台風避難の体験記

はじめに、台風の被害に遭われた方々に、一日でも早く穏やかな生活が戻りますよう、お祈り申し上げます。


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ものすごく大きいからみんな気をつけようっていろんなところで騒がれた台風19号が過ぎようとしています。
この文章は、10月13日の午前3時46分、某小学校の体育館の中で書き始めました。避難所です(後半は家に帰ってから、何日か経ってから少しずつ書いています)。
私自身、何かのために避難をするということをするのが人生で初めて(3.11のときは高校の卒業式で、自力で帰宅した)だったので、なかなか貴重な体験だし、記録として文章に残そうと思い、スマホ充電用のくそデカモバイルバッテリーことMacBookで、みんなが寝静まった体育館の中でぱちぱちと文字を打っています。

結構打ってみて、長くなってしまったのでもくじをつけることにしました。

避難をするまで


10月12日は、もともと横浜ジャズプロムナードにてWoollyBearsJazzOrchestraとして出演予定でした。でも、11日の段階でイベント自体が中止になり、カレーフェスで忙しいと予想されるバイト先のバッキンガム宮殿もお休みしようということになったので、それなら朝まで飲んでやるとまさかのオール酒飲みをして12日の朝に帰宅and二日酔いで絶賛死亡って感じ。
15時ごろに目が覚めて、フラフラの身体を起こして部屋の中を確認。記憶にないけど、酔っ払って帰宅した私は酔っ払っている状態なりにいろいろと準備をしていたみたい(よくあることなので慣れているけど本当に覚えていない毎度まじ無理)。
おそらく傘をさして帰宅したのに、横殴りの雨で前日着ていた服がびしょ濡れ。ハンガーにかけて吊ってありました。ガスが止まるとお風呂に入れないと思ったみたいで、シャワーを浴びた形跡あり。お風呂の浴槽に水がいっぱいためてありました。
普段つけっぱなしのキッチンとトイレとお風呂の換気扇は切ってあって、外にいつも出しっぱなしの傘も全部しまってありました。帰宅時に買ったと思われるしじみの味噌汁がふたつ、酒を飲む前に買ったレトルトカレーもキッチンのとこに並べて置いてありました。窓は雨戸が閉まっていて、起きたとき部屋は真っ暗でした。
ひとまず電気もつくのでしじみの味噌汁を飲んで身体を調える。このとき外は雨が降っていて、風はそこまで強くない感じ。大雨の日って感じ。
緊急速報の通知を切っていたことを思い出して、iPhoneの設定を変更する。すると早速通知が来て、16時過ぎに警戒レベル4の緊急速報がくる。いよいよだなって思うけど、自分は家を万全にしてあるから大丈夫だろうと思って布団で二日酔いの身体を休めている。通知をいくつか受け取って、Twitterとかでいろんな情報を集めてみたり、ハザードマップで自分の家の近くを確認していると、18:30くらいになる。

私の家は川からは少し離れてて、高いところにあるので浸水とかは全然気にしていないんだけど、急な斜面に建っているアパートのてっぺんだったりするので、土砂崩れは結構心配だった。隣には斜面に木や草が生い茂った小さな森もある。ハザードマップ土砂災害警戒区域を見てみると、自分の家のところは色が塗られていないけど、斜め隣の家とか4.5軒隣のアパートとか森とかはしっかり色が塗られている。動いた方がいいのかなと迷っていると、関西の方にいる妹から連絡が来る。一度家に来たことがある妹は、私の家の立地を心配して連絡をくれたみたい。妹とも地図を共有して、微妙だよねって確認し合う。でも、これから雨風がさらに強くなるし、どうなるかわからないけどとりあえず大事をとって避難したほうがいいんじゃない?という妹のアドバイスで、動くことを決意。

お風呂に入ってスッキリしてから、荷物をまとめる。その間に近くに住んでる友達にも連絡をしてみる。近くの友達は家の事情で避難できないみたいだった。知らない人がたくさん集まる場所で寝泊まりすることになるのは不安だったけど、一人で怖い思いをするのも嫌だったので、しょうがないって思って黙々と準備をすすめていく。

私の父親はキャンプや渓流釣りが趣味だったので、小さい頃は私たち三姉妹と両親とで夏によくキャンプに出かけた。父親は私たち三姉妹にひとつずつ寝袋を買ってくれて、名前も書いてくれた。実家を出るとき、何かと役に立つだろうと思って持っているけど、来客とかベッドが届くまでとかで登場回数は年に2.3回くらいある。今回もその寝袋が役に立つだろうと思って、とりあえず引っ張り出してきた。父親大好きっ娘なんだけど、寝袋は本当に役に立つ。安心。一生手放さないと思う。
それから去年の野外フェスのNewAccousticCampで大活躍したレインポンチョも出した。ニューアコに行く前日、2日間雨が降ることはわかっていて、100均の安くてダサいので凌ごうか迷った挙句、奮発して可愛いのを買った。こういうときに役に立つなんてあんまり想像していなかったのでいい買い物したなーって思った。総じてアウトドア用品って便利。圧倒的インドアな人間だけど、外に強くなりてえって思った。

私は大学3〜4年生のとき、いろんな人のお家に泊めてもらったり、学校の部室に泊まったり寮にお邪魔したりする生活をしていました。理由は実家と大学が遠すぎて、生活の中心だったサークルの練習も夜終わるのが遅く、いろんな友達と関わる時間を確保するためにって感じ。あと普通に実家好きじゃなかったのもある。
だから結構慣れない環境で寝泊まりをする術は普通の人よりももともとありました。最長で5日間、替えの服も下着も持たずに家に帰らない生活をしたことがあります(お風呂は毎日入ってました)。その辺のメンタルは他人より強いと自負しています。この辺の話はまた今度記事にしたいな。27年の人生の中でも特に面白かった期間の一つなので。

もちものたち

荷物はこんな感じです。

【リュックの中に入れたもの】
・バスタオル1枚とフェイスタオル2枚
 濡れた身体を拭くためと、枕や肌がけにもなるかなと思って。
・部屋着のズボン、Tシャツ
 寝慣れない環境を少しでもリラックスするために。
・靴下3枚
 靴下はあるとすごく安心できる人なのです。精神安定剤代わり。
 どんなところで過ごすかわからないときは必ず持って行く。
・パンツ
 万が一帰れなくなったとき用に。
・ノートパソコン
 モバイルバッテリーが家の中で見つけられなくて、携帯の充電用にフル充電で。
 オフラインだけど文章書いて暇つぶしにも使える。重たいけど。
・前の携帯2台(iPhone)
 フル充電の状態。懐中電灯として使おうと思ってた。
・いつものノートといつもの筆記用具
 暇つぶしに。イレギュラーな環境で創作意欲が湧いたとき用に。
・歯磨きセット
 接客業をしているのでいつも持ち歩いているやつ。
・ダテメガネ
 視力いいんだけど、落ち着かないときにかけてるやつ。
・生理用品
 念のため。周りの人が困ってても渡せるように。
 下着を替えられないことになってもこれあれば気持ちはかなり楽。
・70リットルのゴミ袋1枚
 濡れたものを入れるのにも使えるし、ゴミを入れてもいい。
・身体を拭くシート
 夏に買った使いかけのやつ。万が一帰る家がなくなってたとき用。
・チューブのニベア
 念のため。ハンドクリームとしても、顔にも使える。
・ラップ
 念のため、家出るときに咄嗟に手に持って出てきた。パニック。
・カップラーメン2つ
 すぐお腹すいちゃうので。とりあえず持ってきた。
・割り箸5つ
 カップラーメン食べる用と落としたとき用。
・いつものリップクリームと香水とかのポーチ
 口紅も入ってます。あと常備薬も入ってる。
 女の人はすっぴんでいるのがメンタル的に苦痛でストレスを感じてしまうことがあるらしい。
 私はどうだかわからないけど。でもいつも持ち歩いてるのであると安心。

【サコッシュに入れたもの】
・家賃用のお金の一部(3万円くらい)が入った封筒
 最終的に金あればなんとかなる世界に変わりはないと思ったので。
・タオルハンカチ
 小さいやつ。手を洗ったりするときに便利なサイズ。
・イヤフォン
 動画見たり音楽聴いたりするのにきっと使うなと思って。
・ラムネ(お菓子)
 あまり食べない甘いものの中で一番頼りにしてるもの。
 ブドウ糖が的確に摂取できる。心も落ち着く。空腹感が紛れる。

【装備したもの】
・寝袋
 リュックに挟んで装備。開いて掛け布団みたいな使い方もできる仕様。
・高校のジャージ上着
 リュックがパンパンだったのでリュックに着せる形で。
 家で適当に羽織るのに使ってるため、肌に触れてると落ち着く。
 雑な扱い方しても全然いいので万能。
・毛布
 レインポンチョの中で抱きしめて持って行くことに。
 ほぼ一年中使ってるので触ると落ち着く。
・レインポンチョ
 サコッシュつけて、リュック背負って、毛布抱えた状態で上から着る。
 危ないし荷物になるので傘はさしたくなくて雨具はこいつのみに頼る。
・腕時計
 花屋で働けるようにとアパレルバイトの人たちからいただいたもの。
 防水なのでバーで洗い物するときも役に立ってる。
 普段時間を腕時計で確認する人はつけるだけで安心。携帯の電池切れてもいける。
・ワイドパンツとTシャツワンピース
 リラックススタイルで。このあとほとんど濡れることになる。
・スポーツサンダル
 素足に装備。濡れても気にならないので雨の日によく履いてる。

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帰宅したときはこんな感じ。ジャージは着て、帽子被って毛布は抱えて。


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リュックはこんなふうにまとめて、


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リュックにジャージを着せて、これを背負ってレインポンチョを着ます。


避難所に向かう道


20:05くらいに家を出る。外は風が強くて雨も横に強く降る感じ。空から鳴る低い音がすごく恐くて、家から出てすぐに泣きそうになった。こんな状況で家から出て歩くなんて頭おかしいんじゃないのかな、家にいた方がいいんじゃないかなってすごく迷ったけど、意を決して歩き始める。
避難所までは通常の晴れた日に一番最短の道で歩くと10分くらい。最寄り駅の前を通過して行く。森の横を通った方が近道なんだけど、いかんせん急斜面の細い道(舗装はされてる)をくだる形になるので、土砂崩れが起こったら速攻死だし、飛んでくるものとかが恐くて遠回りすることに。
周りの住宅街は結構電気がついているので、家にいる人もたくさんいるんだなって思った。電線が激しく風になびいていて、電柱が倒れてきたら死ぬなーって考えたら泣きそうになって足が止まってしまう。家がまだ見える範囲のところなのに、もうすでに足元はびちょびちょだった。ポンチョは案外捲れなくて、毛布は全然濡れてない。
ときどき低い音がして強い風が吹くので、そのたびに近くにある道路標識の細い柱とか、家の壁とかに近づいて立ち止まる、自分が飛んで行っちゃったらどうしようって何度も考えたけど、そのたびに気を強く引き締めて歩き出す。
歩き始めて5分、1/3くらいまで歩いたところでパトカーを見つけてむちゃくちゃ安心する。ここまでの間で外に出ている人間は一人も見当たらなくて、この状況で外に出ている私まじで大丈夫か?と自分を疑ってばっかりだったので、人間(おまわりさん)を見つけてくそ安心。多分電気をつけたままのお店に入って帰れって促していたんだと思う。声をかけられるかなと思ったんだけど何もしてこなかった。
駅に近づいてきたからか、一人の人間とすれ違う。男の人で、傘をさしてレインコートを着ていた。このあとは人を見かけていない。
駅前のコンビニは閉まっていて、朝の5時に開店予定って書いてあった。そりゃそうだよなと思って通り過ぎたあたりで、飲料水を持っていないことに気づく。駅前の屋根のあるところで自動販売機を見つけてお茶と水を買おうとするんだけど、リュックの中に財布を入れてしまったことに気づく。ここで5分くらい、毛布が濡れたり汚れたりしないように抱えながら、装備したレインポンチョを脱いだりリュックに着せたジャージを片手で頑張って外してどうにか財布を取り出す。自動販売機にはカエルが張り付いていた。結構でかかった。どこから来たんだろう。
サコッシュとリュックを分けたのは、避難所の中でもサコッシュをぶら下げて貴重品を肌身離さず持ち歩けるようにだったので、貴重品をサコッシュにしまっておかなきゃいけなかったんだけど、まさか道中で荷物を開けるタイミングが来るなんて想定してなくて、財布もサコッシュに入れておかなきゃーって思った。この作業で結構体力とメンタルが持っていかれた気がする。
20:30くらいに、避難所の小学校の正門に着く。門は開いてなくて、鍵がしまってるみたい。こんなに頑張って歩いたのに、誰も避難してなくて開いてないとかだったらどうしよう…ってすごく不安になる。とりあえずフェンス横を歩いて他の入り口を探してみる。学校が見えて安心しきっていたので、ここの段階で気持ち的にはすごく疲れてしまう感じ。全部で4つくらい入り口があったんだけど、開いてたのはひとつで、体育館から近いところ。一番最後にたどり着いたんだけど、小学校のことを何も知らなくてこの辺もあまりこない人間からすると入り口を暴風雨の中で探すのは結構辛かった。日頃から全部の門に「避難所として開設するときはここの入り口を基本的に開けるからこうやって来てね」って表示があるだけでも心持ち的には全然違うなって思った。すごく絶望したから。
それからこれは自分の住んでるところが安全とは言い切れないからかもしれないのでなんともだけど、避難所が駅の反対側なのでもっと近くに避難所があればいいのにって思った。暴風雨の中で歩き始めてから、入り口を見つけて避難所の屋根に入るまで30分くらい。道中むちゃくちゃしんどかった。着いたころにはフードかぶってたはずの髪の毛は風呂上がりかってくらいびしょびしょで、顔も洗顔後みたいだった。ワイドパンツは裾から水が滴っていて、グレーのTシャツワンピは裾に向かって綺麗なグラデーションになっていました。

避難所に着いて

入り口を開けると、受付してくださいって言われて書類を書かされる。名前と生年月日、住所、性別など。身分証を持っていなかったので不安だったけど提示の要求はされなくて安心。ちなみに受付の人よりも先にお出迎えしてくれたのは小さなチワワでした。体育館の昇降口のところで、小さく畳まれた毛布の上にちょこんと座っておとなしくしてた。嵐の中を歩いて来て放心状態だったんだけど、可愛いものにお出迎えされたので拍子抜けした。

受付を済ますと、災害時用の毛布を渡された。袋に圧縮されて入っていて、持ってもそんなに重くない。体育館に入ると、ざっと70人くらいの人が避難していた。壁に沿った感じで各々居場所を見つけて、配られた毛布を敷いてテリトリーを確保し、携帯をいじったり横になったり、本を読んだり、一緒に避難して来た友達やパートナーとおしゃべりしたりしていた。ステージの上は緞帳もあるし人目につかなくて落ち着くかなって思ったんだけど、盗難に注意したかったので床側の、壁に沿った端に毛布を敷いて居場所を確保した。毛布は意外と厚さがあって、あったかい。肌触りも悪くない。すごく安心。

濡れた服を着替えるためにトイレに行くと、脱衣所もあった。シャワーもひとつだけついてた。案外快適そうでいい感じ。大学時代の生活を思い出す。ここで水とかも止まらなければ、結構何日いてもいいなって思った。
服を着替えて髪の毛を拭いて、荷物をいろいろ開けてみる。お茶を飲むとすごく落ち着いた。道中いじれなかった携帯を開けて、妹や友達に連絡をしたり、Twitterで避難したことを呟く。

避難して来た人たち老若男女さまざま。おじいちゃんおばあちゃんもいるし、独り身の50代くらいの男の人や女の人もいる。でも結構多いなって思ったのは一人暮らしの自分と同じ年齢前後くらいの人たち。大学も周りにちょこちょこあるので、一人暮らし用のアパートやマンションも多いからかな。荷物の量は結構身軽でリュックひとつって感じ。状況がわからなくて不安だからとりあえず来てみようかなって感じなのかな。私もか。
大学生の女の子4.5人くらいが固まって毛布を敷いて、トランプをやったりしてわいわいしていた。学生寮みたいなとこから来たのかな。途中で大学生くらいの男の子2人組みがその集団に話しかけていた。知ってる人たちがいると安心するよね。
6人家族くらいの人たちは、みんなでトランプをやったり、勉強をしたり、お母さんは寝ていたりして、家族の家の中をのぞいているような感覚でとても面白かった。

避難所メシ

自分の居場所を確保して、人とも連絡が取れて安心すると、だんだんお腹が空いてきてしまった。家にいるときに具がたくさん入ったスープとしじみの味噌汁しか飲んでなかったことを思い出して、とりあえず持ってきたカップ麺を手に取り受付に行く。お湯はないって言われてしまい、ラムネのみで夜を明かすの、結構しんどいなって思ってたんだけど、Twitterにそのことを書いてみたら水でカップ麺が食べられることを教えてもらって早速実行にうつす。このときのツイートがこちら。

しっかり汁まで完食した。あったかいのとそこまで味も食感も変わらなくて、猫舌の私はフーフーしないで食べるカップ麺が新しくて楽しかった。たまーにならやってもいいかなって感じ。教えてくれたいおりんありがとう!
体育館の中ではあんまり食べないほうがいいかな?と思って、体育館横のベンチがある通路で食べた。匂いもあったので。体育館に戻ってざっとみてみると、飲食はみんな案外してるっぽい感じだった。お湯も水も必要ないものを買うほうがきっといいなって思った。
あとここでゴミ袋の小さいやつがあったほうがいいなって思った。カップ麺を入れていた袋を使ったので結果的には困らなかったけど、もう少し長く滞在することになりそうな場合は、レジ袋がいろんな大きさで2〜3枚あるといいなって思った。
飲み物が500mlの水とお茶ひとつずつしか買ってなくて、一応確保しておきたかったので、食べ終わってから少しお茶を飲んで、すぐに歯を磨いた。歯を磨くと食欲がなくなるので、ごはんをあんまり食べたくないときとか、口さみしいときとかはよくやる。もう口に何も入れないよ!って身体に合図してるみたい。

帰る人々

トイレに行って歯を磨いて、もう大人しくしていいなって準備が整った。カップ麺を食べる前の22:20頃、受付にいた人が体育館にいる避難してる人たちに順番に声をかけて回っていた。23時になったら消灯するとのこと。その呼びかけを聞いて、荷物をまとめ始める人がちらほら出てきてた。カップ麺を食べる前は100人ぐらいいたんだけど、食べ終わって戻ってくると80人くらいに減っていた。でもまだ外は激しい雨が降っているみたい(Twitterの様子だと)で、外に出るのは危険かなと思って残ることにした。少しずつ荷物をまとめて人が出ていくところを見て、ちょっと不安になったけど、もうぐっすり寝てる人もいたので閉まることはないだろうと自分に言い聞かせてくつろごうとする。
23時になると全てつけていた照明が減って、真ん中の列だけつけた状態になった。薄暗いより明るいぐらい。本も全然読める明るさ。消灯すると、それまで起きてた人たちも横になりだした。出ていく人も落ち着いた。この時点で60人くらいに減ってたと思う。
私も眠くなってきたので少し寝た。でももうすぐ天気も落ち着くだろうと思ったし、盗難が恐いのであんまりぐっすり長く寝たくなくて、意識は起きていた感じ。0:00、0:30、1:30、2:00の時計をみた記憶。2時過ぎにまた人が少しずつ帰って行った。Twitterを見ると月が綺麗で雲ひとつない写真がちらほら上がるようになってきて、私も少し起きて横になりながら携帯をいじったあと、外に出てみた。私も綺麗な月が見れた。さっきまでの嵐とか、びしょ濡れになって泣きそうになりながら死ぬ気で歩いたあの時間とか、避難所にいる自分とかが全部嘘みたいに。穏やかな夜がそこにはあった。月は明るいのに、なぜだかいつもよりずっと暗くて濃い色をした夜だなと思った。帰ろうか迷ったけど、その濃さがなんだか恐くて、明るくなってから帰ることにした。もう多分どんなに疲れててもここで眠ることはないだろうと思い、パソコンを開いてこの記事を書き始める。広い体育館は大きな音を出すと響くけど、3メートルぐらい離れた人の話し声は何を言っているのかわからないぐらい遠くて、キーボードを打つ音はきっと誰にも聞こえていないだろう。

(ここから先はぐっすり寝て体力を回復した13日の夜に書き始めています)

4:30くらいからだんだん目を覚まして身支度を整えて帰る人が増えてきた。まだ外は薄暗いけど、雨も止んで風もないので帰るにはちょうどいい。私もそろそろ出ようかなと思いながら、手が止まらなくてわーっと文字を打っていく。5:30くらいになって、ぱっと顔をあげるともうすっかり窓の外が朝で、私も毛布をたたんで重たい荷物を背負って歩きだした。天気が良くて少し暑くて、帰宅したら汗をかいていた。家について、電気も水道もガスも止まってないか確認したけど問題なかった。というか私の家が土砂崩れでなくなっていなくて本当に良かったと安堵する。浴槽に溜めていた水の中に、吸盤で掛けていた石鹸が落ちて溶けきっていたこと以外は何も変わってない家だった。
とりあえず何日分も溜めてた服を洗いたくて、浴槽の水を鍋で汲んで洗濯機を回す。その間に残ったもう一つのカップ麺をお湯で作って食べる。箸を持つ手が震えてて、疲れがもう限界なんだなと思う。洗濯物を干したら寝ようと思って、全てが終わってから布団に入ったのに、頭の中はまだ台風が過ぎていなくて、なかなか寝付けない(ただでさえ日頃から寝つきはものすごく悪い)。眠れないと体力が回復しないし、体が悲鳴をあげてたので、甘えて13日のバイトは休ませてもらう(まほさんあきさん太一くん本当にありがとうございました)。


本当に長々とありのまま起こったことを書いただけだけど、書き終えて何がしんどかったか振り返ると、身体が疲れてるのに心が寝かせてくれない時間だったような気がする。安心できる要素が圧倒的に少ない環境の中だと、いくら疲れきった身体があったとしても脳みそは眠ってくれない。今回は一晩だったけど、例えば東日本大震災の宮城とか福島の人たちみたいな、長期的に避難所に生活しなくてはいけない状況で、だだっ広い体育館の中で毛布や敷いたもののみで自分のプライベートゾーンを確保して安心できるなんてきっと無理だなって思った。車に寝泊まりしてエコノミー症候群で亡くなる人が出てくるとか、そういうのを文章とかニュースの情報だけで”把握は”していたものの、いざ自分が体験してみると、車って絶対に安心できるし、身体を犠牲にして安心をとった結末がそれだったのかなって考えると、きっと自分もその状況になったら車とか仕切りがあるところを求めてしまうだろうなと思ったし、その結果で亡くなってしまった人のことを考えると心が痛い。いろんな災害を乗り越えて前向きに生きている人たち、計り知れないぐらい大変だったなって思うし本当にすごい。薄っぺらい言葉になってしまうのが悲しい。


何日か経ってみて

何日か経ってみて、今回の台風の被害がだんだんわかってきたみたい。家が壊れたり大切な人やものがなくなってしまった人たちが出てきているのもニュースやネットで目にしている。被害に遭われた方々が、それぞれが落ち着いて安らげる瞬間や場所が一日でも早く見つかるようにと心から願いながら、私も私にできる最善の支援を探しそうと思います。

長い文章を読んでいただき、ありがとうございました!


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照れちゃうなあ。ありがとう。
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"弾いてもらい語り"というスタイルで活動しているシンガーソングライター水野谷みき(みずのやみき)です。バンド「towel」「WoollyBearsJazzOrchestra」のドラム、劇団「排気口」の役者でもあります。表現と生活をこよなく愛しています。詩や文章を書くのが好きです。
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