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【 レビューあり 】 杉本憲一 『ざっしょく』 東京都

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ZINE REVIEW by いのうえ あかね(PARK GALLERY)

小学生の頃、移動図書館バスが定期的に学校に回ってくるのがとても楽しみだった。いつもの学校の図書室とは違った本と出会える貴重なタイミングだ。バスの中に並ぶたくさんの本の中から、借りられるだけの絵本や紙芝居、文庫本をたくさん借りて満足感を得ていた。そのほとんどが、おはなしが難しくなくてかわいいイラストのものが多かったな。そんな小学校時代を送ってきたので、いまの年齢になってもわかりやすい内容の絵本やかわいいイラストには惹かれてしまう。

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パークギャラリーでは絵本作家さんとの出会いもある。その作家さんの話を聞いたり、絵本のような世界観の作品を目の前にすると、小学生だった当時に移動図書館バスの中で感じていたワクワクとした感情が、余韻のままに蘇ってくる。いくつになっても、趣味や好みは変わらないのだなーと実感する。

イラストレーターで絵本作家の杉本憲一さんが ZINE を届けてくれた。まさにその1冊が、わたしの感情をくすぐる絵本。タイトルは「ざっしょく」。ゆるい手書き文字と、ゴリラの存在で、さらに興味が増す。

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この ZINE には、幅広い作風を持つ杉本さんが描くあらゆる作品を、あえてひとつの作品集として生み出した1冊。いろいろな作品が、次々とたのしめるようになっている。その、ごちゃごちゃに混ざった作品にちなんで「ざっしょく」(=雑色、雑食、雑職)と名付けたのだそう。たしかに、あらゆるテクスチャーやタッチの違う絵が組み合わされながら、1枚の絵となっている。

自身による「絞りきれていないスタイルから」といった説明だけ聞くと、なんとなくネガティブな意味を持った作品なのかなーと思っていたが、その賑やかな作品からはむしろ元気をもらえる!素材感の違いやあらゆるキャラクターたちに、あっちこっち目をやって、1つの作品で贅沢な気分。タッチの違いを感じても、杉本さんの描く絵にはやっぱりなにか共通した特徴があるので全然違和感を感じない。一見ネガティブな思いから生まれた「ざっしょく」は、新たな世界観を生み出している。わかりやすくて、不思議でコミカル。たった1ページでストーリーを感じさせる作品だというのも、絵本作家さんだからこそのセンスや腕の見せどころだ。

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この ZINE が納品されて一番に買ってくれたのは、たまたま納品されてすぐに来店してくれた親子。3歳くらいのおんなの子が手にとってずっと離さなかった。親子でいっしょに、杉本さんの描くたくさんの絵をたのしんでいたらいいな。

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ちなみに杉本さんによる絵本も、amazon にて絶賛販売中。
こちらもお見逃しなく〜!

レビュー:いのうえ あかね(PARK GALLERY)


---- 以下 ZINE の詳細と街のこと ----



【 ZINE について 】

いろいろな作風があり、絞りきれていないスタイルをあえて一つの作品にまとめました。ごちゃごちゃに混ざった作品に因んで「ざっしょく」と名付けました。

ざっしょく = 雑色、雑食、雑職

価格:¥770(税込)
ページ数:18P
サイズ:182 × 257mm

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作家名:杉本憲一(東京都渋谷区)

北海道北見市生まれ。武蔵野美術大学卒業。
シンプルでデフォルメされたシュールな世界を描いています。

https://www.instagram.com/sugiken1_omlet
https://twitter.com/sugiken_omlet

【 街の魅力 】
賑わっていて便利
【 街のおすすめ 】
① 東塔堂 | Totodo ... 普通の本屋にはない貴重なアートやデザインの本が揃っている。 
② アヴァタール ... 美味しいナンが食べられる。
③ 豆腐料理 空野 ... 色々な豆腐料理が食べられる。

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