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夜行バスでは自分の世界に浸りがち


この記事は、深夜にBUMP OF CHICKENの『aurora arc』というアルバムを聴きながら書いたものです。ぜひアルバムを流しながら読んでみてください。


はじめに


2019年7月に発売された、BUMP OF CHICKENのアルバム『aurora arc』。


この大好きなアルバムの世界観を伝えたくて、どう言語化するか悩んだ結果、はじめて聴いたときの感情を素直に書いてみることにしました。


改めてアルバムを聴きながら当時を思い出して書いたので、恥ずかしいところは多いですが、少しでも共感してもらえたり、聴いてみようと思ってもらえると嬉しいです。



・・・


昨年の夏のある夜。


東京から京都へ帰る夜行バスの車内。


ふと目に入った『aurora arc』をなんとなく流し始めた。


カーテンの中に頭を入れ、ひんやりと冷えた窓におでこをペタっとくっつける。


ゆらゆらとバスに揺られながら、ぼーっと外を眺める。


外の世界は闇に包まれながらも数多の星が瞬いており、どこまでも広がってゆくような星空に心を奪われる。


ぼんやりとオレンジ色に光る高速道路の照明灯が、一定の間隔で次へ次へと流れてゆく。


流れ星のように一瞬現れてはスッと消え、また次が現れる。オレンジ色の光は残像のように尾を引く。


まちが眠りにつく中、外を眺めながら自分だけの世界に浸る。


邪魔するものは何もない。


最近悩んでいることを深く考え直してみる。


半年後に始まる就活への漠然とした不安。


これからの人生どんな仕事をしてどう生きるか。


人生の岐路に立つ今の状況が嫌になる。


早く解放されたい。


ただ、数年後、数十年後にどんな仕事をしているかを想像し、少し楽しみにもなる。


昔の思い出を思い出して少し切なくなる。


もうあんなバカ騒ぎすることはないのかと。


自分にとって大切な人を思い浮かべる。


最近会いに行けてないことを申し訳なく思う。


ゆっくり自分を見つめ直す機会があまりなかったことに気付く。


生き急いでいたのか。


無理をしながら生きているのか。


人に合わせすぎているのか。


友達にこんなことを相談すると、「気にしすぎだ」「メンヘラかよ」と言われるだろう。


でも今は、気にならない。


なにを考えていてもいい。


今は自分だけの世界。


照れ臭くて普段は人に言えないような悩み。


恥ずかしくて気付いていないふりをしている感情。


新しく気付いたり、改めて見つめ直す。


東京で友達と飲み明かした夜の余韻に浸る。


東京の騒がしく華やかな雰囲気を懐かしむ。


東京が恋しくなる。


でも京都の自分の家に帰りたくもなる。


東京が恋しいのか。


いや、おそらく友達と話していた時間が恋しいのだろう。


夜行バスから降りれば、また日常に戻る。


寝てしまいたくない。


この瞬間が愛おしい。


自分を見つめ直している今の自分にも酔う。


夜行バスで新たな自分に出会った。


場所も時間も変わると、自分でもイタいと思うだろう。


そう分かっていながら余韻に浸る。


余韻に浸る"この瞬間"は、言葉にできない不思議な感覚がある。


なんでもない時間なのにずっと心に残るであろう時間。


そう思わせてくれる歌。


透き通った声に心の奥まで届く歌詞。


いつでもまた"この瞬間"に戻してくれる音楽。


このアルバムは、そのときに自分がいる世界から"この瞬間"へとタイムスリップさせてくれる、そんな力を持っている。


最後の1曲が終わりを迎える。


余韻に浸りながらも、闇に包まれたバスの車内でこっそりスマホの画面をつける。


光が漏れないように手で画面を覆いながら、もう一度同じアルバムを選ぶ。


再び1曲目のイントロが流れる。


もう少しだけ。


バスが到着するまで、もう少しだけ。


ここからまた、自分ひとりだけの世界。




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