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◯大学に合格させるとかできる子に育てる、という子育て本が役に立たない件

自分は元教員で、元旦那もその親も自分の親も教員(それぞれ母親は専業主婦)という恐ろしい世間知らずな教育一家だったこともあり、可哀想なことに娘は胎教から早期教育、かなり気合いと期待を背負って生まれてきた。

現役の頃は生徒指導で非行生徒の相手もしてきたし、スポーツのインストラクターもしているので、幼児から大学生まで色んな子供たちや親と接してきて、子育てや教育に関してはちょっと知ったふりだったものだ。

娘はとても手がかからない子に育った。人様に迷惑をかけないよう、うるさく厳しく、特に女だからの甘えを絶対に許さなかった。泣けばすむと思うな、とも言ってきた。
今振り返ると鬼。

生まれ持った性格もあるが、幼稚園の時から担任やお母さん達の評判がすこぶる良く、面談にいけば担任はみな、とても良い子で素晴らしい、幼稚園の先生はこんな良い子はめったにいない、本当に自分も◯ちゃんのことが大好きだ、いつも自分を助けてくれて本当に助かっている、と涙させたほどだ。

英語、水泳、ダンス、野外活動、スキー、ピアノ、大人になってから困ることがないようにと、週5でお教室通いをさせていた。

五年生で父親が去るというショッキングな出来事を経験させてしまったのだが、成績はパーフェクトで小学校を卒業し、すっかり中2病でシニカルな難しい反抗期を経て中学校もほぼオール5で卒業した。(体育が苦手でパーフェクトならず。)

さて、高校受験の話。元高校教諭、現塾講師の自分だが、私から教わるのは嫌がるので、自分とは別の塾に小学生から通わせている。

夏期講習にウン十万払い、地元で人気の進学校の合格が見えてきた秋。
塾の先生との三者面談があった。

難関進学校の合格実績を上げたい塾長、高い授業料払った私は、模擬試験のA判定に興奮気味で前のめり。

「◯ちゃん、よく頑張ったね!合格か見えてきたよ!もう少しだよ!この調子で頑張ろう。」
うんうん、と満足する私の傍らで、暗い表情でうつむく娘。

「それでは今後の日程を…」
…グスン。え?
グスン。グスン。何?
突然泣き出す娘。なぜホワイ!?

理由を聞いても固く口を閉ざし、私は諦めて席を外し、塾長に任せて帰ることにした。

後程先生に話を聞くと、目指していた進学校Aではなく、B高校に行きたいのだという。B高校は私の出身校で、悪い所ではないのだが、彼女の実力なら勉強しなくても入れるレベルである。「ママはB高校しか入れなかったし~」と自虐ネタにしていたところだ。

「A高校の雰囲気は合わないので、B高校に行きたくなったけれど、高い授業料を払ってもらって今さらお母さんに言えなかったし、ここなら余裕で合格はできるけれど、もっと勉強したいからこれからも塾には通いたいのだ、と。」

余裕がないからビビってランクを下げた、というなら良くある話ですが、文武両道で生徒も明るく、地元でも評判のA高校、

「見学に行ったが、みんな陽キャでキラキラしていて私には眩しすぎてムリ、やってける気がしない」

私は脳天をバズーカでバゴーン撃ち抜かれた。娘は親が言うのも何ですが、平均よりは可愛いと思う。
全力で陽キャになるよう育ててきたはず…だった…はず…
よりによって落ちぶれた母親と同じ学校…

一人泣きました。高校受験のために費やしてきた3桁と自分の子育てが虚しくなり。
「お前の進路は好きなように選びなさい」
と笑顔で言った目の奥が笑っていないことに気がついていても、どうにもならなかった。

本人は、自分で考えて進路を決定し、これからも頑張って勉強したい、と言ってるだけなのに、誰も悪くないのにしばらく泣きましたわ。

なんだかやるせなく。
自分の娘が陽キャでなかったという事実。

塾の先生は


「そんな理由なんです。あの子、お母さんのこと大好きなんですよ、本当に。わかりますよ、僕には」

先生の言葉で目が覚めた心地がしました。

私は、子供によかれ、でなく、自分が世間から非難されないように、自分が困らないように、自分が満足できるように、子供に色々させてただけだった。
自分がなれなかった、クラスの中心にいる陽キャになることが子供にも生きやすいんだと思っていた。

それは、大人の要求に答える子供であり、大人から見た良い子であり、子供の人格を無視したものである。

自分の子が、クラス一番でなくても、運動音痴ても、テストで0点でも、美少女でなくても肥っていたとしても、無条件で愛してやらなければいけなかったのに。

ありのままで愛していたはずなのに。いつのまにか、自分の望む【良い子】でなければ愛せなくなっていたのだと。

恐ろしいことですが、この機会にようやく気がついたのです。
それから、親子関係も変わってゆきました。

これは私のケースですが、高齢で子供を持たれた高学歴な母親、もしくは私のような中途半端な学歴コンプレックスを持っている親によくみられるケースです。
実際、習い事でもできの良い友人の子を妬むママ友などいますよね。

今は、学歴だけでなく、(学歴でない、と断言するのもどうかなと思うし、実際)一番大切だと思っておるのは、

子供が全力でその子らしくいられるってこと。

それだけになった。思考も断捨離されたからね。(*^ー゚)

でもなぜ勉強するかはまたの機会に。
※ちなみに、嫌なお稽古もあったが、一般教養として身に付いて感謝はしている、と今は申しております。(^_^;)

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