中小・ベンチャー企業なら特許料金が割引になるよ!って話の落とし穴
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中小・ベンチャー企業なら特許料金が割引になるよ!って話の落とし穴

 スタートアップ企業、小規模事業者の知財支援を行っているフィラー特許事務所の弁理士・中川真人です。
 近年、スタートアップ企業を応援しますと言う特許事務所が増えています。経済産業省をはじめ、特許庁もスタートアップ企業や小規模事業者の知財支援を積極的に行う政策を数多く打ち出しています。その一つに、中小・スタートアップ企業の特許料金を割引にする法改正がされたというものがあります。
 今回は、そんな中小・スタートアップ企業の特許料金について、特にスタートアップ企業の経営者の方が勘違いしやすい点を解説します。

3年後、5年後、15年後に支払う料金が減免されます

 フィラー特許事務所には、少しずつ起業に関する相談が寄せられるようになってきましたが、やはりほとんどの起業家の皆様が心配されているのは「お金」です。そこで、特許庁が近年法改正をした中小企業等を対象にした各種料金の減免措置や優遇措置について、ぜひ活用したいのですが利用はできますかという、非常に具体的で計画性のあるご質問をたびたび受けました。さすがよく勉強されていますね。
 中小企業等を対象にした減免措置というのは、出願審査手数料や特許料の1年分から10年分(権利の維持費)が1/3になるというもので、ほとんどの起業家はこの減免措置を受けることができます。そうなんですが、すでに

起業1年以内のスタートアップ企業が検討すべき知財戦略

でもご説明した通り、出願審査手数料を支払うのは出願日から3年後、そこから審査を経て特許査定になったとして約5〜7年後、特許料のうち10年後の権利の維持費を支払うのは出願日から15〜17年後の話です。このような特許に関する時間感覚の説明を淡々と進めていくうちに、中小企業等を対象にした減免措置というのがスタートアップ企業を対象にした制度ではないことがご理解いただけるようになっていきます。

出願に必要な料金は14,000円と普通郵便切手代

 では、スタートアップ企業には特許に関する優遇措置はないのかというと、そうではありません。そもそもこれらの減免措置で値引きされるのは特許庁に納めるお金ですから、どこの特許事務所に仕事を依頼しても金額はすべからく同額です。そして、特許出願にかかるお金は14,000円です。特許出願は願書に特許印紙という切手のようなものを貼って特許庁長官宛に郵送するのですが、その願書に貼り付ける特許印紙の額が14,000円分なのです。それで出願日は確保され、その後3年間は何もせずに放置しておいてもなんのペナルティもありません。その間に、知財戦略をはじめ事業計画を「狙う!」わけです。つまり、特許出願をご自身でやろうと思えば、直近3年で必要な金額は特許印紙代が14,000円だけで大丈夫なのです。
 さすがに出願時の14,000円を1/3に減免して5,000円程度にしたところで、嬉しいことは嬉しいですが「まあ、だから何?」っていう感じだと思います。私は公式サイトで

スタートアップ事業者の特許出願が遅れる理由の一つに「弁理士に支払う報酬が高い」というものがあります。

と説明している箇所があるのですが、それがまさにこの現象です。出願にかかる費用のうち、ほとんどは弁理士に支払う報酬で、特許庁という役所に支払う料金は14,000円というのが現実なのです。

ほとんどは弁理士に支払う報酬です

 従来、特許出願は大企業または大企業との取引がある中小以上のある程度の事業規模・事業実態がある会社でなければ行うような手続きではありませんでした。ところが、現在はスタートアップ時からある程度の知財戦略を組み込まなければ少なくとも同じ土俵で競い合うことはできなくなっています。むしろそこに今のスタートアップ事業者のプライオリティがあるわけで、どうしてもスタートアップ時の知財戦略は避けて通ることができません。
 特許庁は、出願だけしておいて審査するかどうかは後で決めてもらうという出願審査請求制度を導入し、出願に必要な料金を14,000円という低額に、実際に工数の必要な特許の審査に142,000円の料金を2段階で支払うことで出願のハードルを大きく下げるという制度に徐々に変更していきました。
 起業家の皆様に、3年後の出願審査手数料や5~7年後の特許料の話をしても、正直仕方がないことです。結論を言うと、特許出願は14,000円と普通郵便切手代さえあればできます。正確には電子化手数料とか電子出願をする際にはちょっとした機材などが必要になりますが、それでも1万円もかかりません。ほとんどは、弁理士に支払う報酬です。

必要なのは法知識を必要とするビジネス判断

 フィラー特許事務所は、スタートアップ企業の事業者様にむけて、直近3年以内に必要になる特許庁との手続きにフォーカスし初期費用・初期工数を最小限に抑え、主にベンチャーキャピタルからの信用とスタートアップ事業者の企画力を狙う他の事業者から事業計画を守る専門のコースを用意しています。そして、日に日に状況が変わるスタートアップ企業特有の実態に対応するためには、フィラー特許事務所の経営者である弁理士の中川真人自身が独断かつ即決で全ての経営判断を行える独裁を敷いていなければ現実に不可能でしょう。日に日に減る手元のキャッシュを前に、特許事務所内の承認と稟議を待たなければ回答もできないしその場で判断もできないと言うのであれば、そもそもスタートアップ企業の支援などできないからです。
 むしろ、起業家の皆様が必要にしているのは、ピッチでどこまで説明して良いのか、共同開発を引き受けてくれる外部業者とどのような契約をすれば良いのか、VCからの技術的な質問にどのように回答すれば良いのかと言う、法知識を必要とするビジネス判断のサポートであることがほとんどです。そして、多くの起業家の皆様はたくさんの協力者を巻き込んで一つの事業を立ち上げようとされているわけですから、契約に関する専門知識を持った弁護士や、報酬の支払いや株式に関する税理士や中小企業診断士によるサポートやアドバイスがどうしても必要になります。メインは「発明」というアイデアの事業化であり知的財産に関するサポートが最も重要になるのは間違いないのですが、その知的財産に関するサポートをする弁理士だけが頑張っても、「起業」という複合競技が成功する可能性は実際のところ低いでしょう。

スタートアップと中小企業は全くの別物である

 話が大きくなりましたが、今は起業時から知財戦略を組み込むと言う前例のない時代に突入しているという認識をきちんと持つことが何よりも重要です。14,000円の特許印紙代すら惜しいというのが本音ではないですか。私だってフィラー特許事務所の商標登録出願に12,000円の特許印紙代を惜しいと思いましたから、たぶん惜しいと思います。思いは一緒です。

 しかし、本気で起業をするなら必要な出費です。私と一緒に起業を成功させましょう。まずはそのVCに見せようとしているピッチデックをフィラー特許事務所まで持ってきてください。最適な説明の仕方を考えてご提供します。うまくいったら、ぜひその先にある続きの仕事をフィラー特許事務所にお任せください。ご連絡、お待ちしています。

フィラー特許事務所|特許出願

弁理士・中川真人
フィラー特許事務所(https://filler.jp

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2021年に誕生した大阪梅田の新しい特許事務所「フィラー特許事務所」を経営している弁理士です。 弁理士は、知的財産権に関する業務を行うための国家資格者で、一般には特許、実用新案、意匠、商標に関する特許庁との手続きの代理を行う専門家です。