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7日間ブックカバーチャレンジ 2日目

読書と出版の文化を支援するため、好きな本の表紙を7日間アップする取り組み。

尊敬する 星野リゾートの菊池 昌枝 (Masae Kikuchi) 姉さんと、ワインもですが人にも注目している奥出雲ワイナリーの 斎藤 聡 (Satoru Saito) さんからの「この人の好きな本を知りたい」というバトンを受け取ったので。こういうことがないとあらたまって書くことないかとも思うのであれこれコメントしながらアップしていきます。



犬と人が出会うとき -異種協働のポリティクス- 
ダナ・ハラウェイ 著,高橋さきの 訳、青土社

ここ1~2年で興味を持って読みだしたマルチスピーシーズ関連で常に言及される方の本。
生物学と哲学、人類学にまたがる分厚い記述にびびりますが、難解な文章ではないのでじっくり読めばどのページも刺激的なんで大丈夫かと。人新世に興味がある方は必読。
ハラウェイ自身は人新世ではなくクトルゥー新世、資本新世などを使っていますが。

「猿と女とサイボーグ――自然の再発明」でわれわれはすでにキメラでサイボーグで複合体だといい放ちテクノロジーと自然の安易な二項対立に異を唱えたハラウェイの2007年の本。あ、僕は見てないのですが攻殻機動隊のハラウェイ検死官のモデルらしい。

これ、実はまだ読んでいる途中でやっと1/4くらい。中に出てくる本をその都度調べたりしているのでなかなか前に進みません。

近年になりゲノム解析がすすんでどうやら種が単独で存在しているわけではなく種間の複雑な多種共生関係がそれぞれを形成し生成すると捉えると世界はどう見えるかどう考えるべきか。共に生きるものとして、他者としての伴侶種として、ハラウェイは様々な存在から犬を題材にすすめていきます。原題は「When Species Meet」なんで犬に限っていませんが。ハラウェイは分子生物学や微生物叢など特にリン・マーギュリスを踏まえていますが大きく依拠しているわけではないのでカール・ウーズの三ドメイン説(真核生物、古細菌、細菌)や遺伝子の水平伝播、細胞内共生説くらいの概略をおさえていれば読み進めれます。
個としてのアイデンティティは当然ゆらぎますし、超個体(これちょっと訳語難しいですよね)を踏まえたときにどう考えるのか、どうするべきなのかまだまだ議論は進行中ですがかなり刺激的な記述が続きます。

ハラウエイに関しては、2016年のインタビューが昨年翻訳されているのでそちらを読むのが一番いいガイドになるかと思います。特に堆肥体(コンポスト)の話題はテロワールのトピックに直結するはず。

子どもではなく類縁関係を作ろう -サイボーグ、伴侶種、堆肥体、クトゥルー新世 |ダナ・ハラウェイが次なる千年紀に向けて語る (逆巻しとね訳)
https://hagamag.com/uncategory/4293

人新世関連だと、ティモシー・モートンの最近の新型コロナウイルス感染症を踏まえたテキストを篠原雅武さんが翻訳されているのでそちらもぜひ。

「ウイルスよ、ありがとう、わたしたちと共生してくれて」
ティモシー・モートン、篠原雅武訳、講談社選書メチエのFBページ
https://www.facebook.com/ksmetier/posts/695271027683119?__tn__=-R
篠原さんの訳者解題の「重要なのは、「生き延びること」と「生きていること」の差異を明確化することである。」は大事な指摘かと。

あとハラウェイは結構現代美術の方と相性がいいのか、先日 菊池 昌枝 (Masae Kikuchi) 姉さんがブックカバーチャレンジであげていた The Kitchenのオラファー・エリアソン(東京での展覧会行きたいけどどうなるか・・・)も、ブリュノ・ラトゥールなどとともによく読んでいるらしい。



開催が延期になっているオラファー・エリアソンの展覧会のHPはこちら
「ときに川は橋になる」東京現代美術館
https://www.mot-art-museum.jp/exhibitions/olafur-eliasson/

オラファー・エリアソンは5/7発売予定の美術手帖「新しいエコロジー」にインタビューが掲載予定だそうです。上記のティモシー・モートンの翻訳をされている篠原雅武さんの論考「ハイパーオブジェクト、外縁、境界と辺境──人新世における問いと表現」も掲載予定なんで要チェックです。
個人的にはエリアソンもですがピエール・ユイグに興味がある。

美術手帖「特集 新しいエコロジー」2020年6月号
https://www.bijutsu.press/books/4290/

#7days #7bookcovers
#bookcoverchallenge

自然派ワインとお好み焼きパセミヤ Pasania店主。某店ワインペアリングのアドバイザー、たまに専門学校の社会人向け開業支援クラスの講師も。ご予約、取材依頼、講師などのお仕事の依頼お待ちしております。