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【 レビューあり 】 けいみず 『カレイドスコープライフ』 東京都

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ZINE REVIEW by 間峠武蔵(ゲスト)

カレイドスコープとは、万華鏡や千変万化の意を持つ単語である。

まさにこの zine は、カレイドスコープ。
zine の特徴を考えさせられる一冊だと思う。

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zine に限らず、冊子を手に取った人は必ずと言っていいほど表紙から作品を見るだろう。

「ジャケ買い」なんて言葉があるように、表紙の持つ力は大きい。
表紙とは、冊子の顔であって表情なんだと思う。

この zine の顔を眺めると、
まるで落書きのようなフリーの字体のタイトル、
モノクロームの線で描かれた人、
ポップでカラフルな背景、
目が混乱するようなモザイク調の画像処理で出来ていた。

あえて手が抜かれているようだった。
だからこそか表情が読めない。
それは、けいみずさん独特の不思議な力だと思った。
吸い込まれるような、突き放すような。
矛盾する不思議な印象を感じた。

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内容を繰り返し読んで、
その不思議な印象の謎の正体が見えてきた。
これは「他人の頭の中そのもの」なのかもしれない。

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漫画の形式で、丸い人と四角い人が会話をしている。
奇妙でカラフルな空間で、
機械のように無表情にコピーアンドペーストで。

「会話のキャッチボール」とはよく言うが、 
ここにキャッチボールは成立していない。
丸い人の思いつきのような言葉と、
四角い人の気の無い返事があるだけだった。
(返事が無いこともしばしば。)
まるで自問自答のような、誰かの偏った思想のような、
そんな会話だ。

読み手が考える隙が無いほどに、漫画の隙間にある一言メモが目に入る。そこに漫画との関連性やきっかけは見えないし、
明らかな矛盾も点在している。
唐突で難解で、まるで混乱状態に吸い込まれてゆくようだった。

まさにカレイドスコープ。
唐突に目まぐるしく変わっている。
追いつく事さえ、予測さえ許されない。

けいみずさんが書いた【zineについて】には、
「人生観や哲学を語るだけの会話劇」、
「(それっぽい)啓発メッセージ」の言葉が。

人生観や哲学は、
触れられるほどに近く、隔たれて遠い。
それっぽい啓発メッセージはいくらでもある。
矛盾していて混乱するほどに。

奇妙でポップで馬鹿馬鹿しい。

そんな世界を覗く事が出来た。

最初にも述べた通り、zine ならではの面白さを感じた。
カレイドスコープライフからは、あえて混沌と混乱を招こう!という思いを大切にしているように思いました。zine の自由さを逆手に取ったユニークな作品です。

zine でなければ、このような作品に触れる機会は無かったかもしれないと思った。

zine とは本当に自由で愉快で面白いものですね。

レビュー:間峠武蔵(ゲスト)


---- 以下 ZINE の詳細と街のこと ----


【 ZINE について 】

映画「ウェイキングライフ」のような人生観や哲学を語るだけの会話劇を作りたくて、一話ずつ書き溜めていたものに、ダグラス・クープランドの「ジェネレーション X」のようなレトロフューチャー的(それっぽい)啓発メッセージをところどころに織り交ぜて、一冊の ZINE にまとめました。

価格:¥1,100(税込)
ページ数:28P
サイズ:148 × 210mm


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作家名:けいみず(東京都中野区)

主にポスカを使い、丸、四角、直線、曲線などの基本図形の組み合わせをシンプルな線で描き、カラフルかつポップな作品を作っています。普段はギャラリーやイベントなどでの展示会に参加しております。
2021年8月15日には絵本「ノーベンバー」も発売 !!
2022年10月にはルーブル美術館で開催する「Salon Art Shopping Paris」にも出展致します !!

https://www.instagram.com/kaymizu.co.jp
https://twitter.com/kaymizu_co_jp

【 街の魅力 】
都心へのアクセスが便利な割に、静かな住宅街で人も優しく住みやすい街です。
【 街のオススメ 】

① 波と雲(ラーメン)... バーの間借りで昼間しかやっておりませんが、奥行き・深みのあるあっさり味でとても美味しいラーメン屋さん。何度もリピートしています。東中野は実は何気にラーメン屋さんのプチ激戦区で、こちら以外にも美味しいラーメン屋さんが多いです。

② 中野氷川神社 ... 山手通り沿いにありますが、一歩足を踏み入れれば、空気がガラっと変わり、喧騒を忘れ、心が落ち着いていくのが分かります。木々に囲まれた境内はいつも綺麗に整備され、そこにいると、心の中も軽くなっていくよう。お気に入りの場所です。


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