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旅本トーク(恭庵書房の読書会)

GW最終日の5月6日、旅本トークと題して国内と海外の旅を感じる本を紹介し合うオンラインイベントを開催しました。当日話題になった本を紹介します。

志田威『東海道57次』
各地で市町村を超えてランニングをしていると趣のある風景に出くわすことがよくある。案内版などからそこが昔の街道だということを知り、歴史に思いを馳せることができる。この本が取り上げている街道というキーワードに加え、東海道といえば五十三次じゃないの?という思い込みを排そうと思い、選んだ。日本全国に無数にある街道を歩いて・走って旅する体験を多くの人にしてほしい。(佐谷恭)

星野道夫『旅をする木』
アラスカを旅した冒険家のエッセイで、旅の話ばかりではないが、旅を感じる乾いた風のエッセイ集。(政本洋輔)

中沢新一『アースダイバー』
縄文の地形がいかに現在の都市の形に影響を与えているかということを論じた本。「東京編」(『アースダイバー 東京の聖地』)を読んで明治神宮や渋谷周辺を歩いたことがある。橋や坂がつく地名をつないでいくと昔の風景を想像することもできる。長らく渋谷で仕事をしていたが、知らないことばかりだった。(長崎直樹)

デイズジャパン『DAYS JAPAN』
海外を旅したことのない自分にとって、戦争・貧困・難民・環境の問題について知る手段として創刊号からずっと読んできた。直視できないような写真も多いが、知っておくべき現実の入り口だった。経営難と社長・広河隆一さんのスタッフへの性暴力問題があり、2019年3月に廃刊。(政本洋輔)

武部洋子『旅の指さし会話帳 インドネシア』
インドネシアを旅したときに、現地の人に自己紹介をしたり簡単な会話をしたりするのに重宝した。(吉良康矢)

鶴見良行『ナマコの眼』
上述の、インドネシアを旅するきっかけになったのがこの本。ナマコを探す旅をしてみた。自分たちは食べないナマコを採って乾燥させて華僑に売っていることは当時の驚きだった。僕たちもよく食べるエビが、どこから来ているかよく知らない。鶴見さんの本はそういうところに意識を向けさせる(吉良康矢)

鶴見良行『バナナと日本人』
商品経済で文化が壊れるという話を、この本で読んだことがある。日本人がバナナを食べるとバナナの生産量は増え雇用が生まれるなどというが、自分たちが食べていたものの生産をやめてバナナばかり作るので、そればかり食べるわけにもいかず、生活が困窮するそうだ。(長崎直樹)


沢木耕太郎『深夜特急』
ダージリンからカルカッタへ向かう途中で入手した本。旅をしている自分と重ね合わせ、完全に引き込まれた。帰国してすぐ、2〜6巻を本屋さんで立ち読みして一気に読んだ。そして、買って帰って常に手元に置いている。バックパッカーのバイブルと言われる。旅をできない今こそ読んでほしい。(佐谷恭)

宮本輝『ここに地終わり海始まる』
ユーラシア大陸を3つのルートで横断した僕は、ロカ岬にずっと憧れをいだいていた。たまたまプロポーズをしよううと思っていた前の週に読み、ロカ岬こそ僕たちの結婚式にふさわしいと感じた。世界中から58人もの友人が集まる“旅”を演出するきっかけになった本。(佐谷恭)

遠藤周作『深い河』
『深夜特急』は一巻しか読まなかったが、同時に勧められた『深い河』は興味深く読んだ。宗教という観点で日本の隠れキリシタン(『沈黙』など)にも関心が広がった。(長崎直樹)
宗教観のない日本人は世界から信用されないから仏教徒とでも言っておけ、とよく言われたが、この本を読んで宗教に関して軋轢を避けるよりも思ったことを伝えるべきではないかと考え、インド以西を旅するときに実質無神論者ということを各地の人に伝え、概ね理解された。(佐谷恭)
宗教といえば、インドネシアでナマコ漁に行ったときに服を脱いで海に飛び込んだら驚かれた。ムスリムの漁師は服のまま海に入っていた。(吉良康矢)


恭庵書房では週に1回程度、読書会を企画しています。読みたい本、知りたいテーマなどあればお知らせください。




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パクチー(P)コワーキング(C)ランニング(R)を愛する、PCR+ な旅人です。 鋸南(千葉県安房郡)と東京(主に世田谷と有楽町)を行き来しています。