【読書感想文】死ぬほど読めて忘れない高速読書

今回はこちらの速読に関する本の感想を述べたいと思います。

この本、けっこう売れてるみたいですね。
電車の中でも広告をよく見かけたりします。
しかし、この本に対する感想としては、私の考えとほぼ同じ部分もあり賛同できる所も少しはありますが、全体的に見るとあまり評価できるものではないというのが正直なところです。

では、最初に評価できる部分について述べたいと思います。

まず、よくある速読本と同様に、目的を明確にして本を読むというのは良いと思います。
これと反対の意見として、目的を定めてしまうとスコトーマ(盲点)ができてしまい、目的に関係ない部分の情報が入ってこないのでよくないという主張をしている人も世の中にいます。
しかし、そもそもわざわざ本を買って読むというのは、目的があってすることなので、これを否定する理由はまったくありません。
いついかなる時でも、人間にとって目的意識を持つことは重要だと思います。

次に速読のテクニックとして2つ紹介されていますが、これも評価できる内容だと思います。
一つは「漢字だけリーディング」、もう一つは「つまり読み」です。

1つ目の「漢字だけリーディング」は、ひらがなよりも漢字の方を重点的に読むことでスピードを上げる方法ですが、これは下記の記事でも書いた通り、読書スピードを高める上で有効なテクニックだと思います。

また、2つ目の「つまり読み」は、頭の中で「つまり要点は何なのか?」ということをつぶやきながら読む方法ですが、これもまさしく私が以前下記の記事で書いた仕事における速読術と同様のテクニックです。

どうやら世の中に出回っている情報を鵜呑みにするのをやめて、自分にとって本当に使える有益なノウハウは何かということを突き詰めて考えていくと、結局到達する真理は似たようなものになるのではないかと思われます。
著者も私も独自に自分に合う速読法を模索しましたが、その結果導き出した結論が一緒のものになったというのは、とても興味深い現象です。

以上がこの本で評価できる部分ですが、次にあまり評価できない部分について述べたいと思います。

まず、著者は1冊を30分で読むことを推奨していますが、私はその程度の時間で次から次へと本を読み散らかしていって、いったい何の得になるのか分からないという立場です。
下記記事でも書いた通り、自分にとって有益な情報を仕入れたいということが目的であれば、わざわざ費用対効果の悪い読書なんかせず、ネットで情報を検索した方が遥かにお得だというのが私の意見です。

次に、著者は本に青ペンでメモしながら読むことを推奨していますが、そもそもこれは紙の本で読むことを前提に書かれたものです。
しかし、多くの一般人にとって紙の本を多数自宅で所有することは現実的ではありませんし、本は電子書籍で購入するのがこれからの世の中、増々スタンダードになっていくのではないかと思います。
そのような現代社会の実情にあまり合っていない内容を推奨していることが、低評価の理由となります。

また、この本の後半ではよくある読書術の本でお決まりのパターンのように、読書が如何に素晴らしいことであるかが強調されていますが、私が最も重視するのは読書よりも自分の頭でひたすら考えることです。
読書でまず情報収集することの方を優先している点で私の感覚と異なるため、この点も低評価の要因となります。

以上の通り、この本は参考になる部分もいくつかありますが、全体的に見て読書至上主義的な所が見られるため、評価としては低いものになります。
おそらく著者が決めたものではないと思いますが、タイトルの「死ぬほど読めて忘れない」という部分も、ちょっとセンスの悪さを感じずにはいられません(笑)

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