊さを守ろう」だ。

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私は海が大好きだ。そして海の幸も大好きだ。
「海の幸」。これぞ生物の多様性の恩恵にあずかっている代表例だ。

お寿司屋さんに行けば、春はタイや初ガツオ、初夏にはアナゴ、暑い日が続けばハモをいただき、冬はブリ。

それぞれの季節に旬のネタがある。

旬とは、それぞれの魚の種類ごとのライフサイクルに関わってくる。

しかし、海の多様性が失われればどうだろうか?

あなたが好きなネタは、いつか一生食べられなくなるかもしれない。


実際に失われつつある多様性のひとつがウナギだ。
ウナギは絶滅危惧種である。この事実は私たち一般市民にどれほど浸透しているのだろうか?
「文化の継承のため」という大義名分を振りかざし、いまだに土曜の丑の日にはウナギの大量消費を行っている。

有識者がどれほど声高に訴えたところで、政策を変えることはなかなか難しい。
漁業者だって卸売業者だって生活がある。需要があれば供給するのだ。
この負のサイクルを断ち切るためには、どうすべきか。
ひとつの答えとして、「消費者が選択する」ことが挙げられる。

私たちが少し行動を変えることで、海の豊かさを守ることに貢献できるのだ。


ASC/MSCという選択肢

スーパーの魚介類売り場で、こんなラベルを見たことがあるだろうか?(※2)

mscラベルとascロゴ

持続可能な方法で漁獲、養殖されたものであることの認証ラベルである。

漁業が圧力となって、海の生態系に影響を与えているのは前述の通り。

養殖にもなにかと問題があり、「せまいイケス内で飼育するので、イケスの下の海底が汚染される」「イケスの網がなんらかの理由で破れてしまったことにより、養殖魚が外へ逃げ、野生生態系を撹乱する」といった課題がある。

そこで、先ほどの認証ラベルである。

このラベルを取得するまでには厳しい審査がいくつもあり、これらを通過した漁業者や流通業者のみが、現在の漁業/養殖業にまつわる課題を解決しているとみなされ認証を受けることができる。

つまり、このラベルが貼られている商品を選択することは、海の豊かさを守るために、私たちができる最も簡単かつ有効な選択のひとつだ。

ちなみに、国際的な認証制度なので、海外のスーパーマーケットでも同じラベルを探すことができる。

日本ではまだまだ流通が進んでいないが、イオン系列とマクドナルドが、ASC、MSC認証を受けたものを積極的に流通すると表明している(※3)。

イオンに行けば、鮮魚売り場の半分の商品に青や緑のラベルが貼られているのが目に留まる。
マックでフィレオフィッシュを頼んだら、一度包み紙を広げてみてほしい。ラベルの魚を見ることができるだろう。

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消費者は、消費するものを選べる
これを忘れないでこれからも生きていきたい。
そして、ここまで読んでくださった方にも、私たちの選択肢と未来について考えてほしい。


持続可能な生態系のために、そして持続可能な私たちの社会のために。
今日も私はイオンに行く。


参考文献

(※1)外務省, SDGsとは?
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/sdgs/about/index.html

(※2)MSC認証、ASC認証について
https://www.msc.org/jp/home

(※3)サステナブル・シーフード, 日本マクドナルド会社
http://sseafood.net/blog-entry-72.html

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