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私と麻雀の2度目の出会いの話

麻雀との最初の出会いは私がハタチの頃


バイト先で流行っていたのがきっかけだった。
本屋の夜番紅一点だった私は深夜店を閉めたその足で先輩の家に集まりみんなの麻雀をみていた。
始めは賭け事のイメージで抵抗があったが、みんなが一円もお金をかけていないことと『就職したときに役に立つぞ』と上司に誘われ先輩に教わるうちにすっかりハマってしまった。
(この時の上司が恋人、そして旦那になるのは10年後のお話し。。。)

ちなみに私がどれほど初心者だったかというと、私が手配の7sと8sを指差して先輩に「これどっちが多いですか?」と質問したことが伝説として残っているほどだ。
なんか棒がいっぱいあってどれがどれだかわからなくなるんだよね…割と今も。

そんな状態の私に根気よく教えてくれた先輩達の努力虚しく、私はちっともうまくはならなかった。
でもみんなでわいわいじゃらじゃらするのがとても好きだった。

その後就職してからも付き合いで麻雀をする機会は多く、覚えてて良かったなと感じていた。

結婚し地元を離れて旦那の実家で初めて過ごしたお正月に、義父、義弟、旦那相手に四暗刻ツモったときは最高にうれしかった。
人生初の役満を、旦那の実家で!

だが麻雀をする機会はそれ以来めっきり減ってしまう。

親戚は年1度しか集まらないし集まっても実家の隅っこで嫁が麻雀三昧とは中々いかない。
雀荘に行きたいと旦那に頼んでも私の腕前では連れて行けないと却下。
この時点で私の麻雀歴は10年を軽く超えているが、未だにスジは愚か点数計算もおぼろげな状態。
無筋をバシバシ切る割に妙な配牌とツモの良さでなんだか形になってしまう。結果オーライの産物。
付いたあだ名が『亜空間殺法』
こんな状態で雀荘連れて行けないという旦那の判断は完全に正しい。

こうして私が麻雀から離れて1年以上たった頃、私はもう一度麻雀と出会うことになる。

二度目の出会いは緊急事態宣言真っただ中

緊急事態宣言が出て仕事が休みでも出歩けなくなった。
とはいえテレビを見てもつまらないので私はなんとなくAbema TVを見ていた。
ふと麻雀というタグが目につき、見てみるとユニフォームに身を包んだ選手たちがきらびやかなセットで真剣に麻雀を打っていた。
そこには男性も女性もいて、きれいにお化粧していて華やかだった。

どうやらプロ麻雀選手のチーム対抗戦でMリーグというらしい。
その試合では黒と金のユニフォームで背中にOIと書かれた選手がやけに目についた。
手つきが鋭くて大きな上がりがあるわけではなかったが振り込んでもいない。気迫あふれる手つきにオーラのようなものを感じた。
素人の私では理解できない手順で、しっかりと上がりを作る様にシンプルに感激した。
解説の人も『最速最強』『さすがオオイ』と何度も話題にしていたのでどうやら有名な人らしい。
その日は別選手が一位だったのだが、『多井隆晴』という名前をわたしはしっかり胸に刻んだ。

次の日も自粛だったのでAbema TVをつけて麻雀を見てみた。
昨日のMリーグ、どうやら過去の試合の再放送らしい。
その日は途中から見始めたのだが試合よりも実況と解説に衝撃をうけた。

女性のしっかりした実況、そしてベラベラと話し続ける男性解説。
時折…というか半分以上冗談で構成された解説が面白くて夢中で画面に向かった。
特に出場選手のエピソードなどは興味深く、麻雀プロってどんな人かな?とググってみたりしながら放送を見ていた。
ところで先程から実況の方が解説のオーイさんと言っている気がする。

まさか昨日の多井さん?
あんなに格好よくりりしく麻雀打ってた彼がいまベラベラ喋ってるのか?
所々選手の思考や手配に関する考察が大変わかりやすく解説されるので随所で感心しきりだった。
旦那が私の打ち方を『亜空間』と呼んでる意味がようやくわかった。

試合を最後まで見終えると…映った解説者は昨日の多井隆晴さんだった。

あんなに麻雀強くてこんなに面白い人がいることを私はこの時初めて知ったのだ。


私の知ってるプロ麻雀とは先輩の家にあった小島武雄のDVDが全てだった。

(今調べて知ったけどこのDVDボックス高くね?旦那の家にも先輩の家にも同じものがあった気がするけど本当に好きだったんだな、麻雀)

ワイシャツを雑に腕まくりしたおじさんたちがうーむと唸りながら険しい表情で打つ怖いイメージ。
昔の映像ではタバコ吸いながらやってたりして。
実況解説も同じくおじさんたちで、内輪の話で盛り上がったり私のような初心者にはとにかく説明がわからなかった。
正直印象が良くない。
競技としての麻雀に精通した人だけが楽しめるものだった。
もちろん当時はそういった趣旨の競技なので一切責めるものではないのであしからず。。。


余談になるが私は少々多趣味で、それも女性らしからぬラインナップで浅く広くたしなんでいる。

・ゲーム(格闘・アクション・FPS…)
・野球(高校野球・大学・社会人・プロ・メジャー少々)
・競馬(見る専門)
・将棋
・漫画アニメ(古のオタク)
・ドライブ・カメラ・旅行などなどなど・・・

この中で一番長く付き合っているのが野球だ。
当然見る専門ではあるがプロ野球は物心ついたころには選手名鑑を読み込んでいたし、高校野球を録画して気に入った試合をなんども見返すのは普通だと思っていた。

私は日本で一番成功している有名なショービジネスはプロ野球だと思う。
異論はあるだろうが、少なくとも認知度が高いスポーツと言えるだろう。

そしてそのファン層は
・地元だから応援する→選手はよく知らない
・イケメン若手を応援する→ルールは良く知らない
・若手有望株を応援する→二軍選手にやたら詳しい
・勝利至上主義→戦術や起用を喧々諤々議論する

などたくさんの層が存在する。
浅く、広く、様々な角度からいろんな人が触れて裾野が広がっていく。これが成功したショービジネスの姿ではないだろうか。

さてその野球に触れてきた私の目から見てMリーグはどうだろう。
競技麻雀のトッププロを集めたチーム編成のリーグ戦。
完全に大勢に見られることを前提とした作りだと感じた。

多井さん解説の試合を見終えると私はⅯリーグについて調べ始めた。

リーグ立ち上げの意気込み、チームの成り立ち、参加選手の思いと決意、そして今後の展望。

私はその存在を知らずに過ごしたことを後悔した。
2018シーズンに始まり私が気づいた今季が2019シーズン、つまり二年目のシーズンだった。初年度からこの熱気に触れられていない後悔とともに今のうちに知ることができたという安堵もあった。

主要スポンサーはオタクの業界では曰くのある企業だったりするが(どことは言わない(笑))同時にその企業が本気で取り組むショービジネスならば意地でも成功させるだろうという確信もあった。

ところで、古の野球ファンとして麻雀のファンの皆様に聞いてほしい話がある。

その昔、日本のプロ野球は危機だった。
不景気の中企業がチーム運営から撤退を検討し始める。
今も昔の人気のプロ野球だがその実一部の球団に人気が偏り、全く観客の入らない球場でプレーする選手たちも多かった。
そんな中球団再編騒動、付きまとうお金のにおい。
選手たちの涙の会見。

あれは本当につらいことで今から約20年ほど前の出来事なのだが、私はその背景には排他的なファンの存在もあったと推察する。

当時の野球は男性の見るものだったし、女性のファンは顔目的のミーハーと揶揄された。
地方球場の治安が悪いのは有名で、応援団同士の小競り合いも見たことがある。

このままでは日本のプロ野球が終わってしまうと各チーム球団経営を見直し、様々なてこ入れをして今では観客でいっぱいの球場を見ることが増えてきた。
この過程では様々な応援の声と、同時に批判もあった。

例えば球場をメジャー式ボールパーク風に改築する際にはメジャーかぶれと揶揄されたり、公式球の変更にも歴史ある器具を使うことを希望する声が聞かれた。これらはおおむねそれまでの不遇の時代プロ野球を熱心に見てきたファンの声に他ならなかった。

今でもいろんな意見があるが、それでも選手がのびのび野球できるいまの環境は以前より良いと感じている。(メジャーとの選手の行き来もしやすくなったり)

さて、長々と私が野球の話をしたのは他ならない麻雀ファンの皆様にお願いがあるからである。


野球は一度失敗したビジネス

ライトな初心者層のファンが増えて「わかんないくせに…」とイライラするのはすごくよくわかる。
教えてやるよと語りたくなるのもよくわかる。

たとえばⅯリーグきっかけでこれから麻雀を覚えるひとも沢山いるだろう。
そんなライトなユーザーもいる中で選手にくってかかかったりうまいヘタと糾弾するシーンは、あまり好ましくない。
端的に言うと、麻雀ファンってちょっと怖いな、って思ってしまう。

以前野球ファンがそう思われていたように

これは漫画オタクの世界にも言えるのだが、好きな作品がメジャーになると寂しさから批判に回る人がいる。
そして作者が消沈して業界を去っていく現場は少なからず見てきた。

私は自戒を込めて言いたい。

好きな人たちが稼ぐのを喜べ!
好きな人がスポットライトを浴びるのを誇れ!
好きな人が努力する様に敬意を示せ!

落合博満という偉大な野球選手が球団との金銭交渉でもめるなと批判されたとき彼は言った。
俺がもらわなきゃ下の奴らの年俸が上がらないだろう

今麻雀という新たなショービジネスが芽を出し様々な人たちが知恵を絞って育てている最中だ。
昔からのファンも思うところたくさんあるだろうが、どうか新規のファンに優しくしてあげて、できれば一緒に楽しんでみてくれないだろうか。

少なくとも私は緊急事態宣言きっかけではあるが、Ⅿリーグ、そして多井隆治さんの影響でもう一度麻雀に出会い、うまくなろうと思い始めている。
まずは脱・亜空間殺法をめざして今日も麻雀アプリにログインするのだけど。


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