
【警鐘】知財の公的な支援窓口のアドバイスだけを参考にするのは危険です
大阪・梅田でフィラー特許事務所を経営している弁理士の中川真人です。今回は、知財の公的支援窓口の利用に関する注意喚起です。
食の博覧会で目の当たりにした知財支援の現実
私は12月初旬にインテックス大阪で開催されたフードストアソリューションズフェア2021を訪れ、これからの成長産業である食品業界に携わる方々に向けて知的財産制度活用についての啓蒙活動を行ってきました。
日本の知財支援はどうしても製造業を中心にした工業製品の分野に広く活用されてきたという歴史もあり、実際に食品業界を始めサービス業に携わる方々への知財支援は遅れているという現状があります。
そこで伺った話では、明らかに現在では知的財産制度を活用できるような事例に対しても、「一度弁理士さんに聞いたんですけどダメだと言われて諦めました」という声をかなりの数聞いたのです。
そして、どこの特許事務所を利用したのかといえば、ほぼ全員の出展者の方々が公的な支援窓口を利用したというお答えでした。
なぜ公的な無料相談サービスがいまだに残っているのか?
公的な支援窓口は、歴史的に中小企業向けの知財相談を無料で受けられるために用意された制度ですが、現在は弁理士も弁護士同様に自由報酬(弁理士が報酬額を自由に決めてよい制度)となり、無料相談サービスを用意している特許事務所もかなり増えました。
その意味では、中小企業向けの知財相談を無料で受けられるための相談窓口を、公費を使って運営する歴史的使命は終わっているのです。
さらに、その公的な支援窓口は実質的に退職した勤務弁理士や弁理士であったことすらない単なる大企業知財部OBの定年退職後の再雇用支援制度の色合いを帯びてきており、誤解を恐れずに言えば
「水を飲まずにうさぎ跳びして筋肉つけろ!」
的な、もはや害悪のあるアドバイスと言わざるを得ない情報を提供している事例も少なくないのです。
民間の無料サービスをいくつも利用される方が絶対に貴社の利益にかないます
もし、知的財産制度に関して疑問や相談があるときは、公的な支援窓口を利用されるのも否定はしませんが、今は昔と違って民間の無料相談サービスがたくさんあります。さらに、弁理士は法律上の守秘義務を負っていますからどれだけ多くの弁理士に相談したところで、それで不利に扱われるようなことはありません。
ですから、仮に公的な支援窓口を使われたとしても、民間の特許事務所が提供している無料相談サービスも、可能であれば2〜3件は併行して利用されてみることを強くお勧めします。せめて、日本弁理士会の無料相談を利用するように心がけて下さい。
本来であれば、公的な支援窓口は無料相談のサービスを用意している特許事務所のリストを紹介するだけで全く支障はないはずです。このような知財業界の現状というか歴史的経緯を含めた実情を把握いただき、貴社の事業貢献の一助になることを祈願いたします。
弁理士・中川真人
フィラー特許事務所(https://filler.jp)
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