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大学スポーツ選手の約半数はビタミンDが不足している?

▼ 文献情報 と 抄録和訳

高リスクの大学スポーツ選手におけるビタミンD3補給とストレス骨折-パイロット研究

Williams K, Askew C, Mazoue C, Guy J, Torres-McGehee TM, Jackson Iii JB. Vitamin D3 Supplementation and Stress Fractures in High-Risk Collegiate Athletes - A Pilot Study. Orthop Res Rev. 2020 Feb 27;12:9-17.

[ハイパーリンク] DOI, PubMed(Full text), Google Scholar

✅ ハイライト
・スポーツ選手の約半数が、ビタミンD欠乏を認める
・ビタミンD3の補給は、スポーツにおけるストレス骨折の発生率を軽減させる

[背景] ビタミンDは骨の健康に最も重要であるが、高リスクのアスリートのストレス骨折の予防におけるビタミンDの役割についてはほとんど知られていない。本研究では、高リスクのアスリートに対するビタミンD3の補給について、対照比較のためのレトロスペクティブなレビューを伴ったプロスペクティブな横断的分析を行った。我々の仮説は、ビタミンD3を補充することで、高リスクの大学スポーツ選手のストレス骨折の発生が減少するというものである。

[方法] リスクの高い6つの大学チームから合計118名のNCAA Division Iアスリートを募集した。8月と2月に採血を行い,ベースラインの25(OH)D値を測定した。血清25(OH)Dが30ng/mL未満の被験者には、ビタミンD3を50,000IU/週、8週間補給した。治療を受けた被験者は、血清25(OH)Dレベルが十分な状態に上昇したことを確認するために再検査を受けた。登録されたすべての被験者は、ストレス骨折の発生を監視された。過去に報告されたストレス骨折の発生率を調べるため、同じスポーツチームの選手を対象に5年間のレトロスペクティブなカルテレビューを行った。

[結果] プロスペクティブ:登録された118名のうち112名が8月に検査を受けた。61名はビタミンDの充足を示し(40.2ng/mL±8.28)、51名は不足または欠乏(22.7ng/mL±4.89)であった。登録された118人のうち、104人が2月に検査を受けた。56人がビタミンDの充足を示し(40.7ng/mL±9.47)、48人が不足または欠乏(21.6ng/mL±5.87)していた。118名の学生アスリートのうち、2件のストレス骨折が診断された(1.69%)。レトロスペクティブ:2010年1月~2015年5月に453人の被験者で34件のストレス骨折が診断された(7.51%)。スポーツチームの中でも、特にクロスカントリーチームでは、ストレス骨折の発生率が統計的に有意に減少した(p<0.05)。また、今回のコホート全体では、過去のコホートと比較して、ストレス骨折の発生率が統計学的に有意に減少していることがわかった(p<0.05)。

[結論] 我々の集団では、検査を受けたアスリートのほぼ半数がビタミンD欠乏症であることが判明した。ビタミンD欠乏症は、夏季に比べ冬季に多く見られた。ビタミンD3を補給することで、我々のコホート全体のストレス骨折率は、7.51%から1.65%へと統計的に有意に減少した(p=0.009)。

▼ So What?:何が面白いと感じたか?

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✅まず、スポーツ選手でも約半数はビタミンD欠乏を認めることに驚く。障害予防の一環として、”ビタミンD欠乏対策”を考えることは有益だろう。

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ビタミンDの働きの詳細に関しては、以下の記事が分かりやすい。

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