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COLLECTIVE 2020 全ZINEをレビューしてみた

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47都道府県のさまざまな地域から ZINE を公募、展示・販売をするエキシビジョン COLLECTIVE に関するレビューやリコメンドを紹介していきます。会場での ZINE との… もっと読む
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COLLECTIVE に寄せて 2021 追記 ver.

ZINE の甲子園だ!甲子園や野外フェスみたいに 毎年の夏の恒例行事 をやりたいなと思って、おととしからはじめた ZINE の展示・販売イベント COLLECTIVE 。 このイベントが他の ZINE イベント一線を画すのが 47都道府県さまざまな地域から応募可能 という点。意外と ZINE って、作ったとしても 置いてくれる場所は限られる し、東京の人気の書店に送るにも センスを問われる し、地元の本屋やおしゃれなカフェで扱ってもらうのもすごく緊張するし(持ち込むだけで心

【 ZINE REVIEW 】 COLLECTIVE エントリー (57) やまだ なおと 『この部屋で夏を待つ』(北海道札幌市)

COLLECTIVE の会場となっている PARK GALLERY 。ぼくが昔、ライブハウスで働いていたり、ラップユニットや積極的に音楽イベントやフェスをやっていたということもあるけれど、パークスタッフやアルバイトはみんな音楽が好きで詳しい。なので外や会場で流れている音楽に反応して店に寄ってくれたり、中でそのバンドの話が弾んだりする。SNS ではなかなか伝わらない『音』『空気』の部分ですよね、これは。ギャラリーというと小さな音でピロピロとナイスで小粋な音楽がかかってればいい(

【 ZINE REVIEW 】 COLLECTIVE エントリー (55) けいみず 『ポスカ日和』(東京都中野区東中野)

PARK GALLERY を COLLECTIVE で知ったという人も今回参加してくれた人の中には多いかと思います。実際、SNS や口コミ、友達の紹介で、という方が多く、その新しい出会い1つ1つをうれしく思っております。PARK GALLERY は普段はギャラリーとして個展や、グループ展、企画展などの受け入れを行なっております。基本作家さんから使用料などはいただいていなくて、なので予約してお金を払えば展示利用できるレンタルスペースというものではなく、店主のぼくや、スタッフのい

【 ZINE REVIEW 】 COLLECTIVE エントリー (54) せのー 『SHORT SCENE』(東京都)

COLLECTIVE に集まってる ZINE の特徴に、『日常のなにげない瞬間』をすくいあげるように取り上げてる作品に出会います。絵、写真、詩。ZINE という特性が、日常のことを取り上げやすいというのはもちろんだけれど、以前はもっと日常では伝えられないというか、日常の中に潜む非日常、人になかなか言えずにいること、生きづらさみたいなものが多かったように思います。日常なんて作品になるか。小津安二郎じゃあるまいし、という時代だったような。 東日本大震災以降、ある日、突然、地震や

【 ZINE REVIEW 】 COLLECTIVE エントリー (52) ぽつねんとして、 『2019ふたりごと』(東京都武蔵野市)

COLLECTIVE ついに残すは5日に。寂しいな。いつも、いつの展示も、終わり際は寂しい。朝、こうしてレビューを書くのもいったん終わりになる。会場にいるひとみんなで焼肉食べに行ったり、みんなでフジロックの映像を見たり、クラフトコーラを作って飲んだり、楽しい週末だったな。夏休みって感じ。これがきっかけで知り合った人、仲良くなった人と、また何かパークで企画できたらうれしい。年末には、自分が2020年で作ったものの中の『ベストだ!』と言える作品を募集して展示する『THE BEST

【 ZINE REVIEW 】 COLLECTIVE エントリー ㊿ よしの さくら 『とまれみよ vol.1』(宮崎県西都市)

COLLECTIVE もいよいよ残すところ1週間。昨日はお休みさせていただいたレビューですが、ちょうど最終日にレビューを書き終えるんじゃないかなと思ってます(納品された順にあげてるので遅くなってしまったひとごめんなさい)。すごく気になっていたイベントなので、出れてうれしいとか、憧れの ZINE イベントですとか、レビューのボリュームがすごいとか、うれしいとか、いろいろな声をいただいて、本当にやってよかったなと思ってます。 残りわずかになると追加納品のお願いをするのですが、も

【 ZINE REVIEW 】 COLLECTIVE エントリー ㊽ SANTABUNNY 『SANTABUNNY DRAWING BOOK -BLUE PRINT-』(埼玉県さいたま市南区)

COLLECTIVE を開催しているパークギャラリーでは、普段はジャンルを問わないカルチャーギャラリーとして、必然的にイラストや写真の展示が多いのですが、COLLECTIVE をきっかけに、なるべく多様な表現による展示を受け入れられたらと思っています。例えば音楽。もう3年前かな、毎月のように弾き語りのイベントをパークで開催していて、毎回大好評でした(多い時で30人は入るんですよ)。例えば衣服のブランドの新作の展示、受注販売会。1つのバンド、ミュージシャンの過去のライブ写真やグ

【 ZINE REVIEW 】 COLLECTIVE エントリー ㊷ mycoro 『PEOPLE』(東京都文京区)

COLLECTIVE がきっかけでパークを知ったという人のために前回の続き。PARK GALLERY をはじめた当初、ぼくはギャラリーの知識はほぼゼロでした。壁を白く塗って、釘を打てば額を飾れるのではないかくらいの知識で、みんなの助けを借りながらああでもないこうでもないとやってきました。ただ、写真家やイラストレーターのマネジメントやプロデュースをする会社で数年働いてた経験があったのと、その後、広告や雑誌、CD・DVD ジャケットなどのアートワークまわりの編集やコーディネート、

【 ZINE REVIEW 】 COLLECTIVE エントリー ㊶ 山手 澄香 『mystic hongkong -mask-』(神奈川県海老名市)

COLLECTIVE ではじめてパークを知ったという人のために、パークのことをかんたんに説明します。PARK GALLERY はもともと、地域活性と社会福祉を目的とした某 NPO の事業の一環として江戸川区の平井という小さな町ではじまりました。車1台分の小さなガレージを改装し、みんなで壁を白く塗って、ギャラリーとして2015年にオープン。町づくりや福祉に興味があるボランティアスタッフで運営し、1年とちょっと。いろんな人が平井という街に集まり、毎週末のパーティはもちろん、ケンカ

【 ZINE REVIEW 】 COLLECTIVE エントリー ㊳ ホシヤマ ヒカリ 『Outline of View』(東京都八王子市)

PARK GALLERY は実はギャラリーなんですが、オフィスでもあり、ぼくの自宅でもあります。賃貸ですけれど。2階で仕事、3階に住んでいます。朝起きて、1階に降りると、自然光に照らされた作品が壁に常に展示されている、というのはなかなかいいものですよ。作品から活力をもらいます。夜はみんなが帰ったあと、ひとりお酒を飲みながら作品を眺める。こんな贅沢な時間はないなと思います。いまは ZINE の展示中なので、パラパラと作品をめくって楽しんでいます。 2階のデスクまわりにも好きな

【 ZINE REVIEW 】 COLLECTIVE エントリー ㉖ おおいし ももこ 『ぎんちゃんとこさめ』(静岡県静岡市)

毎年、8月に開催される COLLECTIVE 。クーラーの効いた部屋でキンキンに冷えた瓶ラムネや缶ビールを片手に、壁に展示された ZINE を手に取りペラペラとめくる。いつの間にか、ぐっとその世界に引き込まれてしまい、蝉の鳴き声もいつしか聞こえなくなってる。「ZINEのピークは立ち読みの瞬間だ」「いやレジに持って行って買う瞬間がピークだ」という議論が湧いたのは2年前。逆説的に言うと、家に帰るとだいたい ZINE の魔法は解ける。それでもいいんだよね。ZINE って。 本がほ

【 ZINE REVIEW 】 COLLECTIVE エントリー ㉕ 藤本 将綱 『HOUSE』(福岡県北九州市)

今回の COLLECTIVE はとにかくとにかく何度も言うけれど、東京からのエントリーが多い。去年一昨年の東京のエントリーなんて全体の割合の10%程度。今回はまったくもって逆転。 やはりコロナ禍の自粛ムードが圧力となって、そのフラストレーションが『発信』というエネルギーに向かったか。コロナ禍に作られる ZINE というのは、戦中に記された手記のように、きっといつか役に立つと思う。いまの本当の気持ち、悲しみ、憂い、その中から湧き出る精子のような生きようとするエネルギーや感謝す

【 ZINE REVIEW 】 COLLECTIVE エントリー ㉒ 望月 純 『カルマ・スーダラVOL.1/モヤモヤ君ノート』(千葉県南房総市)

47都道府県から ZINE を公募し展示・販売するエキシビジョン COLLECTIVE は、距離はもちろん関係なければ、作家としてのキャリア、ZINE のフォーマット、知識なども不問。生まれたところや皮膚や目の色で何かを決めるようなことはしません。間柴のフリッカー・ジャブのごとくノーガードでぶち込んでいきます(例えが古い)。もちろん年齢も不問、ゆりかごから墓場まで。ZINE というメディアが三世代、四世代にわたって続いていけばいいなと思っています。とはいえ現状平均年齢は20代

【 ZINE REVIEW 】 COLLECTIVE エントリー ㉑ ぴゅるりんこよしだ。 『MOYAMOYA FLOWER』(東京都杉並区)

これからイラストレーターや写真家になりたいといってパークに来てくれるひとたちによく聞かれるのは、「何を描けばいいですか」、「何を撮ればいいですか」という質問。こればかりは正解は存在しないですし、イラストや写真の中でもさらに細分化されている世界なので、一概には言えないけれど、「それを探すために1つのテーマで作り続けてみるといいかもしれない」ということは言うようにしています。 興味の赴くままあっちゃこっちゃにいかないで、テーマでターゲットを絞って、でもとにかくそのテーマのモチー