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国家存亡の時、理想的な組織が生まれる

理想的な企業って、どんな組織だと思いますか?

経営学の父ドラッカーによると、理想的な会社とは「個人の目的」と「組織の目的」がリンクする組織のことを言います。つまり、個人が目的達成に向けて努力する、それが会社の目的達成につながるような組織です。

でもね、現代資本主義社会において、そんな理想的な会社を見かけることってあります?ほとんどないでしょう。そもそも企業と個人の目的はほぼ間違いなく一致していません。大多数の組織は顧客の欲求を満たすため、個人は給料を得るために働いていることがほとんどです。

しかし、過去にそういった理想的な時期や組織が存在していました。

「国家存亡のとき」です。

国家がなくなる、国が滅ぶ、そのタイミングでは組織に属する個人は一致団結して同じ目的のために努力します。それは歴史が証明しています。

このnoteでは、「個人の目的」と「組織の目的」がリンクする理想的な組織の姿を知るために、「ダンケルクの戦い」における個人と組織の姿について考えます。


▼「ダンケルクの戦い」とは

ダンケルクの戦いとは、第二次世界大戦初期、ドイツ軍とイギリス・フランス連合軍の戦いです。

ヒトラー率いるドイツ軍は、連合軍をフランス最北端のダンケルクまで追い詰めました。当時のドイツ軍は世界最新鋭の機器を保有し、連合軍がいくら束になっても太刀打ちできなかったほど強力だったんですね。

連合軍の兵士はただ救出船を待つだけ、彼らはドイツ軍の飛行機から落とされる爆弾に対して、身をかがめて当たらないのをただ祈るだけでした。

やっとの思いで救出戦に乗ったとしても終わりではありません。イギリスまで向かう途中、ドイツ軍の魚雷や爆弾によって船は落とされることもしばしばありました。加えて、連合軍を救出するための船が足りないという有様です。まさに絶体絶命の状況です。

そんな瀕死の状況の中、立ち上がったのはなんと「民間人」でした。

民間人は自分達が保有する観光用の遊覧船、商業用の貨物船、漁船、民間の小型船や艀(はしけ )と呼ばれる平べったい船まで総動員して、追い詰められた兵士たちを救うために戦争真っ只中のダンケルクに駆けつけたのです。

目的はただ一つ。「救出」するために。


映画「ダンケルク」の中で、とても印象的なシーンがあります。
(ネタバレ含むので、まだ観てない人は読み飛ばしてください。)

とある遊覧船が海で瀕死の危機に陥っていたある兵士を救いました。
兵士は戦時中の恐怖から気が動転していて、まともに会話することができません。

しばらくして落ち着き、兵士は船の行き先を尋ねました。
船の持ち主である父は「ダンケルクに向かう」と言います。
兵士は怒声を上げて反対します。
「なぜ、あんな死ぬような場所に行くのだ!?即刻国に帰るべきだ」
つかみ合いになりました。
父の息子である2人の兄弟は兵士を止めようとします。

するとタイミング悪く弟が押し倒されてしまい、床に頭を強打してしまいました。
弟は視力を失い、夢であった「勇敢な兵士になれない」と兄に話します。
兄は冷静にじっと弟を見つめます。
しばらくして弟は死にました。

兵士はその後冷静さを取り戻し、兄に弟の様子について尋ねます。
「弟は大丈夫か?」
兄は少し考えてこう言います。
「あぁ、大丈夫だ」
兄は父と目を合わせて静かに瞬きします。

父も兄と弟が死んだことを隠し通したのです。

それは他の誰でもない、兵士を救うためです。

もしも兵士が「弟の死」を知ってしまったらどうなるでしょう。
自分を救ってくれた一般人を殺してしまったと気づいたら。

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この「ダンケルクの戦い」では一人一人が本気でした。「救出する目的」のために必死に命をかけて取り組んでいました。

冒頭、理想的な会社とは「個人の目的」と「組織の目的」がリンクする組織のことだと書きました。ダンケルクの戦いにおける彼らを救おうとした組織こそ、まさに理想的な組織だとドラッカーは言います。


▼現代で「理想的な組織」を作ることは可能なのか?

「国家存亡の時」には理想的な組織になります。しかし、現代では99.9%不可能でしょう。国に重大な危機が訪れることはありませんし、仮にあったとしたら異常事態です。

でも、ドラッカーはこう言います。

しかし、これは国に重大な危機が訪れなくとも、あるいは外部から刺激を受けなくとも起こしうることである。

次回のnoteでは、「どうすれば外部からの刺激なしに、国家と個人の目的を紐づけられるか」について具体例たっぷりに説明しようと思います。

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