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「魅惑の心理」マガジンvol.180(ニュースな人たちの心理/2022年総決算)

今年もあと1ヶ月になりました。今年も色々なことがありました。そこで今年のニュースに登場した人たちの心理を考察し、まとめてみようと思います。今年起きた事件や出来事、世間を騒がせた人々の心理を見ることで、今の社会に湧き上がる心理が見えてくるはずです。あの事件の裏側にあった人の心、感情を探ります。

○東大前刺傷事件

2022年の1月には大学入学共通テストの試験会場の東大で男子高校生が、高校生男女2人と70代の男性の背中を刃物で切りつけて負傷させるという殺人未遂事件が起きました。犯人は17歳の少年でした。凶器に使われたのは、刃渡り約12センチ包丁で、包丁以外にも折りたたみ式の20センチののこぎり、6センチのナイフも所持しており、そこからも衝動的なものではなく計画的な犯行が伺えます。事件前、少年は地下鉄でも火災を起こそうとしていたことがわかっています。

少年が語った動機は、医者になるために東大を目指していたが、成績がふるわなくなり、人を殺して罪悪感を背負って切腹しようと考えるようになったと言っています。 「そんなことで人を殺すのか」「なぜ東大にこだわるのか」と言う意見もSNSではありました。不可思議な点は少年は高校2年の17歳。まだ受験までに1年もあるのです。ここに違和感を持った人も多いでしょう。

この事件の構造は弱者が強者や成功者を恨む通り魔事件に似ています。京アニ放火事件、川崎市登戸通り魔、秋葉原の無差別事件など数多くの事件があります。少年は家庭環境も悪いわけでもなく、志望校が難しくなっていったとはいえ、時間もある中で自暴自棄になるのには客観的に理解ができません。なぜこのような事件を引き起こしたのか。

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