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人間関係リセット症候群

色々な人と交流してきたのに突然、その人間関係を清算したくなる気持ちに襲われる人がいます。特にSNSの世界では、自分の本当の姿を知っている人がいないと関係を1回精算してまた0から構築しようとすることがあります。これを人間関係リセット症候群と言います。これはどういったものなのか、その症状と原因、そして対応策を探っていきたいと思います。

[目次]
○人間関係リセット症候群とは?
○何が原因なのか
 ◎自尊感情
 ◎人間関係の疲労(完璧主義・返報性)
 ◎人に相談できない(自己肯定感・人間不信感)
○なったらどうしたら良い?


○人間関係リセット症候群とは

私たちは様々な人と日々繋がって生きています。ところがある日、その繋がりのすべてもしくは一部を突然やめたくなる気持ちに襲われることがあります。これは多くの人が感じるものです。特別、珍しい感覚ではありません。ところがどうしても息が詰まったり、関係が煩わしく感じてしまい、本当に関係をリセットしてしまう人がいます。これを通称で人間関係リセット症候群と呼んでいます。「症候群」といわれるだけあって、様々な症状がみられます。SNSで「ツイッターやめます」と宣言する人もいますし、実生活で携帯を変えるタイミングでアドレスを消去してしまう人など、程度もすることも異なります。

○何が原因なのか?

人間関係をリセットしたくなる原因は何なのでしょう。それにはいくつかの原因が考えられます。単純に構ってちゃん?とも言われることもありますが、その原因は複雑です。

◎自尊感情

SNSでの交流では、たくさんの人と手軽に繋がれますが、とても浅い関係に思えてしまい。「もしかして、自分は求められていないのでは?」と考えてしまいがちです。もしかして自分は価値がないかもしれない。そんなことを思うこともあります。人には誰も自分には価値があり、他人に劣っていないという感情があります。これを自尊感情といいます。自尊感情の高い人は自分は価値があると思っていますので、他人の評価に左右されずに行動できます。自尊感情が低い人は誰かに認めてもらえないと自分を認められないのです。また自尊感情が低い人は色々なものにチャレンジすることを簡単に諦めてしまいがちです。

日本人は自尊感情が低く、アメリカ、中国の高校生を対象にした調査でもかなり低い結果になりました。「自分は価値ある人間か」という問いに対して中国人は80%に比べて日本人は45%という数字でした(国立青少年教育振興機構2018年調査)。これは日本の教育システムや価値観の違いも大きいとは思います。日本人のこの低さは大人になっても変わることがなく、低いままの人がたくさんいます。

 SNSの世界ではこの自尊感情が低いと「自分は求められていない」「好かれていないのでは」と感じてしまい、それを確認したい衝動にかられます。「フォロワーさんを整理します」「ツイッターをやめます」といって、相手の反応を確かめたくなるのです。本当に辞めたいと思う前に人間関係を確認したいと感じることがあります。Twitter、Facebook等は「いいね」を押すだけの関係になってしまうと、ふっと相手の本心を確認してみたくなり、いいねがないと不安になってしまいがちです。確認する行為はそれもひとつのコミュニケーションですから、悪い行動とはいえません。また「フォロワーさんを整理します」という人が自尊感情が必ずしも低いわけではありません。

◎人間関係の疲労(完璧主義・返報性)

リアルな世界でも SNSでも関係でも無理して人間関係を続けていると、ある日に限界点がきてしまい人間関係を精算したくなルことがあります。リアルな社会では「突然、会社辞めます」「近所付き合いをやめます」となかなかできませんから、引越しや転職などのタイミングか一つのきっかけになりがちです。特に完璧になんでもやろうとする人は、無理がつもりつのって限界がくることもあります。 SNSは身元がわかっていないこともあり、まさにリセットしてもう一度構築し直したくなる心理が働きます。気軽にできる SNSはやめるときもリアルな社会よりは気が楽に考えられます。そしてリセットしてしまった後で、友人たちを切ってしまったような罪悪感と虚無感に襲われて、また人間関係を作り始めて、疲れてやめるという行為を繰り返しがちになります。

気を遣いすぎるとこの限界は早めにやってきてしまいます。無理して自分はタイムラインを追っているのに、他の人間はなんだよと思ったり、イイねを押すことを義務的に感じると相手の返報性がないことを不満に感じがちです。

◎人に相談できない(自己肯定感・人間不信感)

人間関係をリセットしたくなる人の傾向として、もうひとつ顕著なのが「人に相談できない」という性格です。人に相談できない背景のひとつは、相談をして相手に迷惑をかけたくないという思いです。迷惑をかけたくないというと聞こえが良いですが。もう少し深く入ると迷惑をかけて「相手に嫌われたくない」と考える人が多くいます。この傾向も近年高まっているもので、人に嫌われることを極端に恐れる人が増えています。人の評価が下がると自己を肯定する感情が下がると思ってしまいます。これは自尊感情や損失回避性という性質とも関係があります。また、何度か相談したことがあり、そこで批判されたり、悲しい思いをして不信感を抱いている人もいます。「否定される怖さ」も存在します。なかなか人に相談できにくい環境になっているといえるでしょう。


○なったらどうしたら良い?

(自尊感情を上げる)自尊感情を高めるには、まず自分の否定的な部分、弱いところを受容すること。ありのままに受け入れることが大事です。そして否定的に感じているところを強化しましょう。もしくは長所を伸ばしていくことが大事です。否定的な部分をクリアするなら、小さな目標をたくさん作って、ひとつひとつ達成し、自分はできていると思うことです。長所を伸ばすには今あるものを伸ばしてもいいし、ない人は自分にとっても武器を見つけて伸ばしていくことが大事です。最近の評価傾向からは、短所を改善していくことよりも長所を伸ばしていく方法が個性や特徴出しの視点から良いと思います。

(人間関係を完璧にしない)人間関係で疲労しやすい人はなんでも完璧にやろうとしてしまいがちですから、その考え方を変えた方がいいですね。自分を追い込みすぎないでゆっくりと気楽に構築すべきです。SNSでは無理してしまう人がいますが、 SNSこそゆっくりとやるべきです。ツールに振り回されてはいけないと思います。義務を感じて相手の投稿を追うのをやめましょう。また自分が何かを投稿したら、相手からイイねをたくさんもらうことを期待しすぎるのをやめましょう。相手にメッセージを送ったら、固執しないで忘れるぐらいの曖昧さが良いと思います。実社会では顔色を伺いすぎて、対応に追われると人間関係がとても重たいものになってしまいます。ゆるくやるぐらいが良いと思います。



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