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2021年どうなる!?フランスの農業

農業と環境

大規模農業による環境破壊は留まることを知りません。以下にリンクを張らさせていただいた「農業と環境」という記事を読むと将来が恐ろしくなります。記事を書いた記者は自給自足でローカルな農業を広げていかなければと結論づけており、私も大賛成しています。しかし自給自足的でローカルな農業が盛り上がっているフランスでさえ環境問題は改善されてはおらず、「本当に環境によい農業とはなにか?」「根本的で早急に効果のある環境対策とはなにか?」という議論が盛んに行われています。

生物多様性(BIODIVERSITY)がこれからの農業のキーポイント

ヨーロッパには欧州共同農業方針を取り決めるための委員会(CAP)が存在していて、7年ごとに達成すべき行動指標が発表されています。その行動指標に従ってヨーロッパ各国が政策を発表し、実行するという流れです。

前回の欧州共同農業方針では、温室効果ガス対策としての緑化の促進が重要視されていました。予算の3/4(約700億円)を使って、使用されていない農地や道路沿い・河川周辺の緑化に取り組んだそうですが、環境破壊のスピードが速すぎて環境改善の効果がなかったと非難されています。

2021年は新たな方針が実行に移される7年サイクルの初年度となっているのですが、前回の指針の反省も踏まえ、生物多様性を強化することに重きを置いた指針となっています。

この活動のひとつとして、農作品種の数を増やして多様性を広げていこうという動きがあります。しかし生物多様性の概念は農作物そのものだけに留まりません。

生物多様性(BIODIVERSITY)のための生態学農業(AGROECOLOGY)

仏環境省の発表ではヨーロッパの昆虫の数は80%減少しており、その原因は殺虫剤にあるとされています。食物連鎖のバランスが崩れたことにより、虫を食物とする野鳥の減少も著しく、ある地域において野鳥はこの30年で40%減ったとのことです。

蜂の減少も顕著です。蜂は果物の受粉の80%を担っているだけに、果物栽培者にとって重大な問題になっています。私は一消費者として、この数年起きたハチミツの値上がりには驚いています。コップ一杯程度の有機ハチミツが千円程度と、買うには勇気がいる価格になってしまいました。

ちなみにこのままでは今世紀末までに、今いる動植物の40%が絶滅するそうですよ…。

羽虫、蝶々、蜂、鳥など、農業に必要な生物の生態系を崩さない農業を生態学農業(AGROECOLOGY/アグロエコロジー)と呼ぶのですが、生態学農業は多種多様性を守り、これからの環境保護と持続可能(SOUSTAINABILITY)な経済活動につながるといわれており、欧州共同農業方針を取り決める委員会は生態学農業を業界全般に浸透させると、大きな方針転換を決めたわけです。

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生物多様性(BIODIVERSITY)への道

欧州共同農業方針が発表している具体的な行動指標は以下です。

2030年までに殺虫剤と抗生物質を今の半分まで減らし、肥料を今の80%まで減らす。そして農作物の25%をオーガニックにする。

詳細は以下のリンクの記事からご覧ください。

そういえば、去年(2019年)仕事でフランス農業機械見本市に行ったのですが、農地の雑草や窒素量を自動認識し、ピンポイントで農薬や肥料を散布させる機器が数多く展示されていました。農薬や肥料の使用量を飛躍的に減らす目的があるそうです。個人的に、大規模農業に対抗するための小規模農業という二項対立的な考え方では限界があると感じていたので、農業の規模に関わらず生態系にやさしい取り組みが進むことはいいことですね。(もちろん農薬ゼロのほうがいいですけどね…。)

ちなみにフランスは欧州委員会とは別途、生物多様性を促すために農業用水に年200億円の予算、有機農家に年60億円の予算を出すと発表しています。

どうやって実現するか

フランスは何十年もの間、エコロジー税、石油税などの増税政策を通して環境改善を図ろうとしましたが、黄色いベスト運動などのデモを引き起こし見事に失敗しています。

作付面積に比例して土壌の荒廃レベルが上がるのは明白なのだから、農地面積に比例した助成金が配布制度を改正するべきだという声を上げる人も少なくありません。現在新・指針の実現に向けてフランスは具体案を練っている途中なのですが、どのような決断が下されるのか注目されています。

フランスの南部では有機ブドウ栽培を行う農家が60件集まり、独自の環境保護対策に取り組んでいます。年に2回の研修を開催し、環境に対する農家の意識を高めています。また農地周辺の緑化活動、絶滅危惧種とされているトカゲやコウモリの育成、蜂の巣箱を設置をするなどの取り組みを行っています。フランスはコンテストを開催しており、このような活動に助成金を配布するシステムに取り組んでいます。

最後に

本来なら森林に生息しているはずの野生動物が、住処を奪われて都市に流入せざるを得なかった。そうやって都市にウィルスが持ち込まれ、今回のようなパンデミックを引き起こしたともいわれているだけに、コロナ後にどのような社会を創るかという疑問も合わせて地球を破壊し続けている経済活動を考え直そうという意識が高まっています。

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2020秋からフランス国内の展示会視察や企業訪問をしながらレポート記事を投稿していく予定です。現在その資金が必要なのでサポートをお願いいたします!

メルシー!
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日仏英語の通訳ガイド兼コーディネーターです。日本とフランスを行き来して感じたことをつれづれ書き留めたいと思います。
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