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OMOを成功させるための物流の役割とは


Patheeは「テクノロジーで人々と小売コミュニティを繋げることで社会にインパクトを与える」をVisionに事業をしています。

新型コロナウィルスの影響によって、世の中のデジタルシフトが加速している中で、何から取り組んだらいいかわからないという小売業界のマーケターの方に役立つサービスをPatheeのマーケティングマネージャーの原嶋がご紹介していく新企画です。
第5回は物流コンサルタントとして活躍する株式会社LiNKTH代表取締役小橋さまにインタビューさせていただきました。


OMOにおいて物流はお客様に届けるという顧客体験を向上させる役割として重要


原嶋:

今多くの小売チェーンがOMOやDXなどをしないといけないとなってきていると思うのですが、物流の話ではなく、主にEC化などに感じてますが、OMOでの物流が果たす役割についてどう考えてますか?

小橋:
物流はどうしても=トラックみたいになるんですけれど、OMOの効果を最大限にあげるのに物流は最終アンカーでお客様にモノを届ける重要な役割だと思っています。
OMOはそのオンラインとオフラインをシームレスにつなぎ合わせるイメージだと思います。でもお客さんにとってはもともとオンラインでもオフラインでも商品の購入はどこでもいいじゃないですか。オンラインで見て店舗に買いに行く人もいて、店舗で見て持って歩きたくないからECで買う人もいますよね。
その購買行動の中でどう受け取るかとういう顧客体験をあげるために物流としてどう届けるかを考えることが必要になってくると思っています。

原嶋:
あまり意識していなかったですが、たしかにこの後飲み会があるからECで買おうと思ったりしたことありますね笑

小橋:
商品は一緒でも欲しい時までに届くことや、自宅もしくは、会社帰りに店舗で受け取れることで顧客体験に影響があると思います。今までは物流という要素はそれほど強くなかったのが、OMOどちらかというとECかもしれませんが、直接お客さんとメーカーが物流でつながるイメージです。欲しいモノを、欲しいときに、欲しいタイミングで届けるっていう物流の本来あるべき考えが UX を挙げる中でも結構高くなってきてるんじゃないですかね。
それを理解してしっかり物流と向きあったのが Amazonですね。これまでアナログだった物流をどこよりも圧倒的に利便性をあげましたからね。


物流の仕組み化をしてコストの最適化を目指していく

原嶋:
コロナ禍で物流業界も変わってきているんでしょうか。

小橋:
BtoC向けに関してはECシフトしたことによって物量自体は増えていますよね。かたやBtoBに関しては海外からの仕入れが入ってこなかったりして、困っているところがありました。
ただ業界として騒がれていたのは三密を避けないといけないという中で倉庫はどうしても三密状態になってしまうので、そこのオペレーションですね。 倉庫で感染者がでた時にどういう風にリカバリーするか消毒をどうするか、エリアを区切るかなどを考えていました。物流はライフラインで、人間でいうと心臓部分の役割と同じで、止めることができませんので。

原嶋:
BtoC向けに関して、ECシフトは私たちのお客様でも進んでいる話を聞きますが、その際に物流側で意識をしたのはどこでしょうか。

小橋:
物流を自社でやるのか、物流事業者を使ってやるのかで大きく異なります。
例えばBASE使って立ち上げ、自分たちで送り状を貼って出すみたいな場合は、売上が伸びてこのオペレーションが長期化するのであれば、専任の人が必要になり、仕組み化を考えないといけません。

通常のBtoBの店舗向け配送に掛かるコストは売上の5%位なんですが、BtoC向けのECの場合はそこに宅配とよばれる、個別の配送費がかかってくるので、単価にもよるので一律では言えないですが平均12%がかかります。販促費と同じくらい金額がかかるので、大きな金額ですよね。ECは、店舗や販売員にかかる費用がいらないと言っても、物流にかかる費用をコントロールできないと、やればやるほど赤になっちゃうみたいなことが起きてきてしまいます。

自分たちが、お客様に商品どう届けたいのか?そこから、それを実現するための物流コストを考える。まずそこから始めてもらいたいです。

原嶋:
EC化するときに物流が重要になるのは顧客体験だけでなく、ビジネスモデル全体に影響が出るからなんですね。それではコストに合いそうとなり、業者を選定するときに気をつけた方がいいことはありますか。

小橋:
物流会社は属人的な領域が多いせいもあるのか、会社ではなく担当者との相性で良い悪いになっているところがあります。また物流会社はITのSlerさんと同じで受託気質的なところもあり、言われたことはやるけど、それ以外はやらない場合もあり、それが後々問題になることがあります。

原嶋:
ITだとミスマッチを減らすために要件定義書みたいなのをつくって認識合わせをしたりしますが、物流業界でミスマッチを減らす対策みたいなことはありますか。

小橋:
現状で言うと、物流を探すのにマッチングサイトを使う場合もありますが、EC担当者も物流のプロではないので、見積りに書かれている内容が分かり難く、自社にあった物流の判断が難しいです。最近はwebサイトで月間のアイテム数や入荷、出荷など最低限の内容で自動的に見積を出すようなサービスもでてきていますね。
ECサイトだけならこの形でいいと思いますが、OMOをやるなら、システム連携含め、店舗在庫まで考える必要があるため、ここはやっぱり設計を一緒にやっていくということをしないといけないと思います。

原嶋:
店舗在庫に取り組めている会社さんはまだ少ないですよね。

小橋:
基幹システム、販売管理、POSシステム、さらに最近ではECが入ってきて、どうやって在庫とつなげて店舗在庫を管理していくなどオンラインに関することを一生懸命議論していくように変わってきていると思います。でもその在庫管理ができたあとのお客さまに届ける物流までの設計図の話は少ない気がします。
お客さまが商品を受け取ることができるのが店舗だけだった時は物流は複雑でなく、コストセンターとして効率化が求められていましたが、OMOを目指していくなら物流も効率だけでなく、戦略的に、お客様に商品を届けるサービスのひとつとして考えるべきです。アパレル会社さんでも最近は、その点を理解していて物流から改革されるところも出てきました。
オンラインの在庫もオフラインの在庫もすべてシームレスにつなげることが、OMOとして重要な立ち位置なので、ぜひ物流側も交えて全体設計を描いて欲しいし、物流会社も積極的に入って欲しいと願っています。



テクノロジーを活用した物流のプラットフォーム化を業界全体で目指していく

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原嶋:
物流の未来って聞くと私はロボティクスやドローンみたいなものをイメージするのでですが、小橋さんはどのような未来になっていくと感じていますか?

小橋:
今まで物流業界は労働集約型(人を集めなんとかする)だったんですけれども物流が装置産業化していくと思っています。装置産業っていうのは物流ロボット以外にも自動倉庫などのマテハンもあり、または物流における自動運転、ドローンの配達の自動化っていうのがあがってきます。

ちょっとこれは未来すぎるかもですが、フィジカルインターネットというものもあります。フィジカルインターネットとは、大量の荷物を常に自社の倉庫に集めてから自社の車両で配送するのではなく、最も効率的なルート上にある車両や施設を利用して荷物を運ぼうという考え方です。
ドライバーが足りなくて配送が滞るみたいな話が出ていますが、大手運送会社の車の積載効率ってトラック中にどれだけ荷物を詰め込んだりすることができるかっていうと実は半分ぐらいなんです。つまり50%は空で運んでるんですよ。今後は例えば小橋さんの家にこの荷物の配送あるよっていうパケット(荷物)情報を共有していれば、別々の配送会社でも同じ場所に届けるならまとめて届けることで積載率をあげて効率的にできる、まさにデータがパケットとして分割されて伝送されるインターネットの仕組みを物流における荷物で実現しようとしています。

原嶋:
物流のUberみたいな感じですね。
大手ならできそうですが、中小は難しそうですね。

小橋:
そうだと思います。その課題を解決するのは物流のプラットフォーム化ですね。Amazon社のように莫大な情報と物量を扱う会社でしかできない考え方ですが、1社ですべてをやるのではなく、複数の企業が集まって物流においてつながることで、プラットフォームを形成する。事業者は、商流である「企画」「販売」において、お客様に選んでもらうため「競争」し、物流などの裏側では、「競争」ではなく「共創」する世界、一部の大手食品メーカーでの共同配送、共同物流は、まさにその考え方で進んでいます。それを一部の大手だけでなく、中小企業も利用できる物流のプラットフォーム化が、小売業界全体を救うことになると思います。

原嶋:
プラットフォーム化することで小売業界のOMOもさらに進んでいきそうですね。
小橋さんの物流業界を変えたいという熱い想いが伝わってきました。
本日はありがとうございました!!


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