見出し画像

世界史漫才再構築版29:ルネサンス編

 苦:今回はルネサンスです。
 微:また明浄学園を食いものにするのか?
 苦:それはプレサンス。明浄も系列の観光大も留学生食いものにしてますから。14~16世紀のイタリアを中心に西欧で興った古典古代文化の復興を目指した文化的諸運動としてのルネサンスです。
 微:じゃあ、日本会議もルネサンスだな。
 苦:あれは幻影に憑りつかれた集団だよ!! 家族が卓袱台を囲んで晩飯食ったのは戦前じゃなくて戦後の一時期。それを古来からの伝統と臆面もなく言える厚かましさと無知と無恥の塊。
 微:まあ、興奮しないで(江川風に)。せっかく髭男爵でボケるのを止めたのに。
 苦:江戸時代に本居宣長ですら、神代そのままの政治を復活しても混乱するだけだと言ってることすら知らない。経済再生を言ってた詐病首相は雲隠れしたままだし、室生犀星は金沢出身だし。
 微:最後は関係ないだろ!! って、立場逆転してるじゃん。
 苦:金メダル噛んだら落ちつきました。ルネサンスは「再生」を意味するフランス語で、歴史概念としてはミシュレが『フランス史』第7巻(1855年)に‘Renaissance’の標題を付けたのが最初です。
 微:「ビザンツ」と一緒で同時代概念ではないと。
 苦:続いてスイスの歴史家ブルクハルトの『イタリア・ルネサンスの文化』(1860年)によって、決定的に認知されるようになりました。
 微:この「世界史漫才」もようやく世界史業界のごく一部で認知されてきました。
 苦:意味ねえだろ! イタリア・ルネサンスの年代ですが、おおむね14世紀中頃の黒死病=ペスト流行からカトー・カンブレジ条約でイタリア戦争の終わる1559年です。
 微:黒死病はルネサンスを生んだけど新型コロナは何を生むんだろうな。
 苦:巨額国債発行残高、政治不信の常識化、都の増税、無責任感覚、個人商店の倒産、Twitterによる個人攻撃術の洗練、猜疑心、世代間敵愾心・・・
 微:もういいです。ごめんなさい。私が悪かったです。
 苦:いえ、昔の金持ちは、富は貪欲という大罪の証という教会の脅しもあって、公共のために寄付したんです。アメリカでもカーネギー財団とかジョン・ホプキンス大あるでしょ。
 微:野口英世を引き取ったロックフェラー財団を忘れてはいけない。
 苦:あの人は日本でだけ過大評価されているのが実態でしょう。話を終わりに戻すと、引っ張って1600年のジョルダーノ=ブルーノ火刑のあたりまででしょう。
 微:要するに細菌で黒くなって死ぬ病気で始まって、黒焼きで終わったんだな。
 苦:まあ、今のイタリア共和国は、ローマ時代の遺跡とルネサンス芸術品目的の観光客で半分持っている国ですが。
 微:残り半分はサッカー、料理、ブランド品、自動車産業、脱税だけどな。
 苦:いや、本音と建前がうまく相互補完できてこその日本とイタリアですよ。プロテスタントの強い、「建前上は本音だけ」の国、アメリカみたいに却って息苦しい。
 微:「建前上は本音だけ」のアメリカだから、ノーセーブで言いたいことを喚いたトランプが勝ったと言いたいんか? 
 苦:いえ、象徴の大切さを言いたいだけです。日本ではあまり知られていませんが、国家の良心というか道徳を体現するためだけにドイツとイタリアには「象徴大統領」があります。
 微:ああ、そっちね。確かに北欧とイギリスにはプロテスタントを中和する王制がある。
 苦:ルネサンス期のイタリアの自治都市、コムーネも選挙王制的だったわけです。そういう道楽家というか浪費家が存在しないと文化は育たない。フィレンツェが典型です。
 微:澤井先生が言っている「魔術と地続き」論は、どうするんだ?
 苦:ニュートンを見てもわかるように、地続きで当たり前で、過度の合理性や近代性の抽出は本質と豊かさを捨ててしまうとだけ言っておきます。
 微:アルコールだけ抽出すると、個性がなくなるようなもんだと。
 苦:最近はアルコールを添加しただけの酒もどきのような本も多くなりましたし。今回は一人の人間では資料も少なく、多面性を扱えないので、何人かをまとめて扱います。
 微:良く言えば群像劇、ぶっちゃけ言えば単品では売れないのを集めたセット。
 苦:うるさいよ! まずはトスカナ語で叙事詩『神曲』や詩文集『新生』を書いたダンテ(1265~1321年)です。正式にはダンテ・アリギエーリ、フィレンツェ生まれで政治家でもあります。
 微:ポエマー政治家だったんだな。カタカナ乱発しそうしそうだな、小池みたいに。
 苦:前に引用した映画『薔薇の名前』の設定が1327年で、もうダンテは死んでるんですね。でもあの映画では神学論争、アリストテレスへの正反対の態度が示されていて。
 微:まあ、エンディングの「薔薇」もベアトリーチェとして解釈できる余地があるが。
 苦:ダンテは「イタリア文学最大の詩人」「ルネサンスの先蹤」とも言われ、代表作は9才の時に見初めた、けど24才で早世した同い年のベアトリーチェを賛美した『神曲』です。
 微:こじらせ系だな。ジュリエットが14歳でロミオと交わり死んだことを思っても、マセガキ。
 苦:24才で死んだベアトリーチェを自分の詩の中に永遠の存在として賛美することを誓います。1290年に生前の彼女のことを謳った詩をまとめて『新生』を著します。
 微:島崎藤村バージョンは、姪っ子とのインセストだったな。どろどろの世界。
 苦:その後、生涯をかけて『神曲』三篇を執筆し、この中でベアトリーチェを天国に坐して主人公ダンテを助ける永遠の淑女として描きました。
 微:21世紀に入って「かみきょく」と読む高校生激増だよな。今の時代、妄想しかないアブないウェブサイトの管理人で、「ベアたんbot」を作って垂れ流すか。
 苦:神対応かよ!! でも日本もトランプ時代のアメリカでも普通になっちゃいましたね。原論の自由が「誰でも戯言を発信できる自由」になってしまって。
 微:いや、それだけ14世紀に生きた人たちと同じように、明日には死ぬかもしれない恐怖と、日常がつづくことへの絶望感を感じているかもね。所詮ダンテも「上級」だし。
 苦:ちなみに当時の北部イタリアは、トランプが分断を煽らなくともイタリア統一をめぐって、各自治都市はゲルフ党(教皇党)とギベリン党(皇帝党)に分かれて、反目しあっていました。
 微:懐かしいな、参議院選挙で比例代表制が入った頃が。雑民党もUFO党も政見放送に参加でき、公共電波で放送禁止用語がノーカットで聞けた時代。
 苦:そんなN国と並ぶ泡沫政党を覚えてないよ! ちなみにフィレンツェはゲルフ党に属し、ダンテもゲルフ党員としてフィレンツェの市政に参画していきます。
 微:だいぶ後だけどメディチ家から教皇レオ10世が出るもんな。
 苦:しかし内部対立からフィレンツェのゲルフ党は真っ二つに割れてしまいました。
 微:割り箸かよ・・・。
 苦:フィレンツェの自立政策を掲げる富裕市民層を支持層とする「白党」と、教皇に強く結びつこうとする封建貴族たちが支持する「黒党」です。
 微:分裂する前はパンダみたいなもんだったんだな。そいで、こいつらを和解させてユヴェントスのユニフォームができたわけか。
 苦:ユヴェントスはトリノだよ! まあ、メンシェヴィキとボリシェヴィキみたいなもんですね。
 微:いや、エスエルとボリシェヴィキだろ。かろうじて左派エスエルで繋がっていただけ。
 苦:ダンテは白党に所属し、1300年には最高行政機関プリオラートを構成する三人の統領(プリオーレ)が選出されるんですが、彼はその一人でした。
 微:誰とは言わないが当選した直後に離党していればよかったのにな。
 苦:無免許木下かよ!! しかし、同時に黒党との対立が激化し、翌年には黒党がクーデタを起こして実権を握ります。
 微:フィレンツェのタリバーンと呼ばれたそうです。
 苦:まあ、確かに武力攻撃だし、顔を黒布で隠しているけど、そこまでひどくはないです。フィレンツェは黒党の勢力下に入りました。
 微:ダンテは「選挙は盗まれた」「本当なら私が勝者だ」というツイートを拡散したそうです。
 苦:トランプもQ-anonもいないよ! 当時ダンテは教皇庁へ特使として派遣されていたのですが、黒党の天下となったフィレンツェでは白党関係者に対する弾圧が始まります。
 微:ミャンマーの国連大使のようなポジションか。
 苦:ダンテも欠席裁判で教皇への叛逆や公金横領の罪に問われ、市外追放と罰金刑を宣告されます。
 微:タイやミャンマー、北朝鮮みたいな展開だな。政治的に負けると犯罪者にされて。
 苦:ダンテはこの判決を不服として出頭命令に応じず、罰金を支払いませんでした。
 微:河合夫妻以下だな。
 苦:そのため、黒党から永久追放の宣告を受け、再びフィレンツェに足を踏み入れれば焚刑に処されることになりました。
 微:元祖給食費支払い拒否親だな。こんなやつは徹底的に追いつめて支払わせればいいんだよ。
 苦:淡路島の野島断層なみに、話が例によって大きくズレています。こうしてダンテの流浪生活が始まり、彼がフィレンツェに足を踏み入れることはありませんでした。
 微:それでスノーデンがダンテを心の師と仰いでいるのか。
 苦:話を作らないように。その苦難の中で『神曲』は書かれたわけです。
 微:人間、空想と執念深さが必要だな。で、地獄と煉獄はどこがモデルなんだろ?
 苦:どこでもいいですが、ダンテと来ましたので『インフェルノ』つながりで「万能人」レオナルド・ダ・ヴィンチ(1452~1519年)です。
 微:ああ、トム・ハンクス繋がりね。
 苦:姓同様に扱われるダ・ヴィンチですが、ダ・ヴィンチは「ヴィンチ(村)出身の」の意味です。
 微:俳優のオオワ・ダ・バクはバク村出身です。
 苦:大和田漠はそのまま日本語の芸名だよ!
 微:すると『ダ・ヴィンチ・コード』は「ヴィンチ村の暗号」か。八墓村のたたりみたいだな。
 苦:余計な和訳はいいの! 彼は絵画、彫刻、建築、土木および種々の技術に通じ、広い分野に足跡を残しています。
 微:足跡を残す、と言う時点で、完成したり実用化したものはないんだな。企画倒れ男だと。
 苦:まあ、それはアイディアが多すぎて完成に至らなかった、ということで。実際、膨大な手稿(ノート)と素描を残しています。
 微:お前の問題集も全部未完じゃねえかよ。他人のこと言えないぞ。
 苦:お前の問題集は全部新品だろが! ミラノにあるフレスコ画『最後の晩餐』、ルーヴ美術館の至宝『モナ・リザ』などの精巧な絵画は盛期ルネサンスを代表する作品です。
 微:そう言えば、一昨年くらいに、真筆とされるイエス像が発見されて競売に掛かってたな。
 苦:確証には欠けますが、レオナルドは15歳前後で画家見習いとしてフィレンツェのアンドレア・デル・ヴェロッキオの工房に弟子入りしました。
 微:「当然、横綱を目指します」と宣言したらしいな。
 苦:相撲の新弟子じゃねえよ! この工房で修業を積み、師匠ヴェロッキオの絵画『キリストの洗礼』の一部、具体的には左下の天使2人を描くチャンスをもらいました。
 微:まあ、オマケ程度だと油断したんだな、師匠も。
 苦:ですが、その出来は師匠を上回るもので、ヴェロッキオは筆を折りました。
 微:アシスタントの方が絵がうまい昔の池沢さとし先生みたいなもんか。それとも本人は瞳にホワイトをチョンチョンと塗るだけのさいとうたかを先生みたいなもんだな。
 苦:フィレンツェ時代のレオナルドは不遇で、1476年には男娼だった17歳のヤコポ・サルタレリ にモデルを打診したことから、同性愛者として匿名で告発されています。
 微:でも完全否定できなかったんだろ。ミラノで引き取った美少年ジャコモという事実があるし。
 苦:レオナルドは1515年にフランス王フランソワ1世と教皇レオ10世の和平交渉役に任命され、フランソワ1世と対面します。以後、フランソワ1世の庇護と年金を受けて余生を過ごしました。
 微:その関係で『モナ・リザ』はルーヴルに所蔵されているのか。『ダ・ヴィンチ・コード』でトム=ハンクスはMonna Lisaの入ったアナグラムを解読したけど、nが余るんだよね、本当は。
 苦:余計な指摘はしなくていいよ! それよりも五芒星図のためになんで館長がわざわざ裸になったかをつっこめよ!
 微:それより『天使と悪魔』の「美人科学者」って誰なんだ? 何回見てもわからないよ。
 苦:もういいよ! 3人目は、レオナルドと犬猿の仲だったミケランジェロ(1475~1564年)です。名前は天使ミカエル(Michael angelo)を合成したものです。
 微:和訳すると「大天使ミカエル」! 首相(キャプテン)を上回るキラキラネームの元祖だな。
 苦:勝手に和訳しないでね。サンピエトロ大聖堂附属のシスティーナ礼拝堂の『天地創造』から『最後の審判』に至る天井フレスコ画、『モーセ』『ピエタ』『ダヴィデ像』等の彫刻の作者です。
 微:まあ、これだけ実績あればレオナルド・ダ・ヴィンチにケンカを売れるな。
 苦:スポンサーのメディチ家出身の教皇レオ10世の無理難題に泣かされつづけた結果ですが。
 微:千利休と豊臣秀吉みたいな関係か。しかも『ダヴィデ像』は前の受注者が石を削ってから仕事を投げ出し、その後始末としてやらされた仕事だろ。究極の無理ゲー。
 苦:瞳の処理をしくじってますが、人体・筋肉マニアの才能が開花した作品です。
 微:確かにミケランジェロなしに『北斗の拳』も『ジョジョの奇妙な冒険』もない。
 苦:次にラファエロです。彼の歴史への最大の貢献はフレスコ画『アテネの学堂』です。
 微:ギリシア・ローマの学者だけでなくイスラームの学者まで描いた知識のパノラマね。
 苦:彼が制作中だったフレスコ画『アテネの学堂』でアリストテレスとプラトンが並んで描かれてますが、モデルがミケランジェロとダ・ヴィンチです。ミケランジェロは間隔を空けさせました。
 微:その頃からソーシャル・ディスタンスが題目として言われてたのか!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?