知財ミックス戦略による起業ノウハウ|長期に渡って安定した収益が出る仕組みづくりを目指すには?
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知財ミックス戦略による起業ノウハウ|長期に渡って安定した収益が出る仕組みづくりを目指すには?

フィラー特許事務所|弁理士・中川真人

 スタートアップ企業、中小ビジネスオーナーの皆さまの知財支援を行っているフィラー特許事務所の弁理士・中川真人です。
 今回は、知財ミックス戦略による起業ノウハウをストーリー仕立てでご紹介します。

あなたは短期タイプか、長期タイプか?

 起業には大きく分けて2種類があるとフィラー特許事務所では考えています。それは短期的な収益が出る事業を繰り返す方法と、長期的に収益が出る仕組み作りを行う方法です。

 例えて言えば前者は単発バイト、後者は長期バイトです。前者の短期的な収益が出る事業を繰り返す方法は、その場の波に乗る能力が一番重要です。そして、損切りの見極めと機動力・瞬発力が収益の要になります。要は、事業者本人の才覚が最も問われる起業の方法であり、事業形態といえます。

 後者の、長期的に収益が出る仕組み作りを行う方法は、その逆です。最終的には、その収益が出る仕組みをプロセス通りにきちんと回してくれるオペレーターを起用することにより、完全に起業家は経営を他人に任せても収益が確保できる状態を目指すことになります。要は、仕組みの完成度により収益の多寡が問われる起業の方法であり、事業形態といえます。

どういう時に特許事務所を使うのか?

 特許事務所が協力できる起業のスタイルは後者です。つまり「長期的に収益が出る仕組み」を特許権、意匠権、商標権などで見える化の上取引可能な状態にして、A部門、B工程、C業務に、それぞれ担当者を権利者として割り当て一つの事業体を維持できるように仕組み化するのです。

 前者の短期的な収益が出る事業を繰り返すモデルは、その事業者本人が事実上ワンオペで全権を「掌握」していなければ事業基盤を維持できません。同様に、後者の長期的に収益が出る仕組み作りを行うモデルは、収益を生み出す仕組みを権利という取引可能な状態にして、そこにオペレーターを当てて経営者がその全体像を「管理」して事業基盤を維持するのです。

ある陶芸作家の知財戦略ストーリー

 例えば、六甲山の麓で陶器の皿を作っている鶴甲パテ丸という陶芸作家の工房があったとします。この工房に「パテ丸工房」という事業者名をつけ、皿に「パテボウル」という商品名をつけ、焼きつけに「パテ工法」という新しい技術を使っていたとします。

 この場合、少なくとも「パテ丸工房」という商標権と、「パテボウル」という商標権と、「パテ工法」という特許権が成立します。特許や商標登録が受けられるかどうかはここでは一旦「受けられた」としておきます。 

 さらに、「パテボウル」のデザインと、それを収納する外装箱には、意匠権が成立します。こうして、可能な限り細分化して単なる「陶器の皿」にまつわるあらゆる財産的部分に特許権・意匠権・商標権を設定していきます。これらを産業財産権と言います。

販売は外部委託

 次に販売です。今、すべての産業財産権は鶴甲パテ丸の所有です。まず、は芦屋に住むギャラリーの店主・大原太郎に「パテボウル」を販売してもらえるように交渉し、鶴甲パテ丸は大原太郎に「パテ丸工房」と「パテボウル」の商標権に使用のライセンスをしました。

 これにより、大原太郎は直接「パテ丸工房のパテボウルを売ってるよ!」と名を打って販売し、パテボウルが売れると大原太郎は鶴甲パテ丸に商品が売れた旨を連絡し、そのお客さんに鶴甲パテ丸は直接「パテボウル」を配送します。 

 このシステムで、鶴甲パテ丸は夙川、武庫之荘、ついには梅田の地下街にまで販路を拡大し、なんと13の店舗で販売されるメジャー商品となりました。

不良品があったことを後から知った販売店

 ある日、神戸に住む雑貨店の店主・岡本次郎の販売したパテボウルに不良品があったようですが、お客さんは配送元の「パテ丸工房」に直接連絡したため、岡本次郎はこのことを知らずに再度来店した際に「パテボウルが欠けていたけど交換してもらいました」と後から知りました。

 またある日、宝塚の和菓子店の店主・瀬川一郎が無断でパテボウルに似た陶器の皿を「パテボウル」としてその場で渡していたことが判明しました。これを知った鶴甲パテ丸は和菓子店の店主・瀬川一郎へのライセンスを解除し、

「今後パテ丸工房・パテボウルの名称を使用して陶器の皿を販売したら商標権侵害で訴える」

と弁護士に作成してもらった警告書を添えて縁を切りました。

ニセモノ現る?

 パテボウルは次第に認知度を上げ、鶴甲パテ丸は同じコンセプトの陶器のマグ「パテマグ」を開発し、既に取引のある12の店舗に「パテマグ」の商標権もライセンスし、各店舗に見本を発送しました。

 しばらくすると、「パテボール」というおもちゃと同じく陶器そっくりの質感のプラスチック製の皿が量販店で販売されているのを発見しました。「パテボウル」は食器について商標登録を受けていたので、おもちゃは誰も間違って購入することはないとして権利行使を断念し、プラスチック製の皿については「パテボウル」の商標権に基づいてその製造元と量販店に「パテボールというプラスチック製の皿を売らないでくれ」と交渉を行いました。

 製造元は商標権を侵害しないと反論してきましたが、量販店側はすぐに販売を停止しました。

ついに大口取引が。でもそんなに作れない。

 パテボウルの名声はついに北海道にまで届き、北海道の大手食器・家具店が「パテ工法」でできたパテボウルの軽量でかつ重厚感のある質感に惚れ込み、この陶器でできた食器シリーズの全国展開を企画しました。

 話を持ちかけられた鶴甲パテ丸は「そこまでの製造能力はない」として、北海道の大手食器・家具店に「パテ工法」の使用ライセンスを行いました。北海道の大手食器・家具店はこれを「スリーバード」という名称でブランド展開をしましたが、「パテボウル」は既に「パテ丸工房」の「パテボウル」が欲しいという固定客を得ていたので「パテボウル」のブランド価値に影響はありませんでした。

じゃま者を市場から追い出す

 そんなおり、「パテボール」という陶器そっくりの質感のプラスチック製の皿を製造していた製造元が、パテボールそのものが見えないようにして、「パテボウル」の外装箱と同じデザインの外装箱にして販売を始めていました。

 これを知った鶴甲パテ丸は、前回と同様に外装箱についての意匠権に基づいて製造元と量販店に交渉、この時も製造元は反論してきましたが量販店はすぐに「パテボール」を店頭から撤去しました。 なんと諦めきれない製造元は、「パテボウル」とそっくりの木製の皿を製造し販売を始めます。

 しかし「パテボウル」の意匠権に基づいて結局量販店はすぐに撤去、製造元は反発し、ついにはその製造元と取引をしたがる小売店が無くなってしまい、やたらと鶴甲パテ丸の事業に絡んできた謎の事業者は市場から追い払われました。

特許権、ついに売れる。

 1年後、北海道の大手食器・家具店が販売を始めていた「スリーバード」シリーズは人気を博し、鶴甲パテ丸に特許権の譲渡交渉が持ちかけられました。 

「特許権A号を3億円で購入させてください。鶴甲パテ丸さんには無償のライセンスをしますのでパテボウルやパテマグはそのまま販売を継続しても大丈夫です。」

 こうして鶴甲パテ丸は3億円で特許権A号を北海道の大手食器・家具店に売却しました。

知財ミックス戦略による得意なことだけやる経営

 これが知的財産制度を活用した起業のモデルケースです。鶴甲パテ丸は、最初に屋号となる「パテ丸工房」、商品名である「パテボウル」をブランド化し、その製法を特許権で保護、将来の侵害態様を推測して外装箱にまで権利を取得し収益化のモデルを作りました。

 この権利一個一個が使用されるたびに、お金が動く仕組みができています。 そして、鶴甲パテ丸は販売を外部委託し本人は「パテボウル」の製造のみを行なっていました。そして侵害者が現れるとあらかじめ用意していた商標権などで対抗し、最終的には大手企業に自社の特許権を売却して大金を手に入れます。 

 いかにもアメリカン・ドリームを絵に描いたようなストーリーですが、これが今米国のITベンチャーで多用されている知財ミックス戦略による起業スタイルです。本人は得意なことだけを担当し、不得意なことは他人に任せられるように権利化の上ライセンスできる仕組みづくりを行なって、実際にそれを得意とする人に任せてしまうのです。

まずは無料相談を

 フィラー特許事務所では、特に知財ミックス戦略による起業を応援しています。詳しくは45分の無料相談の上、初回契約は1時間¥2,500の時間報酬制(定価は¥6,250)で起業相談を承ります。

 起業に興味はあるけどどう収益化したら分からないという方、そしてその収益化を長期的に収益が出続ける仕組み作りによってなし得たい起業家の方は、ぜひリンク先のフォームからフィラー特許事務所までご連絡ください。 初回相談は無料です。...知財無料相談へ

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弁理士・中川真人
フィラー特許事務所(https://www.filler.jp

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フィラー特許事務所|弁理士・中川真人
2021年に誕生した大阪梅田の新しい特許事務所「フィラー特許事務所」を経営している弁理士です。 弁理士は、知的財産権に関する業務を行うための国家資格者で、一般には特許、実用新案、意匠、商標に関する特許庁との手続きの代理を行う専門家です。