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気になるニュース、「高校生に『情報』教育」

ニュース番組を見ていて、なにかひっかかったのが、「“新しい時代”の教科書 高校 新必修科目の内容が明らかに」です。(NHKニュース 2021年3月30日)
「情報I」と「公共」が2022年から新しく必修教科になるのだそうです。「情報I」も「公共」も必修化というのは正直「気持ちが悪い」話ですが、「パソコン千夜一夜物語」では、「情報I」についてとりあげたいと思います。

おそらく英語教育の失敗の二の舞に終わる!

「情報教育」になんでもかんでも反対する訳ではありませんが、進学率が高く、半ば「義務教育」とも言える高校での「必修化」についてはおおいに疑問です。国や文部科学省はきっと、「諸外国に比べて情報教育が遅れていて、プログラミング分野やAI活用などで日本が後進国になっている」という懸念を「情報教育」で払拭しなければならないと考えているのでしょう。日本のIT化が遅れているという現状認識は間違っていませんし、その解決のために教育が重要であることには間違いがありませんが、「必修」にすればよい、そのための検定教科書を作ればよいという発想は、本質を見失っているのだと思います。
つまり、教科書を使って一律に教育すれば、国家が必要としている人材を育成できると考えているところに、英語教育での失敗に全く学んでいない問題点が潜んでいます。
英語教育では、会話力がないことについて問題視されていますが、それは当たり前の話で、会話力を向上させるような教育が施されてこなかったためですし、そもそも全生徒に英会話の機会を提供できるだけの公立学校での充分な数と質の教員がいない状況では、当然と言えます。「会話はできない、読み書きができれば良い方」というのは義務教育としては御の字(おんのじ)だと筆者は思います。それを小学校からの英会話を必修として課せば、英語嫌いが増えるだけの結果に終わることは間違いがありません。母語以外の語学の修得には大きな労力が必要です。(1)覚えなければ生きていくことができないというくらいの状況に追い込まれるか、(2)外国語を修得することによって大きな富を得ることが保証されているか、あるいは(3)生存や富とは全く関係はないけれども外国語が好きで好きでしようがない、くらいでないと世界に通用する外国語(欧米の大学に入学して英語で専門教育を受けることができるレベル)は獲得できないのでは、ないでしょうか。
教育に何を期待しているのでしょうか。他の国との比較なのでしょうか。中学英語は捨てたものではないと思います。高校でも、大学でも中学英語の維持くらいをターゲットにするのが「必修化」するのであれば、丁度良いと思います。英語などの外国語でなくても、多くの日本人にとっての母語である日本語で大学の講義ができるのであれば、大変結構なことだと思います。(大学院レベルではそうはいかない専攻の方が多くなるかもしれませんが)
さて、ずっと「英語」の話に脱線していましたが、ほぼ同じ構図が「情報教育」にも言えると思います。「日本の遅れ」を、もし取り戻したいのであれば、「必修化」による「強制」は逆効果になるでしょう。プログラミングできる人材を増やすには、「プログラミングが楽しくてしようがない、寝食を忘れて没頭する」子どもたちを増やすことしかないでしょう。興味を持つ子も、興味を持たない子もいます。だから、「必修化」で全員に無理強いする試みは必ず失敗します。
「軍国教育」や「道徳教育」で見られたように、国家は、教科書に教えたいことを書き込めば、望んだような国民が多数育ってくると勘違いしています。
冒頭に「気持ちが悪い話」と書きました。敗戦までの軍国教育と同様で、無用な劣等感を感じさせるような英語教育、復古的な道徳教育、今回導入される情報教育は改めなくてはならないと思います。

2021年3月30日のコメント

年度末ですね。テレビも多くの番組が終わり、新番組の予告が流れています。「しっくりしないなぁ」という思いを今は持っていますが、お気に入りはみつかるかな。
では、また明日。

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