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06_神経系【救急救命士国家試験対策】


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国家試験定期試験出題内容のまとめ

【神経系】

1. 神経の分類

  • 中枢神経系(CNS): 脳と脊髄から構成され、情報の処理と制御を行います。

  • 末梢神経系(PNS): 脳神経と脊髄神経を含み、体性神経(意識的な運動や感覚を司る)と自律神経(無意識の内臓機能の調節)に分かれます。

    • 体性神経系: 意識的な運動や感覚を制御します。

    • 自律神経系: 内臓、血管、腺などの活動を無意識に調節します。交感神経と副交感神経に分かれます。


2. 神経膠細胞(グリア細胞)

  • 中枢神経系の神経膠細胞:

    • 星状膠細胞(アストログリア): 血液脳関門を形成し、神経細胞への栄養供給と環境の維持に関与。

    • 希突起膠細胞(オリゴデンドログリア): 中枢神経の軸索に髄鞘を形成し、信号伝達速度を高めます。

  • 末梢神経系の神経膠細胞:

    • シュワン細胞: 末梢神経の軸索に髄鞘を形成し、神経信号の高速伝達を可能にします。


3. 神経の構造

  • 灰白質: 神経細胞体が集まる領域。中枢神経系で情報の処理や統合を行う部位。

  • 白質: 髄鞘を持つ神経線維(軸索)が集まり、情報の伝達を行う領域。白色に見えるのは、軸索が髄鞘で覆われているためです。


4. 脳の構造と機能

  • 脳の区分:

    • 大脳: 思考、記憶、運動、感覚の中枢を司る。

    • 間脳: ホルモンの調節や自律神経系の制御を行います。

    • 脳幹: 中脳、橋、延髄から成り、生命維持機能(呼吸、心拍、血圧)を統合します。

    • 小脳: 運動の調整とバランスの維持を行います。

  • 大脳の葉の機能:

    • 前頭葉: 運動制御、思考、計画、判断。

    • 頭頂葉: 感覚の統合(触覚、空間認識)。

    • 後頭葉: 視覚情報の処理。

    • 側頭葉: 聴覚と記憶の処理。

  • ブローカー中枢: 前頭葉にあり、運動性失語症を引き起こす。言語の生成に関与。

  • ウェルニッケ中枢: 側頭葉にあり、感覚性失語症を引き起こす。言語理解に関与。


5. 脳脊髄液

  • 脳脊髄液(CSF): 脈絡叢で生成され、脳と脊髄を保護し、栄養の供給や老廃物の除去に関与します。脳と脊髄を衝撃から守るクッションとしても機能します。


6. 脳神経(◎は自律神経を含む)

  • 動眼神経: 瞳孔の収縮や眼球の運動を制御。◎

  • 三叉神経: 顔面の感覚と咀嚼筋の運動を支配。

  • 顔面神経: 表情筋と眼輪筋の運動、舌の前2/3の味覚を司ります。◎

  • 舌咽神経: 唾液腺(耳下腺)の分泌を制御。舌の後ろ2/3の味覚。◎

  • 内耳神経: 蝸牛神経(聴覚)と前庭神経(平衡感覚)を含む。

  • 迷走神経: 頸部から胸部、腹部の内臓や心臓や血管などを支配。◎

  • 副神経: 胸鎖乳突筋、僧帽筋、喉頭筋の運動を司る。

  • 舌下神経: 舌の運動を制御し、食べ物の咀嚼や発話に関与。

  • 自律神経が含まれているのは、3.7.9.10番
    ※「港区」と覚える。


7. 脊髄神経

  • 脊髄神経の数: 計31対(頸神経8対、胸神経12対、腰神経5対、仙骨神経5対、尾骨神経1対)。

  • デルマトーム: 皮膚の感覚が特定の脊髄神経に対応している領域。デルマトームの分布を調べることで、脊髄損傷の高さを判別します。

  • デルマトームの高さの目安
    • C6: 上腕の外側、親指側
    • C7: 中指
    • C8: 小指、前腕の内側
    • T4: 乳頭の高さ
    • T6: 剣状突起(胸骨下端)
    • T10: 臍(へそ)の高さ
    • L1: 鼠径部(股の付け根)
    • S4, S5: 肛門周囲


8. 自律神経

  • 交感神経: ストレス時や活動時に体を活性化する(心拍数増加、血圧上昇)。

    • 伝達物質: ノルアドレナリン。

  • 副交感神経: 休息時や消化時に体をリラックスさせる(心拍数減少、消化促進)。

    • 伝達物質: アセチルコリン。

自律神経系は、ホメオスタシス(恒常性)を維持し、体の環境を一定に保つ役割を果たします。例えば、体温調節、血圧の調整、内臓の働きなどが含まれます。


9. 脳の酸素消費と血流

  • 脳の酸素消費: 脳は全身の酸素消費量の約20%を占めます。脳は非常に酸素を必要とし、酸素供給が途絶えると短時間で機能障害が発生します。

  • 脳血流: 脳には毎分約750mLの血液が供給され、これは全身の血流量の12.5%に相当します。この血流が脳に栄養と酸素を供給し、老廃物を除去します。



問題

  1. 神経は __________ 神経、末梢神経からなる。

  2. 神経膠細胞には、中枢神経では ____________________ 、末梢神経ではシュワン細胞がある。

  3. 神経細胞が集まっているところを __________ 、神経線維の集まっているところを __________ という。

  4. 中枢神経は ____________________ に分けられる。

  5. シナプス伝達は __________ 方向性である。

  6. 大脳半球は ________________________________________ に大きくわけられる。

  7. 脳は __________ 、間脳、 ____________________ の4つに区分される。

  8. 大脳表面には __________ 、外側溝(シルビウス裂)、 __________ という深い脳溝がある。

  9. __________ 中枢の障害によって運動性失語症を示す。

  10. __________ 中枢の障害によって感覚性失語症を示す。

  11. 中脳、橋、延髄を総称して __________ という。

  12. 運動性失語症は、話言葉は理解できるが、 __________ 話し方になる。

  13. 優位半球の __________ の障害では、ゲルストマン徴候が見られる。

  14. __________ が傷害されるとめまいや歩行障害が出現する。

  15. 髄膜は外側から、 ______________________________ がある。

  16. 頭蓋骨を骨折し硬膜の血管が損傷すると、頭蓋骨と硬膜の間に出血する __________ となる。

  17. 脳脊髄液は __________ で生産される。

  18. 瞳孔径の調節に関与している脳神経は __________ である。

  19. __________ は顔面の知覚を伝える。

  20. 三叉神経は __________ に分布し、咀嚼や咬合に関与している。

  21. __________ 神経は表情筋と眼輪筋を支配している。

  22. __________ 神経は唾液腺(耳下腺)を支配している。

  23. 内耳神経のうち __________ は聴覚に関係する。

  24. 内耳神経のうち __________ は平衡感覚に関係する。

  25. 脳神経のうち自律神経系を支配しているのは、動眼神経、顔面神経、舌咽神経、 __________ 神経である。

  26. __________ 神経は舌の前2/3の味覚を司っている。

  27. 副神経は __________ と僧帽筋や一部の喉頭筋を支配しており、肩の挙上運動、 __________ の運動を司っている。

  28. __________ 神経は舌を前方に動かす神経である。

  29. 脊髄神経は __________ 神経8対、胸神経 __________ 対、腰神経 __________ 対、仙骨神経 __________ 対、尾骨神経 __________ 対の計31対からなる。

  30. 脊髄の損傷の障害の高さを知るためには、感覚神経の分布( __________ )を頼りに行うことが多い。

  31. 錐体路は __________ で交叉する。

  32. 自律神経は __________ を維持している。

  33. 交感神経の神経終末における伝達物質は __________ である。

  34. 副交感神経の神経終末における伝達物質は __________ である。

  35. 脳の酸素消費量は __________ ml/100g脳/分で、これは全身の酸素消費量の約 __________ %を占める。

  36. 脳血流は約 __________ ml/分で、全身の血流量(すなわち心拍出量)の __________ %に相当する。


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解答

  1. 神経は中枢神経、末梢神経からなる。

  2. 神経膠細胞には、中枢神経では星状膠細胞(アストログリア)や希突起細胞(オリゴデンドログリア)、末梢神経ではシュワン細胞がある。

  3. 神経細胞が集まっているところを灰白質、神経線維の集まっているところを白質という。

  4. 中枢神経は脊髄に分けられる。

  5. シナプス伝達は方向性である。

  6. 大脳半球は前頭葉頭頂葉後頭葉側頭葉に大きくわけられる。

  7. 脳は大脳、間脳、脳幹小脳の4つに区分される。

  8. 大脳表面には中心溝(ローランド溝)、外側溝(シルビウス裂)、頭頂後頭溝という深い脳溝がある。

  9. ブローカー中枢の障害によって運動性失語症を示す。

  10. ウェルニッケ中枢の障害によって感覚性失語症を示す。

  11. 中脳、橋、延髄を総称して脳幹という。

  12. 運動性失語症は、話言葉は理解できるが、ぎこちない話し方になる。

  13. 優位半球の頭頂葉の障害では、ゲルストマン徴候が見られる。

  14. 小脳虫部が傷害されるとめまいや歩行障害が出現する。

  15. 髄膜は外側から、硬膜くも膜軟膜がある。

  16. 頭蓋骨を骨折し硬膜の血管が損傷すると、頭蓋骨と硬膜の間に出血する急性硬膜外血腫となる。

  17. 脳脊髄液は脈絡叢で生産される。

  18. 瞳孔径の調節に関与している脳神経は動眼神経である。

  19. 三叉神経は顔面の知覚を伝える。

  20. 三叉神経は咀嚼筋に分布し、咀嚼や咬合に関与している。

  21. 顔面神経は表情筋と眼輪筋を支配している。

  22. 舌咽神経は唾液腺(耳下腺)を支配している。

  23. 内耳神経のうち蝸牛神経は聴覚に関係する。

  24. 内耳神経のうち前庭神経は平衡感覚に関係する。

  25. 脳神経のうち自律神経系を支配しているのは、動眼神経、顔面神経、舌咽神経、迷走神経である。

  26. 顔面神経は舌の前2/3の味覚を司っている。

  27. 副神経は胸鎖乳突筋と僧帽筋や一部の喉頭筋を支配しており、肩の挙上運動、肩甲骨の運動を司っている。

  28. 舌下神経は舌を前方に動かす神経である。

  29. 脊髄神経は神経8対、胸神経12対、腰神経5対、仙骨神経5対、尾骨神経1対の計31対からなる。

  30. 脊髄の損傷の障害の高さを知るためには、感覚神経の分布(デルマトーム)を頼りに行うことが多い。

  31. 錐体路は延髄で交叉する。

  32. 自律神経は**恒常性(ホメオスターシス)**を維持している。

  33. 交感神経の神経終末における伝達物質はノルアドレナリンである。

  34. 副交感神経の神経終末における伝達物質はアセチルコリンである。

  35. 脳の酸素消費量は3ml/100g脳/分で、これは全身の酸素消費量の約20%を占める。

  36. 脳血流は約750ml/分で、全身の血流量(すなわち心拍出量)の12.5%に相当する。



練習問題

問題 1

中枢神経に含まれるのはどれですか?
A) 三叉神経
B) 腰神経
C) 小脳
D) 顔面神経
E) 副神経

答え: C) 小脳


問題 2

運動性失語症を引き起こす原因はどれですか?
A) 頭頂葉の障害
B) ウェルニッケ中枢の障害
C) ブローカー中枢の障害
D) 小脳虫部の障害
E) 脳幹の障害

答え: C) ブローカー中枢の障害


問題 3

交感神経の神経終末における伝達物質はどれですか?
A) ドーパミン
B) アセチルコリン
C) セロトニン
D) ノルアドレナリン
E) グルタミン酸

答え: D) ノルアドレナリン


問題 4

脳の酸素消費量は全身の酸素消費量の何%を占めるか?
A) 10%
B) 15%
C) 20%
D) 25%
E) 30%

答え: C) 20%


問題 5

脳神経のうち自律神経系を支配している神経はどれですか?
A) 三叉神経
B) 舌咽神経
C) 内耳神経
D) 副神経
E) 舌下神経

答え: B) 舌咽神経


問題 6

脳脊髄液はどこで生産されるか?
A) 延髄
B) 中脳
C) 大脳皮質
D) 脈絡叢
E) 頭頂葉

答え: D) 脈絡叢


問題 7

顔面の知覚を伝える神経はどれですか?
A) 舌咽神経
B) 動眼神経
C) 三叉神経
D) 顔面神経
E) 副神経

答え: C) 三叉神経


問題 8

感覚性失語症はどの中枢の障害によって引き起こされるか?
A) ブローカー中枢
B) 頭頂葉
C) 小脳虫部
D) ウェルニッケ中枢
E) 延髄

答え: D) ウェルニッケ中枢


問題 9

脊髄神経は全部で何対あるか?
A) 28対
B) 30対
C) 31対
D) 33対
E) 35対

答え: C) 31対


問題 10

瞳孔径の調節に関与している脳神経はどれですか?
A) 舌下神経
B) 動眼神経
C) 顔面神経
D) 副神経
E) 三叉神経

答え: B) 動眼神経


問題 11

脳表面の深い溝のうち、外側溝の別名は何ですか?
A) ローランド溝
B) シルビウス裂
C) 頭頂後頭溝
D) 側頭溝
E) 中心溝

答え: B) シルビウス裂


問題 12

小脳虫部の障害によって現れる症状はどれですか?
A) 言語障害
B) 聴覚障害
C) めまいや歩行障害
D) 視覚障害
E) 味覚障害

答え: C) めまいや歩行障害


問題 13

脳血流は毎分何mlか?
A) 500ml
B) 600ml
C) 750ml
D) 850ml
E) 1000ml

答え: C) 750ml


問題 14

脳幹に含まれない部位はどれですか?
A) 橋
B) 延髄
C) 間脳
D) 中脳
E) 脳幹はすべて含む

答え: C) 間脳


問題 15

表情筋と眼輪筋を支配する神経はどれですか?
A) 舌咽神経
B) 副神経
C) 顔面神経
D) 動眼神経
E) 三叉神経

答え: C) 顔面神経


問題 16

脳の酸素消費量は100g脳あたり何ml/分か?
A) 2ml
B) 3ml
C) 5ml
D) 7ml
E) 10ml

答え: B) 3ml


問題 17

恒常性(ホメオスターシス)を維持しているのはどれですか?
A) 中枢神経
B) 自律神経
C) 感覚神経
D) 運動神経
E) 末梢神経

答え: B) 自律神経


問題 18

錐体路はどこで交叉するか?
A) 橋
B) 延髄
C) 脳幹
D) 小脳
E) 脊髄

答え: B) 延髄


問題 19

脳の構成に含まれない部位はどれですか?
A) 大脳
B) 脳幹
C) 小脳
D) 間脳
E) 錐体路

答え: E) 錐体路


問題 20

舌を前方に動かす神経はどれですか?
A) 舌咽神経
B) 副神経
C) 顔面神経
D) 舌下神経
E) 三叉神経

答え: D) 舌下神経

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「聴いて学ぶ」救急救命士標準テキスト

06_神経系
 ①音声解説
 ②聞き流し1問1答

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