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あるあるを一つ一つ回収していくだけ

回転寿司のレーンにのった選択肢が
どんぶらこどんぶらこと流れてきて
「いまじゃないかな」と見送っていたら
どのお皿もいつの間にか誰かに食べられて
気がついたら空っぽのベルトコンベアを
ずっと眺めている。

永沢さんが「自分に同情するのは最も下劣な行為だ」と言った。
彼と出会ったのはいつだったっけ、としばらく思い出せずにいたら、小説の中のひとだった。そもそも実在すらしていない。ぞっとした。

百万年ぶりの女子会で恋愛話をもちよれば
どれもこれも手垢のついた「あるある」で、
それを全部集めてビンゴゲームでもしてみれば
あっという間にダブルリーチ。

ただわたしの「明智光秀を偲んで会社帰りに比叡山延暦寺で大号泣」は誰の一票も獲得できませんでしたね。恋愛話ですらなかった。

マグロとブリとトマトを馬鹿みたいに食べたり

ホッケと玄米をもそもそ食べたり、など
あいかわらず粗食で害悪と闘うことにしています。

あるあるをひとつひとつ拾い集めて、タラとレバを繰り返して、わたしたちは新しいウイルスのキャリアとなり、マスクを買い占めに行列に並ぶ。

自分に同情することなく、他人と比べることなく、本能寺を焼き討つことなく、恙無く、今日を終えた。


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