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Contents(頭蓋骨)

理学・作業療法士や柔道整復師、鍼灸師、あん摩マッサージ指圧師を目指す学生さんを始めとして、医師・歯科医師を目指す学生さん、そしてすでに現場で働かれている医療従事者の方々にとって、骨学は筋学を始めとする解剖学を学ぶ上で基盤となる必須の知識となります。スライドで赤で示した箇所は理学・作業療法師、看護師、柔道整復師、鍼灸師、はり師きゅう師、あん摩マッサージ師の過去全ての国試を分析しさらに解剖学の定期試験で問われやすいポイントを示しています。さらにオフラインでも学習できるようにダウンロード用PDFファイルも用意しました。PDFファイルは頭蓋骨の説明スライド28枚、頭蓋骨に関する国家試験問題と解説(作業・理学療法士、看護師、柔道整復師、鍼灸師、あん摩マッサージ師の過去問から合計20問)、頭蓋骨に関する問題集と解説文を搭載しています。頭蓋骨をマスターしたいあなたへ圧倒的な構成内容でお届けします!

Overview

スライド1
スライド1

頭蓋骨の読み方は「ずがいこつ」ではなく、解剖学では「とうがいこつ」となります。頭蓋骨の分類からみていきましょう。頭蓋骨は脳を覆う脳頭蓋とそれ以外の顔面頭蓋に分類することができます。脳頭蓋には前頭骨、蝶形骨、側頭骨、頭頂骨、後頭骨、篩骨の6種類が、顔面頭蓋には鼻骨、涙骨、上顎骨、頬骨、下顎骨、鋤骨、下鼻甲介、口蓋骨、舌骨の9種類が分類されます。下線を引いた骨は1対(2個)存在する骨で、頭蓋骨は合計15種類23個の骨から構成されます。始めは頭蓋骨の名称をしっかりと覚え、次に種類と数を覚えていきましょう。
*篩骨、側頭骨、蝶形骨は脳頭蓋に分類しましたが、細かい分類だと以下のようになりますので参考に記載しておきます。
 
脳頭蓋に分類
蝶形骨(翼状突起を除く部位)、側頭骨(鱗部、岩様部)、篩骨(篩板)
 
顔面頭蓋に分類
 蝶形骨(翼状突起)、側頭骨(鼓室部、茎状突起)、篩骨(篩板を除く部位)
 
国試ではこれらの細かな分類はほとんど聞かれることはないと思いますので、参考で良いかと思います。
次のスライドからは、頭蓋骨前面、側面、後面、底面、内面といった全体像を通しておさえるべきポイントについてみていき、その後にそれぞれの頭蓋骨の重要ポイントについて触れていきます。頭蓋骨は骨の構造を1つ1つ覚えようとすると、大概混乱します。頭蓋骨を理解するためには、全体像をしっかり頭に入れる所からスタートしていきましょう。前半部分の頭蓋骨の前面、側面、後面、底面、内面をイメージできるようになると、個々の骨を勉強したときにより理解が深くなるはずです。今回の頭蓋骨は重要ポイントのまとめを細かく途中に入れてありますので、順を追って勉強していきましょう!

頭蓋骨ー前面

スライド2
スライド2

正面図からみていきます。おでこの所にある骨は前頭骨で、前頭骨の後部は冠状縫合で頭頂骨とつながります。縫合というのは頭蓋骨間の結合を指す言葉で、○○縫合はどの頭蓋骨間の縫合なのか?をしっかり区別できるようになるのが頭蓋骨を学ぶ上で重要なポイントの1つになります。頭頂骨のスライド11に覚えるべき縫合をまとめていますのでそちらを参照して下さい。ちなみにその中には冠状縫合が入っていますので、前頭骨と頭頂骨の間の縫合であるという点、今の段階からしっかりと覚えていきましょう。前頭骨は1個の骨で下縁は眼球を入れる空間である眼窩の一部(天井部分)を作ります。眼窩という空間は見てもらうと分かりますが、様々な骨によって作られていますよね。眼窩を構成する骨は?が大事になりますが詳細はスライド25でみていきます。眼窩上縁をよく見ると眼窩上孔という小さな穴が開いていますよね。図では穴になっていますが人によっては切れ込みのようになっている人もいて、その場合は眼窩上切痕といいます。眼窩上孔(切痕)から眼窩上神経という第V脳神経である三叉神経の枝がでて、おでこ周辺の感覚情報を脳に運ぶため重要な孔となります。続いては頬の所にある骨、頬骨です。頬骨は眼窩を構成する骨の1つで、左と右にあるので2つ存在する骨になります。頬骨のポイントはスライド3の横から見た図で触れますね。今度は鼻の周囲を見ていきましょう。鼻の大部分は骨ではなく軟骨で出来ていますので、骨格の図ではぽっかり穴が開いている状態になります。この穴の縁を梨状口といい、梨状口上部には鼻骨という小さい骨が2個存在します。鼻の内部をみると垂直に下に伸びる篩骨の垂直板とその下には鋤骨、垂直板の横には中鼻甲介と下鼻甲介という屋根の様な構造が見えます。鼻甲介上鼻甲介、中鼻甲介、下鼻甲介の3つが存在し、そのうち上鼻甲介と中鼻甲介は篩骨の一部で、下鼻甲介は独立した頭蓋骨になります。上鼻甲介はかなり上に存在するために、正面からだと見えないことが多いのです。篩骨や下鼻甲介の所で詳しく紹介していますが、鼻腔の内部で重要なポイントになってくるのは、鼻腔を左右に分ける鼻中隔の構成と、鼻甲介と鼻道の関係になります。それは後のスライドでみていきます。次に上顎骨をみていきましょう。見た目は1個のように見えますが実は左右の上顎骨が正中で結合して出来ていますので上顎骨は2個あります。注意して覚えましょう。上顎骨前面には眼窩下孔という穴がありますよね。この穴から上顎周辺の感覚情報を脳に運ぶ眼窩下神経という三叉神経の枝が出てきます。正面図の最後は下顎骨になります。下顎骨は1個存在し、オトガイ孔という穴が前面に開いています。この穴も三叉神経の枝であるオトガイ神経がここから出て下顎周囲の感覚情報を脳に運びます。三叉神経と出てくる孔をまとめると、3つの孔は直線状に存在し、前頭骨の眼窩上孔から眼窩上神経、上顎骨の眼窩下孔から眼窩下神経、下顎骨のオトガイ孔からオトガイ神経がでてきます。それぞれの神経は額周囲、上顎周囲、下顎周囲の感覚情報を脳に運びますので、顔面の感覚情報を運ぶ神経は全て三叉神経が担当することになります。正面図では三叉神経と担当する皮膚感覚領域、出てくる孔の対応が最も重要なポイントになるかと思います。

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