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地獄のように行け。

朝散歩を始めました。
どうも、コーシです。

"GO LIKE HELL" 
そうプリントされたTシャツを買った。
古着のnikeのTシャツだ。

直訳すると、「地獄のように行け」となる。
もう少し細かいニュアンスがあるような気がして、少し調べて意訳すると、「死に物狂いでいけ」もしくは「猛スピードで行け」という訳になった。

やはり英語とというのはニュアンスの世界だ。
この2択はおそらく状況によって正解が異なる、というかどちらも役としてはあっているのだろう。

しかし、Tシャツにはその文言の上に”EAT RIGHT. GET LOTS OF SLEEP. DRIMK PLENTY OF FLUIDS."と書かれている。
意味としては「よく食え。よく寝ろ。たくさん飲め。」であるため、どちらかと言えば、「死に物狂いで行け」の方がしっくりくるかもしれない。

そこまで考えたところで、パソコンを閉じ、思考をやめた。
こんなことを考えている人間は”GO LIKE HELL"を掲げるのに適していないと気づいたからだ
何も考えず、着よう。そして必死に生きよう。
そんな決意を休憩中にして、私はテスト勉強を再開した。


ある日、試験の日、私は悩んだ。
着ていくTシャツで悩んでいた。
白のビーチボーイズというバンドの写真がプリントされたTシャツ、もしくは、”GO LIKE HELL"Tシャツ。
どちらを着て行こうか。
結構大事な試験が3つもある日なので間違いなくそんなことに時間を使っている余裕はないのだが、やはり身にまとうものというのは、メンタルに作用する。
ここで「必死に生きろ」というメッセージを掲げてみた時のやる気に上がりようは割とバカにならない気がしている。

やめよう。
もう既に私は必死だ。
必死に勉強してきた。
これから電車の中でも必死に勉強する。
私はTシャツの力は借りない。
己の力のみで、この試験を乗り越えて見せようじゃないか!

そう決意し、私はビーチボーイズTシャツに袖を通し、家を出た。


その日は3つのテストを控えていた。
もちろん私はひとつ目の文学のテストに間に合うように家を出る。
文学の授業はとても楽しくて授業も真面目に聴いていたので、試験時間である1時間も使わず、40分くらいあれば解けるだろうと踏んでいた。

電車で文学とその他の教科の勉強もしつつ、大学へと向かう。
必死だ。誰のためでもなく、自分のために。
人生においては対して大きな事象ではないが、勉強をしてそれ相応の成績が出ることはやっぱり嬉しい。

今日も頑張る。帰り道にはシュークリーム買お。

そんなことを思いつつ新宿駅の人混みを耐え、乗り換えようとすると、嫌な予感がした。
目に入った電光掲示板が、真っ赤だ。

遅延している。まずい。
電車にダイヤは完全に乱れているし、ちょうど大学までの道中で何らかの不具合があったらしく、大学までの特急は全て途中の駅までの各駅停車へと変貌している。
そんな電車は今日の私にとって何の意味も成さない。

私は死に物狂いで電車を探した。
猛スピードで新宿駅を駆けた。

すると、途中駅までの急行電車が目の前で発車しようとしている。
一瞬の迷いの末、私はそれに飛び乗った。
一刻でも早く目的地に近づいといた方が良い気がした。

その決断は英断だった。
次の駅から、次の乗り換え駅までの急行電車に乗ることができた。

これでとりあえず、中央大学への”到着”は確実なものとなった。

あとは間に合うかどうかである。

ざっと計算してちょうど開始時間に着く計算だが、電車は発車しては停止してを繰り返している。
私は間に合うという期待を即座に捨てた。
とりあえず、多くの友人は文学の次の時間からテストがあるので、私はクラスのグループラインに注意喚起をした。
「〇〇線を使うものたちよ。この電車は遅れている。テストへ行きたくば、今すぐ家を出るのだ。健闘を祈る。(誇張あり)」

さて、一方の私だ。
どうやら、1人の同じような目に遭っている友人からのLINEによると、30分までの遅刻であれば、残りの30分でテストを受けることは可能らしい。

今日を諦めるようであれば、追試という形で受けることはできるが、追試の日程の4日間うち、2日間は絶対に空けられない予定が入っていた。

すなわち私は、質より時間の意識でテストを受けるか、2分の1の確率で単位を落とすか(ゲットするか)。
この2択を迫られていた。

私は死に物狂いで考えた。
猛スピードで考えた。

いや、チャレンジしよう。
私は30分で単位をゲットしてみせる。

そう決意した頃にはもう既に勉強を再開していた。

しかしこの世に味方は少ない。
電車はその30分というデッドラインにも間に合うか怪しくなってきている。
しかも、さらに、毎度のことながら、私はお腹を下している。
しかしトイレに行っている時間など間違いなく無い。

もうこうなりゃやけだ。
覚悟を決める。

乗り換え駅に着き、私はいつもだったたら7、8分かかる乗り換えを4分で成功させた。
俺だけひと足さきにパリオリンピックを多摩の地で開催させているのかというほど、心の中の大衆が歓喜していた。

このダッシュにより私は望みを繋いだ。

そして30分のデッドラインの10分前に中央大学駅に着き、広大な多摩キャンパスを再びダッシュした。汗だくで。
死に物狂いで、猛スピードで、、。

走りながら心から思った。
”GO LIKE HELL"Tシャツ着ないでよかったぁぁぁぁ。。。。

危うく、「死に物狂い」と「猛スピード」のダブルミーニングを体現するところだった。
試験監督も、もし汗だくで遅れて来た生徒が”GO LIKE HELL"なんて掲げていたら吹き出していただろう。
やはりTシャツに書いてある文言というのは、そこしズレているからサマになる。
”GO LIKE HELL"真っ最中のやつが”GO LIKE HELL"を着ていたらそれは「滑稽」だ。
私は”GO LIKE HELL”に適し過ぎている。

私は大焦り中の小安堵を体感し、残り1分というところで30分のデッドラインに間に合い、テストを受け始めた。

死に物狂いで、猛スピードで。

 フクダコーシ しそとツナ缶。
 Instagram @f.kohhhhhshi_(アート投稿中!)
 Twitter @FKohhhhhshi

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