君と僕の緊急事態宣言⑤4月29日

祝日。

目の前に鼠を押し付けられる夢をみた。ジョージオーウェルの「1984」を読んだせいかもしれない。いつか私たちの記憶と世の中の記録は改ざんされ、東京オリンピックは大盛況だったことになっているかもしれない。

ひどい雨で、低気圧のせいか頭痛がした。

午前中は家事。洗たく、掃除、アイロンかけ。昼はこんにゃくラーメンに、ゆでたキャベツと難消化性デキストリンを入れて食べた。娘はそこに餅を入れた。大変気に入ったらしく、毎食これがいいという。

昼からは会社法の本を読んだ。しばし、心に静寂が訪れる。法律はいつも道理が通っていて、美しく、ムダがない。特に優れた本を読んでいるとそういう気持ちになる。

条文を引いたり、論文を読んだりしているうちに仕事の連絡がいくつかきて、結局夕方まであれこれ仕事。ほとんどが矛盾と矛盾と矛盾、企業法務の仕事は法律の威を借りたただのこじつけなので、時々本当にいやになる。

雨だし、緊急事態宣言下だし、どこに行くわけでもなく、小学生の娘の相手もうまくしてやれず、ゲームとYouTubeとアニメの音声にイライラが募る。うまくほかのエンターテイメントに誘導すればいいものを、それもできずに途中で無理やりテレビの電源を抜いた。

夕食はササミ、ゆでたまご、サラダ、というマッチョの献立になってしまった。

雨は一度もやまず、牢獄にいるような気持ちになる。私はまだそれを自分の責任だと自覚しているが、ただただここに生まれ落ち、選ぶ余地のない娘には大変申し訳なくなる。

娘が妹がほしい、という話をしだしたので、心を閉じた。私だってもう一人くらい、産んでみたかったけどね。ごめんよ。

友達に長文のメールを送り、長文の返信がきて、面倒くさくて「りょうかーい」って送ったら怒られた。少しだけ明るい気持ちになる。


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