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みてみて ZINE

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パークギャラリーで取り扱っている ZINE を紹介していきます。パークギャラリーでは買取専門で、ZINE の取り扱っております。自身が作られた ZINE で、もしパークで売りたい… もっと読む
運営しているクリエイター

記事一覧

豪快「Then Ha hurry up¿」

石川県から届いた PHOTO ZINE『Then Ha hurry up¿』。 PARK GALLERY が毎年夏に開催している ZINE の公募型の即売エキシビジョン『COLLECTION』への参加をきっかけに ZINE の制作を開始したという処女作。 カメラを持ちはじめて2カ月。「ZINE をつくって販売してみたいけれど、踏み切れなかった」という金沢在住の1人の青年が、衝動でまとめた1冊と言える。奇をてらうわけはなく、いい意味で実直で写真らしい写真が並ぶ。日常のスナ

たざきたかなり「デートプランを考え中」

イラストレーターたざきたかなりの頭の中をのぞいてみたい。いろんな情報がインプットされて妄想で溢れてアウトプットできずにいっぱいになってると思う。いい意味で。 たざきたかなりの描写する作品の世界観に入り込む。アクロバティックな構図で日常を非日常的に描く作家による本当のデートプランという『日常』は妄想と現実の間にいるようでなんだかクラクラするけれど、次も、次も、とクセになる。 それは絵の中に誰かがいそうな気がする『温もり』だったり、風で揺れる植物や、日中に感じる生ぬるい『

アオキユウタ「Declaration of marriage Full Version – zenpen-」

写真家のアオキユウタのことだからまたどーせひたすら『彼女』の写真集だろうと思ったら案の定裏切ることなく彼女100% 全力フルスイングZINE、でした。はい。気持ちいいくらいの。カッキーン。甲子園。ZINEってこうじゃなきゃと思わせてくれる1冊。タイトルは、 『Declaration of marriage』Full Version – zenpen- つまり結婚宣言。構成はアオキユウタプロによる<彼女の写真>とアオキユウタによる文。彼女との結婚?までのカウントダウンと

かたおかもとじ「NISHI AIZU ROLL」

自然に包まれた里山、人口7000人に満たない福島県『西会津町』から届いた1冊のZINE。 作者はNYから西会津に移住をし、デザインやイラストを中心に活動する ITWST(Momoe Narazaki と Wiliam Shum によるグラフィックデザインユニット)。西会津町に暮らす住民にフォーカスし、24枚撮りの 35mm フィルム 1本 のみを使って切り取った、インタビュードキュメントシリーズ。 西会津住民エピソード1は表紙のイラストからもその優しさ、真摯さが伝わっ

かなた「Kindar garten」

秋田在住のかなたさんによる ZINE『Kindar garten』は、0歳〜1歳の間だけ住んでいたアメリカ(もちろん記憶はない)で母親が買ってくれたおもちゃやビデオ、絵本、お菓子など、今となっては宝物のようなものたちを愛に溢れたポップなイラストとテキストで紹介した手のひらサイズの1冊。 日本に戻ってもその宝物は、彼女の感性を育み、影響を与えてきました。そのセンスの賜物か、圧倒的なレイアウトのセンス・イラストレーション・カラーリング・テキストどれをとってもすばらしい完成度

かなた「INSTAGRAM RECORD 2019」

ZINE『Kindar garten』の作家・かなたさんによる『INSTAGRAM RECORD 2019』もいい。 ぼくはかなたさんのことを『学校いちのセンスを持つ新聞委員長』と呼んでいる(呼んでいない)。『Instagram中毒です』という宣言からはじまり、彼女がインスタグラムと歩んできた歴史とも言える分析が、イラストとキャプションでポップかつシニカルに描かれています。このシニカルさがかなたさんのZINEの重要なエッセンス。時々ちょっといじわる。 インスタのアプリ

イハラナツミ「CAN JUICE ZINE」

大阪を拠点にグラフィックデザイナー、コラージュアーティストとして活躍するイハラナツミさんの ZINE『CAN JUICE ZINE』は、イハラさんによる妄想フレーバーと妄想パッケージが、脳内自動販売機のように詰まった1冊。 小さい頃から、いや、生まれた頃からずっと近くにあって、100円とちょっとがあれば誰でも手にすることができる『缶ジュース』。そのパッケージは子どもの頃からの原風景であり、ストリートアートと言える。コカコーラ、ペプシ、ドクターペッパー、ファンタ、ポカリス

長橋美野「Letter & Tea」

長崎に移住し、『Lettea(レッタ)』という名前でグラフィックデザイナー・イラストレーターとして活動する長橋美野さん。 『Lettea(レッタ)』とは『Letter』と『Tea』を組み合わせた造語。「たまにはゆっくりお茶でも飲みながら、知り合いに手紙を書くような生活を。」というコンセプトがうつくしい。 長橋美野さんによる ZINE『Letter & Tea』は、「手紙」と「お茶」について写真とイラストと文章で掘り下げ、『Lettea』という名が何故ついたのかということ

ウベラメグミ「Enerzine」

イラストレーターのウラベメグミさんが拠点とする長崎県東彼杵郡波佐見町は、『波佐見焼』の里。町中にたくさんの窯がある。 土の記憶、火の記憶、手の記憶。一度訪れたことがあるけれど、ここは不思議な郷愁を覚える。その正体はなんだろうと思う。 ウラベさんによる ZINE『Enerzine』にもまさに、土の記憶、火の記憶、手の記憶が描かれている。土さえも暮らしのリズムの一部にに取り込もうとしてきた人間の、プリミティブなエネルギーを筆に託して、季節の巡り、言葉と共にまとめたような1冊

大山莉奈「1」

油彩画家の大山莉奈さんによる ZINE が、活動拠点の北海道から届いております(遠路はるばる!)。 油絵と言ってもそのスタイルは自由で、いわゆる油絵の『美術』、『絵画』という先入観は飛び越えてきます。『壁』や『道』をはじめとする『景色』がモチーフ。大山莉奈さんの絵は、頭の中で記憶があいまいに重なって、もう1つの仮想現実的レイヤーが生まれてしまったという感じ。油絵の魅力というか特徴は、このレイヤーにある。誰かの物語と誰かの物語。昨日と今日。オンとオフ。良いも悪いも全部、筆

松木宏祐「群青」

写真に興味がない人にこそ見て欲しい1冊な気がする。言い過ぎか。 ファッションや音楽業界などのコマーシャルフォトも、プリベートな作品もキレッキレの写真家・松木宏祐くんの写真展『群青』から生まれた同タイトルの写真集。ほぼ同世代の彼の写真を、ほぼデビュー前の20代前半の頃から見てきて、この写真集は感慨深く受け取った。 以下、展示を見たときの感想を転載。 “見にきてよかった。青春の青。または未完成の青から「群青」へのグラデーションには息が詰まる。望月峯太郎の漫画みたい。松木く

「Walk on the tokyoeastside」

若者のためのエンタメやカルチャーがすでに成立してしまっている東京の西に比べて、まだまだ古いお店や建築、若者が介入し得ない世界が広がっている東京の東がおもしろい。いや、特に東だ西だと比較できるものでもないし、住めば都、今更、どちらがいいというわけではないのだけれど、ポートランド的な文化的のびしろを持っているのは間違いなく、東だ。 注目する点は町のいたるところにある『余白』にある。物理的な余白、感情的な「許し」にも似た余白の両方だ。その余白のおもしろさに気づいた人間が、東東

モリスン「PLAY GIRL」

大阪在住のイラストレーター・モリスンによる ZINE『PLAY GIRL』は、海外の雑誌のような作りのアートワーク集。 作者のあふれんばかりの『好き』が細部に詰まっているけれど、よくある日常のモチーフにしたイラストレーションとはまったく違う。日本じゃない(もちろん大阪でもない)、地球でもない、どこかの惑星でもない世界。GIRL と言いながらも、登場人物は男でも女でもない、日本人でもない、アジアンでも欧米人でもない宇宙人でもない誰か。けれど知らない世界ではないように思える

なかおみちお「pajamas」

脱力とリラックスは紙一重。 スケートやヒップホップ、B級ホラー映画などのストリートカルチャーをモチーフに、リラックス(チルアウト)なイラストを届けてくれるイラストレーターの『なかおみちお』くん。 今回の作品はリラックス中のリラックス。『パジャマ』な人たちを描いたハンドメイドな一冊。国籍不明、年齢不明、肌の色の違いなど関係ない(そんなのそもそも関係ない)、個性あふれるキャラクターのパジャマ姿がかわいらしい。作者のなかおみちおくんの性格というかキャラクターというかバイヴスが