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【投資ノウハウ】産業のコメ、半導体。製造装置、素材に関連する企業に注目!

昨年の秋以降、半導体不足が続いています。
ニュースメディアでも、自動車用の半導体の不足から、トヨタやフォードなどが生産調整を実施しているとの報道がみられました。

「産業のコメ」とも言われる半導体は、自動車に限らず、パソコン、スマートフォン、エアコン、冷蔵庫といった私たちが日常的に使用する物から、電気・ガス・水道の制御といったインフラに関わるものまで、いたるところに使用されており、いまの私たちの生活は半導体なしでは、成り立たないと言っても過言ではないでしょう。

今回は、半導体の世界、特に半導体製造装置の世界をみてみましょう。
正直に言って、ちょっと難しい内容です。。

◆まず初めに

まず初めに、今回の内容をざっくりと分かりやすいように、製造工程と関連企業を簡単な表でまとめました。

半導体製造固定と関連企業

上記の表を簡単に確認したら早速本題に入っていきましょう!
↓ ↓ ↓

半導体市場予測

◆半導体市場状況

まずは、半導体メーカーをみていきます。
業界団体がまとめた世界半導体市場統計(WSTS)によると、2021年の半導体市場規模が前年比8.4%増の4694億ドルとなり、過去最大規模になると予想されています。

また、今後、AI、5G、自動走行車、クリーンエネルギーなど半導体需要の拡大が予想されることから、同統計の長期予想では2030年は5250億ドル、2040年は6375億ドルと10年ごとに市場規模が1000億ドル前後拡大する見通しになっています。

半導体業界は、競争の激しい業界ですが、市場規模の拡大は、インテル(INTC)、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)、ブロードコム(AVGO)、マイクロン・テクノロジー(MU)、エヌビディア(NVDA)といった半導体メーカーにとって、中長期的な追い風となるでしょう。

上記の企業の直近の決算をみると、データセンター向け半導体需要の落ち込みから、インテルは減収減益となりましたが、他の4社は巣籠もり需要もあり増収増益となっています。ただ、注意しておきたいのは、上記の5社のうち、インテルを除く4社は、ファブレスと言って、自社で半導体の設計はしますが製造はしていません。

製造はファウンドリと言って半導体の製造を専門に行うメーカーに委託しています。このため生産量等の制約を受けることがあります。

半導体製造装置、半導体素材に注目

半導体需要が高まれば、それに伴い、半導体製造装置や半導体素材の需要も高まります。

国際半導体製造装置材料協会(SEMI)は、2020年末の半導体製造装置市場予測を発表しました。それによると、2020年の半導体製造装置(新品)販売額は、2019年の596億ドルから16%増加し、過去最高となる689憶ドル、2021年は719億ドル、2022年には761億ドルに拡大すると予想しています。

予想通りとなれば、半導体製造装置販売額は3年連続で過去最高を更新することになります。

半導体メーカーは、海外の企業が目立ちますが、半導体製造装置や半導体素材では、日本企業も存在感をみせています。半導体の製造工程ごとにどのような企業があるかみていきましょう。

◆半導体構造:前工程

シリコンウエハー

半導体製造は、大きく前工程と後工程に分けることが出来ます。

前工程とは、シリコンウエハーの表面にLSIチップを作る工程です。シリコンウエハーとは、銀色の円盤状のもので、この上に回路を焼き付けるのですが、テレビ等で白い服をきた作業の方の前を、大きな機械にのって流れているのをご覧になった方も多いと思います。シリコンウエハーは、単結晶シリコンから切断して作ります。

この単結晶シリコンで高いシェアを持っているのが信越化学工業(4063)とSUMCO(3436)です。ともに30%を超えるとみられています。

シリコンウエハーの切断面には細かいゴミや凹凸があるので、磨いて綺麗にする必要があります。ここで使われるのが研磨(ポリッシャー)装置です。ポリッシャー装置で世界シェアの6割~7割を持っているのが、ディスコ(6146)です(ディスコHPによる)。

成膜装置

切断面にポリッシャーをかけられたウエハーは、次に洗浄され、成膜装置を使い、薄い膜(酸化被膜生成)をつけます。

この分野で高いシェアを持っているのが東京エレクトロン(8035)です。以前は日立国際電気も高いシェアを持っていましたが、この事業は米半導体製造装置メーカーのアプライド・マテリアルズ(AMAT)に買収されました。

薄い膜を付けられたウエハーは、再び洗浄装置で洗浄されます。

洗浄装置は、SCREENホールディングス(7735)が強さを持っている分野です。
洗浄されたウエハーは、ろくろのような台に乗せられ、回路を焼き付けるために感光材(フォトレジスト)を塗りつけられます。

フォトレジストは、富士フイルム ホールディングス(4901)が得意とする分野です。また、感光材の塗布には、感光材塗布装置が使われますが、ここでも東京エレクトロン(8035)が高いシェアを持つと言われています。

感光材塗布装置

そして、回路パターンが描画されたフォトマスクと言われるガラスの板を通して波長の短い遠紫外線をシリコンウエハーに照射し、光が当たった部分だけ感光材が変質することにより回路パターンがシリコンウエハーに転写されます。
このフォトマスク製造用の原板となるのがマスクブランクスです。

マスクブランクスで約70%のシェアを持っているとみられているのがHOYA(7741)です。また、回路を正確に描くため、「フォトマスク」と「マスクブランクス」の検査も重要になりますが、現在、レーザーテック(6920)がフォトマスクで90%以上、半導体用マスクブランクス検査装置に関しては、2000年初め頃より100%の世界シェアを維持しています(同社HPより)。

露光・現像

次にエッチングと言って回路が刻まれたシリコンウエハーから不要なフォトレジストを除去します。

この分野は、東京エレクトロン(8035)やアプライドマテリアルズ(AMAT)が強さを持っています。不要なフォトレジストが取り除かれると、半導体を電気的に検査しますが、ここでも東京エレクトロン(8035)の検査装置が有名です。

◆半導体構造:後工程

ここから後工程に入ります。
最初はシリコンウエハー上に描かれた回路を一つずつ切り離すダイシングという作業です。

ダイシング装置では、ディスコ(6146)が世界シェアの約7割をもっています。

ダイシングが終了しましたら、ワイヤーボンディングという金線などでチップ側とフレーム側とを配線します。
その後、モールドという、ワイヤーボンディングが終了したICチップを、保護するため、モールド樹脂で密封します。

最後は再び検査をして完成となりますが、検査装置はアドバンテスト(6857)が有名です。

半導体完成まで

このように、半導体メーカーとしては、かつての地位を失った日本企業ですが、製造装置や材料では依然として高いシェアを持っています。半導体需要は、今後、さらなる拡大が見込まれますので、上記した企業の動向には注目したいです。

記事作成:2021年3月8日

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