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29_呼吸不全・心不全【救急救命士国家試験対策】


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国家試験定期試験出題内容のまとめ

【呼吸不全・心不全】

1. 呼吸不全

  • 呼吸不全の定義: 肺でのガス交換障害により組織が正常に機能できない状態。

    • 急性呼吸不全: 発症1ヶ月以内。

    • 慢性呼吸不全: 1ヶ月以上持続。

  • 低酸素血症: PaO2が60mmHg以下。原因は低換気、肺障害、酸素消費の増大。

  • 高二酸化炭素血症: PaCO2が46mmHg以上。肺胞低換気、死腔換気の増加、CO2産生の増加が原因。

  • CO2ナルコーシス: 高二酸化炭素血症により意識障害をきたす状態。

  • 換気と血流のバランス: 肺でのガス交換効率は換気量と血流量のバランスが重要。

  • シャント: 肺でガス交換を受けない血流が増えるとPaO2が低下。

  • COPD: 肺胞壁が破壊され、ガス交換面積が減少。

  • 換気機能障害:

    • 閉塞性換気障害: 呼気流量が低下(例: COPD)。

    • 拘束性換気障害: 肺活量の減少(例: 間質性肺炎)。

    • 混合性換気障害: 閉塞性と拘束性が両方存在。

2. 心不全

  • 心不全の定義: 心臓が全身に十分な血液を送り出せない状態。

  • 左心不全: 左心房、肺静脈、肺毛細血管の圧上昇が原因で肺うっ血をきたし、呼吸器症状が出現。

  • 右心不全: 右室梗塞、肺血栓塞栓症、ARDSが原因。頸静脈怒張などが見られる。

  • 心収縮力: 心収縮力の低下により血圧低下。前負荷、後負荷、心収縮力によって1回拍出量が決まる。

  • 心拍出量の決定要因: 1回拍出量と心拍数の積。

  • 心筋炎: コクサッキーウイルスなどの感染による。

  • 肥大型心筋症: 収縮性は保たれるが拡張障害が生じる。

  • 拡張型心筋症: 心収縮力の低下により心不全を引き起こす。

  • 高心拍出性心不全: 敗血症、貧血、甲状腺機能亢進症、脚気、動静脈瘻などが原因。

  • 急性右心不全の原因: 右室梗塞、肺血栓塞栓症、ARDS。

  • 成人の1回拍出量: 左心系、右心系ともに70mL程度。

3. ショックと関連

  • 心収縮力低下の代償: 頸動脈洞と大動脈弓の圧受容体が感知し、交感神経を緊張させる。

  • 塩分・水分摂取制限: 我が国で心不全増悪の原因となる。


問題

  1. 呼吸不全とは、________機能障害のために肺でのガス交換が障害され、生体の組織が正常な機能を営めない状態である。

  2. 急性呼吸不全は呼吸不全が急激に発症し、発症________以内の状態をさす。

  3. 慢性呼吸不全は、呼吸不全が________以上持続する状態である。

  4. PaO2が異常に低い状態を________という。PaO2値________mmHg以下をさす。

  5. 低酸素血症の原因は________、肺障害、酸素消費量の著しい増大である。

  6. 急性呼吸不全の原因疾患として________、気胸、気管支喘息発作、肺炎、肺水腫(心不全など)が代表的である。

  7. 慢性呼吸不全の原因疾患として________「COPD」、肺結核後遺症、間質性肺炎、肺癌、気管支拡張症が代表的である。

  8. チアノーゼは________によるもの(中枢性チアノーゼ)と末梢循環障害によるもの(末梢性チアノーゼ)がある。

  9. 中枢性チアノーゼは________や口腔粘膜でも認められる。

  10. PaCO2が異常に高い状態を________という。PaCO2値________mmHg以上をさす。

  11. 高二酸化炭素血症の原因は________、死腔換気の増加、二酸化炭素産生の増加などである。

  12. 高二酸化炭素血症により意識障害をきたした状態を________という。

  13. 個々の肺胞におけるガス交換の効率は、________と血流量のバランスが保たれているときにもっともよい。

  14. 肺でガス交換を受けない血流を________といい、シャントのうち肺内で生じるものを「肺内シャント」という。

  15. 肺内シャントの増加とPaO2の________はほぼ比例する。

  16. 二酸化炭素が肺間質を拡散する能力は________の________倍である。

  17. COPDでは肺胞壁が破壊され、ガス交換の行なわれる________が狭くなる。

  18. 肺換気機能障害は________、拘束性換気障害、混合性換気障害の3つに分類される。

  19. 閉塞性換気障害は、________が低下する病態で息が吐きにくく、呼気が延長する。

  20. 拘束性換気障害は、________の減少をきたす病態で、肺、胸郭、呼吸筋のいずれかが障害される。

  21. 混合性換気障害は、閉塞性換気障害と________が存在する状態である。

  22. 僧帽弁狭窄症では、左房圧の上昇により________、肺毛細血管圧が上昇し、左心不全をきたす。

  23. 心収縮力の低下によって生じた血圧低下は、頸動脈洞と________の圧受容体に感知され延髄の血管運動中枢を介して交感神経を緊張させる。

  24. 心不全では________が増大する。

  25. 1回拍出量は________、心収縮力、後負荷によって決まり、心拍出量は1回拍出量と________の積で求められる。

  26. 心筋炎は、________などの感染によるものが多い。

  27. 肥大型心筋症では、ある程度まで________は保たれるが、拡張障害が起こる。

  28. 拡張型心筋症では心収縮力の低下によって________が起こる。

  29. 左心不全による肺うっ血の原因になるのは________、肺静脈、肺毛細血管の圧の上昇である。

  30. 成人の1回拍出量では左心系、右心系とも________mL程度である。

  31. 左心不全では________をきたしやすいことから、呼吸器系の症状が出現する。

  32. 急性右心不全の原因には________、肺血栓塞栓症、急性呼吸促迫症候群(ARDS)などがある。

  33. 敗血症、高度の貧血、________、脚気、動静脈瘻などは、高心拍出性心不全になる。

  34. 心不全の増悪因子において我が国では________・水分摂取制限の不徹底が多い。

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解答

  1. 呼吸不全とは、呼吸機能障害のために肺でのガス交換が障害され、生体の組織が正常な機能を営めない状態である。

  2. 急性呼吸不全は呼吸不全が急激に発症し、発症1ヶ月以内の状態をさす。

  3. 慢性呼吸不全は、呼吸不全が1ヶ月以上持続する状態である。

  4. PaO2が異常に低い状態を低酸素血症という。PaO2値60mmHg以下をさす。

  5. 低酸素血症の原因は低換気、肺障害、酸素消費量の著しい増大である。

  6. 急性呼吸不全の原因疾患として肺血栓塞栓症、気胸、気管支喘息発作、肺炎、肺水腫(心不全など)が代表的である。

  7. 慢性呼吸不全の原因疾患として慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺結核後遺症、間質性肺炎、肺癌、気管支拡張症が代表的である。

  8. チアノーゼは低酸素血症によるもの(中枢性チアノーゼ)と末梢循環障害によるもの(末梢性チアノーゼ)がある。

  9. 中枢性チアノーゼはや口腔粘膜でも認められる。

  10. PaCO2が異常に高い状態を高二酸化炭素血症という。PaCO2値46mmHg以上をさす。

  11. 高二酸化炭素血症の原因は肺胞低換気、死腔換気の増加、二酸化炭素産生の増加などである。

  12. 高二酸化炭素血症により意識障害をきたした状態をCO2ナルコーシスという。

  13. 個々の肺胞におけるガス交換の効率は、換気量と血流量のバランスが保たれているときにもっともよい。

  14. 肺でガス交換を受けない血流をシャントといい、シャントのうち肺内で生じるものを「肺内シャント」という。

  15. 肺内シャントの増加とPaO2の低下はほぼ比例する。

  16. 二酸化炭素が肺間質を拡散する能力は酸素20倍である。

  17. COPDでは肺胞壁が破壊され、ガス交換の行なわれる面積が狭くなる。

  18. 肺換気機能障害は閉塞性換気障害、拘束性換気障害、混合性換気障害の3つに分類される。

  19. 閉塞性換気障害は、呼気流量が低下する病態で息が吐きにくく、呼気が延長する。

  20. 拘束性換気障害は、肺活量の減少をきたす病態で、肺、胸郭、呼吸筋のいずれかが障害される。

  21. 混合性換気障害は、閉塞性換気障害と拘束性換気障害が存在する状態である。

  22. 僧帽弁狭窄症では、左房圧の上昇により肺動脈、肺毛細血管圧が上昇し、左心不全をきたす。

  23. 心収縮力の低下によって生じた血圧低下は、頸動脈洞と大動脈弓の圧受容体に感知され延髄の血管運動中枢を介して交感神経を緊張させる。

  24. 心不全では前負荷が増大する。

  25. 1回拍出量は前負荷、心収縮力、後負荷によって決まり、心拍出量は1回拍出量と心拍数の積で求められる。

  26. 心筋炎は、コクサッキーウイルスなどの感染によるものが多い。

  27. 肥大型心筋症では、ある程度まで収縮性は保たれるが、拡張障害が起こる。

  28. 拡張型心筋症では心収縮力の低下によって心不全が起こる。

  29. 左心不全による肺うっ血の原因になるのは左心房、肺静脈、肺毛細血管の圧の上昇である。

  30. 成人の1回拍出量では左心系、右心系とも70mL程度である。

  31. 左心不全では肺うっ血をきたしやすいことから、呼吸器系の症状が出現する。

  32. 急性右心不全の原因には右室梗塞、肺血栓塞栓症、急性呼吸促迫症候群(ARDS)などがある。

  33. 敗血症、高度の貧血、甲状腺機能亢進症、脚気、動静脈瘻などは、高心拍出性心不全になる。

  34. 心不全の増悪因子において我が国では塩分・水分摂取制限の不徹底が多い。



練習問題

問題1
呼吸不全とは何が障害されることで起こるか?
A) 呼吸機能
B) 消化機能
C) 循環機能
D) 免疫機能
E) 神経機能

答え: A) 呼吸機能


問題2
急性呼吸不全とは発症からどのくらいの期間を指すか?
A) 1日以内
B) 1週間以内
C) 1ヶ月以内
D) 3ヶ月以内
E) 6ヶ月以内

答え: C) 1ヶ月以内


問題3
PaO2値が60mmHg以下の状態を何と呼ぶか?
A) 高二酸化炭素血症
B) 低酸素血症
C) 呼吸性アルカローシス
D) 呼吸性アシドーシス
E) 高酸素血症

答え: B) 低酸素血症


問題4
急性呼吸不全の原因疾患として代表的でないものはどれか?
A) 肺血栓塞栓症
B) 気胸
C) 気管支喘息発作
D) 肺炎
E) 慢性閉塞性肺疾患(COPD)

答え: E) 慢性閉塞性肺疾患(COPD)


問題5
中枢性チアノーゼはどこで認められるか?
A) 胸部
B) 腹部
C) 舌や口腔粘膜
D) 足裏
E) 手掌

答え: C) 舌や口腔粘膜


問題6
PaCO2が46mmHg以上の状態を何と呼ぶか?
A) 高酸素血症
B) 低酸素血症
C) 高二酸化炭素血症
D) 呼吸性アルカローシス
E) 呼吸性アシドーシス

答え: C) 高二酸化炭素血症


問題7
高二酸化炭素血症により意識障害をきたした状態を何と呼ぶか?
A) CO2ナルコーシス
B) 高酸素症
C) 低酸素症
D) 高血圧症
E) 中枢性チアノーゼ

答え: A) CO2ナルコーシス


問題8
肺でガス交換を受けない血流を何と呼ぶか?
A) 肺塞栓
B) 血栓
C) シャント
D) 血行再開
E) 酸素化

答え: C) シャント


問題9
二酸化炭素が肺間質を拡散する能力は酸素の何倍か?
A) 2倍
B) 5倍
C) 10倍
D) 20倍
E) 50倍

答え: D) 20倍


問題10
慢性呼吸不全の原因疾患として代表的でないものはどれか?
A) 慢性閉塞性肺疾患(COPD)
B) 肺結核後遺症
C) 間質性肺炎
D) 自然気胸
E) 気管支拡張症

答え: D) 自然気胸


問題11
COPDではどの部分が破壊されることでガス交換面積が狭くなるか?
A) 気管
B) 肺胞壁
C) 肺静脈
D) 動脈
E) 肺毛細血管

答え: B) 肺胞壁


問題12
閉塞性換気障害において低下するのはどれか?
A) 吸気流量
B) 呼気流量
C) 肺活量
D) 血流量
E) 酸素飽和度

答え: B) 呼気流量


問題13
拘束性換気障害において減少するのはどれか?
A) 呼気流量
B) 吸気量
C) 肺活量
D) 血流量
E) 二酸化炭素飽和度

答え: C) 肺活量


問題14
僧帽弁狭窄症により上昇するのはどれか?
A) 肺動脈圧
B) 腹部血管圧
C) 肝臓静脈圧
D) 心房圧
E) 動脈血圧

答え: A) 肺動脈圧


問題15
心不全では何が増大するか?
A) 後負荷
B) 前負荷
C) 心拍数
D) 動脈圧
E) 肺活量

答え: B) 前負荷


問題16
1回拍出量は何によって決まるか?
A) 心拍数と前負荷
B) 心拍数と後負荷
C) 心収縮力、前負荷、後負荷
D) 動脈圧、心拍数、後負荷
E) 血流量、肺活量、後負荷

答え: C) 心収縮力、前負荷、後負荷


問題17
心筋炎の原因として多いものはどれか?
A) ウイルス感染
B) 細菌感染
C) 血栓
D) アレルギー
E) 神経障害

答え: A) ウイルス感染


問題18
拡張型心筋症ではどのような状態が起こるか?
A) 心筋肥大
B) 血流増加
C) 心収縮力の低下
D) 呼吸量増加
E) 動脈圧低下

答え: C) 心収縮力の低下


問題19
急性右心不全の原因として代表的でないものはどれか?
A) 右室梗塞
B) 肺血栓塞栓症
C) ARDS
D) 肺炎
E) 心筋炎

答え: D) 肺炎


問題20
心不全の増悪因子として我が国で多いのは何か?
A) 運動不足
B) 水分・塩分摂取制限の不徹底
C) 睡眠不足
D) 高血圧の管理不良
E) 喫煙

答え: B) 水分・塩分摂取制限の不徹底

参考文献:救急救命士標準テキスト



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「聴いて学ぶ」救急救命士標準テキスト

29_呼吸不全・心不全
 ①音声解説
 ②聞き流し1問1答

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