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Payao×Taisho 編曲制作の裏側、プラグイン を公開します。

こんにちは。フリーでアーティストをしています、Payaoです。このnoteでは、僕の新曲の編曲過程、利用したプラグイン、音源を公開するという企画です。まずは経緯からご紹介します。
Payao

Taisho

3/10、嵐やJUJUへ楽曲提供しているアレンジャーTaishoさん( @Taisho_nori )と、私の楽曲の編曲過程をTwitterでlive放送する編曲生live配信を行いました。きっかけは下記のツイート。

沢山のいいね!が集まりましたので、急遽Taishoさんと相談し、実験的に編曲の生配信を行う事になりました。実際の映像がこちら。

1部

2部

なんと合計2000人以上の方に見てもらうことができました!見て頂いた方ありがとうございました!
また楽曲のbefore/afterは下記になります。

編曲で曲のイメージがかなり変わったことがわかると思います。
この楽曲を生配信6時間くらいで作成していたのですが、映像では僕らの作業風景はわかるものの、肝心の詳細なやりとりが分かりにくいと思います。

そこで!今回は編曲制作の裏側を公開します。具体的には各パートの意識した点や使用した音源・プラグインなど、DTMerは参考になる点も多いと思います。
是非ご覧いただければ幸いです。

制作の流れ/音源・プラグインの紹介

項目と動画の再生位置は下記です。1部と2部の動画で再生位置まで音色・やりとりを確認してもらえるとわかりやすいです。
①リズムを作る(1部:7:00〜)
②ベースを入れる(1部:41:00〜)
③ピアノを入れる(1部:1:09:00〜)
④ストリングスを入れる(1部:1:09:00〜)
⑤ギターリバースを入れる(2部:1:12:00〜)
⑥2番サビの音圧を厚くする(2部:1:30:00〜)
⑦理想のピアノの音色を探す(2部:2:33:50〜)
⑧歪ませたドラムのループを入れる(2部:3:14:00〜)
⑨反省・感想(2部:3:32:00〜)
⑩パラデータを公開!

下記に各項目で意識した内容を記載していきます。

①リズムを作る。(1部:7:00〜)

こういったポップスのバラードでありがちなピアノの伴奏に、いかにもなストリングスを入れて壮大にしていく、というのは絶対にやりたくなく、よりモダンな印象を出していきたいと考え、打ち込みのキックの音や、あまり通常使われない効果音的な音をリズムに組み込んでいきたいと構想。またしっとりはしたいけど、複雑さも欲しい。微妙なニュアンスを表現していくように音色を選択。
音源/プラグイン
●ハイハット Native Instruments BatteryのTR909のハイハットを使用
●キック SONIC ACADEMY KICK2
●スネア パソコンに取り込んであったサンプリングCD のスネアを使用
●指パッチン Taisho のリアル指パッチンを以前にマイクで収録したものを使用

②ベースを入れる(1部:41:00〜)

リズムを決めた後がベース。1番はシンプルに、2番以降は少しトリッキーなフレーズを入れて展開。リズムを電子にベースを含む弦楽器類はレトロな音を利用して重厚感を出していきたい。そこで選んだのはウッドベース。もともとのコード進行、メロとぶつからないベースメロディを考えるのに少し時間が掛かった。

音源/プラグイン

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③ピアノを入れる(1部:1:09:00〜,2部:03:00〜)

曲全体の彩り、コード感を大きく決めるピアノを入れてく。
ここでコード進行を確定。原曲のコードからTaisho氏がイメージを膨らませ、よりお洒落でモダンなコードに転換していく様子が分かる。曲のイメージ、メロが変わらない範囲でどこまでお洒落にできるか二人で試行錯誤していく。

音源/プラグインについては⓻へ

④ストリングスを入れる(2部:39:00〜)

ストリングスの音は重厚なものをイメージ。Taisho氏が事前に用意していた音源がイメージとぴったりだったため、そのまま利用。ストリングスはオケに伸びやかに入れていくために、主旋律をオフにしてRec。オーケストラよりも一人のバイオリニストがソロで弾いているイメージで始まる。序盤は低音域で重厚感を出し、せり上がって高音域に到達することにより壮大さも兼ね備わせるメロディラインを選択。

音源/プラグイン
●ストリングス全般に使ったソフト バイオリン、チェロ、コントラバスなど、 EASTWEST Symphonic Orchestra

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⑤ギターリバースを入れる(2部:1:12:00〜)**

イントロに効果音としてギターリバース音を入れ、よりモダンな空気を作っていく。
音源/プラグイン
●アコギのリバース音 OUTPUT REV AC Guitar

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⑥2番サビの音圧を厚くする(2部:1:30:00〜)

2番サビで曲の盛り上がりを作るために、さらに楽器を増やし音圧を厚くしていく。ギターのアルペジオは通常のポップス要素が増すので却下。土台ができてきたのでノイジーな音や遊び要素がある音入れ味付けしていく。

音源/プラグイン
●ベルのアルペジオのピッチをあえて不安定にして 揺らぎ効果を出すために使ったソフト Zotope vine

⑦理想のピアノの音色を探す(2部:2:33:50〜)

よりピアノの存在感を出すために、宇多田ヒカルの「誰かの願いが叶うころ」の生ピアノに近い、暖かい重いピアノに変更。メロディ自体もベース音をオクターブ下に差し替えていく。

音源/プラグイン
●イントロ部分のピアノは低音を活かすために Payaoセレクトで選んだ音色 SYNTHOGY IvoryⅡ のスタインウェイ Concert D Grand Ⅱ
低音を強調するために UAD Cambridge で低音を強調させるEQの設定にして UAD UA 1176AEでコンプを軽くかける。

SYNTHOGY IvoryⅡ

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コンプレッサー設定

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●1番サビ以降 ピアノ Steinberg The Grandのスタインウェイ Model D を使用

⑧歪ませたドラムのループを入れる(2部:3:14:00〜)

細かい作業だが、2番Bメロにドラムループを入れて装飾し、サビでループが変わることにより、サビにインパクトをだす。

音源/プラグイン
●ループドラムその2 LogicX 付属のサンプラーEXS24のドラムを 手打ちで打ち込み、 DADA LIFEのSAUSAGE FATTENERで音を太くして Bitcrusherでビットを落とす。 さらにAUDIO Ease Speakerphoneで ラジオボイスにして 最後にLogic X のchannel EQでLoをバッサリカット ミッドを持ち上げハイを少しカットして 金属的な汚れたループを再現。

Bitcrusherの設定

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スピーカー、空間をシュミレートするプラグイン

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曲全体に利用したリバーブ:ValhallaRoom

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⑨反省・感想(2部:3:32:00〜)

【Payao:反省・感想】
いやぁ~楽しかった!誰かと編曲を一つ一つ話し合って進めたことも初めてですし、それを生放映することも新鮮でした。あまりカメラは意識せず淡々と進めちゃいましたが、興味を持って見続けてくれた方もいたようなので嬉しかったです。特にDTMを始めたばかりの方だったりすると参考になることも多かったんではないかと思います。またこんな放送して欲しいとか要望があれば応えていきたいですね。あとは撮影面でサポートしてくれる人募集してます。もっと綺麗な画質で、マイクで、僕らの顔もDAWも見える状態で放送したいのですが、やり方が分からず…(笑)よろしくお願いします。

【Taisho:反省・感想】
制作で意識していたのは前もって参考曲を頂いていたので、 参考曲の雰囲気+Payaoさんの今までの楽曲の雰囲気をプラスして 普通になり過ぎないようにTaisho自身が好きな変わった音を使うというのを意識しました。共同作業は何度も経験してきましたが、Payaoさんとの共同作業は 役割分担がハッキリしてるのでとてもスムーズに制作が出来きましたね。今度はトラックを先に作ってPayaoさんにそのトラックの上からメロディを載せてもらうというパターンでも作ってみたい。 試行錯誤をしていく上で二人で作るときはこう作ると良い感じになる!変わった感じになる!というのを見つけて 色々試してみたいですね。二人での制作や撮影の仕方とかも効率よく出来るように慣れていくのが課題ですね。

以上になります。

いかがでしょうか?今後音楽制作をするにあたって参考にしていただければ幸いです。何かあれば質問くださいね!どうぞよろしくお願いします。

Payao

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