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【 ZINE REVIEW 】 COLLECTIVE エントリー ⑨ 内藤 桃子 『月地の花』(神奈川県横浜市)

COLLECTIVE まであと4日。今日から設営をはじめています。少しでも多くのタイトルを幅広く発信して広げていきたいと思っていますので開催中も ZINE を募集しております。ちなみに過去2年の COLLECTIVE の ZINE のアーカイブやパーク加藤が所蔵する ZINE に関する書籍も、資料として会場で閲覧できるようにしますので、ZINE の世界にまるっと浸かりたい人はぜひ時間を作って遊びに来てください。椅子も用意しておきますので、脱水症予防の飲み物を片手に遊びに来てください。会場ではビールが冷えてます。マスク着用、入り口で手の消毒は徹底させていただきますし、ZINE のサンプルを素手で手にするのが気になる人のために使い捨ての手袋も用意してますので、気軽にお越しください。

この note で連載しているレビューも実は COLLECTIVE の醍醐味のひとつなので、レビューと言いながらもひとつの読み物として楽しんでいただけたら幸いです。

さて、東京が続きましたが、神奈川県横浜から、すっと背筋が伸びるような、凛とした PHOTO ZINE が届きました(PHOTO ZINE についてはこちらにも書いてます) 。

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リアリティ(写真)に何が出来るのか、迷いつつも日々模索しながら写真を撮っています。ー 内藤桃子

誰にとっての美しさか(美しさの基準)

写真家・内藤桃子さんによる『月地の花』は、詩人・中原中也の詩集『在りし日の歌』〜月夜の浜辺〜 の引用からはじまる。月夜の晩に波打ち際でボタンを拾い、それを持って帰るというシンプルな詩だけれど、不思議と恍惚な詩だ。初めて読んだけれど、濡れた指先から心に伝わる『美しさの基準』とは何か、を問うような詩だなと思った。(たぶんあえて?)記録のように撮影された生々しい草花や命は、内藤さんが中也の目を持って拾ってきたボタンで、そのボタンを見たぼくらはこう問われる。これはただのリアルか、所詮、誰かにとっての美しさか。

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この ZINE だけじゃなく、いつだって『写真』という表現は『中也が月夜の晩に拾ったボタン的』なのだと思う。単に、あなたがいいと思った、それ以上でもそれ以下でもない。拾ったボタンを見せてもらう機会があった時、見る側が時々うっかり感動してしまったり、そのボタンを譲ってくれないか、と思うことはあっても、それ以上でも以下でもないのかな。やっぱり。エゴイスティックでナルシシスティックでいいんだもの。写真って。でも難しい。

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客観と主観の混ざり合う写真の魅力に取り憑かれました。

『写真』は詩に似ているから、言葉や世界観を詩人や小説から借りてこの先に続く写真に色を添える、という技法はよくあるのだけれど、時に『言葉』が見る側の想像力を制限してしまう場合が多々あるし、『写真』だけだと、今度はただの現象・風景として通り過ぎてしまう場合も多い。

それではもったいない。

でも、「写真に何が出来るのかを模索する」には誰かの言葉の力(普段は編集者的視点と読んでいる)は重要だと思う。主観的な写真に『客観』をインストールしてみる感覚。

実験のような ZINE だなと思った。なにより選んだ詩と写真のバランスが絶妙だなと、詩を読み込んで読み込んで、写真を何度もめくって、本人のインスタやウェブサイトを見て、納得した。次第です。


レビュー by 加藤 淳也(PARK GALLERY)


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作家名:内藤 桃子(神奈川県横浜市)
リアリティ(写真)に何が出来るのか、迷いつつも日々模索しながら写真を撮っています。客観と主観の混ざり合う写真の魅力に取り憑かれました。
https://www.momokonaito.com
【 地域の魅力 】
利便性が良いのに自然が多いところ。
【 地域のオススメ 】
〜 玉川学園前駅周辺 〜
玉川学園前駅は、新宿から40分弱、小田急線の急行の止まらない駅です。
商店街しかない小さな駅ですが、駅から20分ほど行けば田んぼがあったり、夕方には狸に会うこともあるくらい自然が豊か。

① 古い座敷とテーブル席が並ぶ昭和な居酒屋が徒歩1分の距離にあります。店主が人情味溢れていてほっとします。

②駅に向かう途中の尾根道(舗装路)から見る小さな町の家並み。

③ 駅前のスペイン料理のお店。パエリアランチが絶品です。



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