農家の嫁はITエンジニア

「若手農家と結婚する女性にAIやデータに詳しいエンジニア女性が増えたら日本の農業のIT化は爆発的に加速するのでは?」

ふと思いついた仮説を地域づくりをしている仲間たちとの会食で口に出してみた。すると、その後の会食の時間はこの話で持ちきりになった。その場にいた誰もが一次産業のIT化の可能性を感じていながらも、実際に取り組むとなると高い高い壁があることを認識しており、歯痒い思いを味わっていた。その為、「結婚相手がエンジニア」という突拍子もなく聞こえるが実は現実的なアイデアをどうすれば実現できるかの議論で盛り上がることになった。

■若手女性の新規就農は27%
「農林水産業における女性の活躍推進に向けたリーダー育成の取組」という農林水産省の資料がある。その中のグラフに新規就農者における44歳以下の女性の割合があるのだが、27%とかなり低い。

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僕の知人で東日本大震災をきっかけに地方に移住した女性が何名かいるのだが、彼女たちはゲストハウスを経営しながら農業をしていたり、農業をメインでやっていたりと暮らしの中に必ず農がある生活をしている。

また、彼女たちに共通しているのはバイタリティの高さ。農村部は都市部のように誰ともコミュニケーションを取らずに暮らしていける場所ではなく、隣近所の老若男女と一定の関係性を構築しながら暮らしていく術も身につけなくてはならない。農家になりたいと思っても、農地の問題など数多くのハードルをクリアしていく必要があるのは事実で、実家が農家の人以外は気軽になれる職業ではない。

一方でWeb上には農家になりたい人向けの求人サイトなど農業に関わる機会は多く存在するのだが、ほとんどの人が就職先や転職先の候補にはしていないのが現実なんだと思う。就職や転職の候補先の一つに農業が入ってくるにはどうすれば良いのか。農村部で農家の方々と会話をする度に僕は考えていた。

■農家の女性の仕事はITツールを駆使したデータ分析やマーケティング
ここからは僕の妄想の話をしていきたいと思う。
農業のイメージは「土いじり」だ。農業日本一の鉾田市で高校生と共に活動をした際に、実家が農家の高校生たちに農家のイメージを聞くと常に土で汚れていてあまり格好良くないと答える学生たちが多かった。実際に土と共に暮らしている若者がそのようなイメージを持つのであれば、生まれてから一度も農業とは無縁の若者は「汚い」とすら感じていると思う。さらに、近くに農家がなければ仕事のイメージも全くできないと思うので朝起きて農作業、昼食べて農作業、夕方から倉庫で野菜の土を払う作業が一年続くと考えている人も正直多いと思う。

そこで、極端な話だが農家の女性の仕事は農作業は一切せずにITを活用したデータ分析やAIやIOTを活用する為のベース作り、直接消費者に農作物を届ける為のマーケティングなど、オフィス作業に特化してみるのはどうかと考えている。

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土まみれになって、汗水垂らして新鮮な野菜に囲まれて暮らす生活も素晴らしいと思う。しかし、僕もそうだが実家が農家でない人間にとって、その生活はイメージがつかない。たまに農村部に行って体験する程度なら楽しいが毎日の暮らしがそうなると思うと決断できないと感じる。でも、オフィスでの作業はイメージがつく。オシャレなオフィスには自分の好きなアロマオイルと美味しい紅茶、データを分析する為のパソコンがあり農業に関わる様々なデータを分析し経営の効率化を行う。さらにはスマート農業を実現する為に都市部のメーカーやITベンダーとのやりとりなど、農家側のIT専門家として社会実装していく役割を担う。

もう少し妄想を続けたい。自宅が農家なので、新鮮な野菜に囲まれている。週末は都市部の友人を誘い、自宅の庭でBBQ。料理好きの友人と一緒にドレッシングや加工品を開発して、オリジナルブランドを立ち上げる。さらには週末BBQの人気が出てくると宿泊希望者が増えたのでゲストハウスを作り、そこの運営も行う。ITの仕事関係の方々も集まることで、地域の他の農家の方々にもIT化をする際のきっかけになり先進的な農業を展開するエリアになっていく。

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なんか超カッコいい。こんな暮らしをしてみたいと僕自身が記事を書きながら興奮してしまった。妄想なのは分かる。現時点では何も動いていない。でも、こんな未来を創れるのであれば僕の娘を農家に嫁がせたいし、彼女自身も幸せになれると思う。その為にITを学んでエンジニアになることすら全く苦にならないと思う。この妄想を妄想で終わらせずに僕は実現していきたいと本気で思う。

■妄想実現の為に僕が今から実施すること
幸運にも僕は全国の自治体と仕事をしている。そこで、農業を主産業としている自治体でこの構想を一緒に実現してみないか?と持ちかけてみようと思う。さらに、ソーシャルチャレンジャー事業(地方創生VI)で地方のITリテラシーを上げていくための高校生や中学生のIT教育も実施していこうとしている。学生の頃から農業×ITの可能性を伝えていくことで、実家が農家の若者が自らITを学ぶようになれば鬼に金棒だ。また、最近は講演の機会も頂くようになってきたので、全国で妄想を語りまくりたい。

僕は社会課題をテクノロジーで解決するという仕事をしているが、どんなに良いビジョンがあってもその仕事がカッコよくなければ多くの人には共感してもらえない。農家にITスキルを持った女性たちが雪崩れ込む未来を創ることを一つの目標として、僕はこれから活動していきたい。興味ある人、連絡待ってます。

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