春名風花さんのAO入試に関するTweetに対しての私感

こんばんは!パラダイムの代表さときです。

今日ははるかぜちゃんこと春名風花さんがAO入試に対してTweetしたことに関して僕の個人的な感想を述べます。

未来を生きる若者のひとりとして、ポートフォリオとAO入試の拡大に反対します。学力以外で華やかなアピールポイントをたくさんつくることが出来るのは、主に富裕層の子供たちです。貧困家庭で放課後に家事を手伝っているような子供には、大人ウケするボランティアや社会参加をする余裕などありません。

上記のTweetですね。

貧困問題、AO・推薦入試どちらも関わっている僕としては反応せずにはいられませんでした。

このTweetについて僕もTwitter上で感想をかんたんに述べました。

はるかぜちゃんの意見、僕はとても的確なことを言い得てると感じました。僕はこれまで何名もAO入試で合格者を輩出してきましたが、はるかぜちゃんの言うように、合格者の大半は中流家庭以上で、留学経験があったり、国や県の大規模なプログラムに参加できるような学生ばかりです。しかし、貧困家庭にに生まれ育った子どもだからこそ、このAO入試を上手く活用する必要があると思っています。なぜなら、貧困家庭に生まれ育った子どもは学力を伴っていないことも多いからです。僕が子どもの貧困問題に興味を持つようになったきっかけの生徒もそんな感じでした。その子は、推薦入試で看護の学校に行けたのですが、一般入試だとまず受からなかったことでしょう。たしかにはるかぜちゃんの不安視している部分は、常に付き纏うとは思います。ですが、何も華やかなアピールをしていく旧帝大クラスや早慶にチャレンジする必要はなく、貧困家庭に生まれ育った子は地方国公立大学や中堅私立大学クラスから進学していくことが大切だと思っています。まずは大学に進学し、大卒の肩書を持って就職すること。これが貧困を脱する堅実な方法かと思います。このクラスの大学であれば大きな活動歴はいらず、自分自身をしっかりと自己主張できれば十分に合格できるはずです。華やかな経歴を持ってないことを恥じることはなく、家事手伝いをしていることを誇りを持ってアピールすることが大切かなと。貧困家庭の子どもであれば、塾に通えず学力の面で標準家庭の子より劣っていることも多いと思います。しかし、それをカバーできるのがAO入試のはずなので、僕はむしろ地方国公立大学レベルはAO入試の拡大を目指すべきかと考えています。後は、しっかりとした志望理由と面接、小論文を上達させれば、どんな子でも夢を掴むチャンスがあるはずです!

Twitterでは簡易的にしか述べることができなかったので、noteでもう少し深堀りしていこうと思います。

はるかぜちゃんのTweetは的確な指摘

Tweetでも述べたのですが、僕は春名風花さんの指摘は的確であると感じます。

批判的な意見もかなり多いらしいのですが、教育者の誰しもが指摘していないところに切り込む姿勢に僕は感銘を受けました。

これまで僕は大学受験予備校にて進路アドバイザーとして約5年間勤め、AO入試の対策業務も行っていました。

推薦入試も含めるともう何名合格させたか覚えてないぐらいは、受験生と関わっていると思います。

そんな僕が春名風花さんの言っていることは真実だと思ったのです。

実際、AO入試や推薦入試を受験する受験生の大半が中流家庭以上の子どもで普通の高校生ではできないような体験を多くしています。

例えば、留学経験があったり、県のプログラムによるリーダー研修や企業の研修を受けていたりします。他にも強豪校の部活に所属していたり、ボーイスカウト・ガールスカウトに入っていたりと高校生の段階で輝かしい経歴を持っている子が大半です。

これらの体験はある程度お金がある家庭の子でなければ受けることはできません。

県の事業によって無料のものもあるのですが、私費で参加している子も多くいました。

そして、春名風花さんによればそもそもお金があろうかがなかろうが、貧困家庭の子どもは放課後に家事を手伝ったりしているので、ボランティアなどに社会参加できる余裕はないとのことです。

これに関しては時間の使い方に関する問題なので、一概に賛成とはいえないのですが、華々しい実績をつくることができるのは中流家庭以上であるのは言い得ているかなと思います。

東大や京大などの旧帝大クラス、早慶レベルのハイレベルな大学はそのような実績を持った受験生を求めています。

春名風花さんは、AO入試が拡大することによって、格差が拡大するのでは?という懸念をしているように思えました。

貧困家庭の子どもにとってAO入試は不利なのか?

先程僕は春名風花さんの言っていることはもっともだと言いました。

しかし、AO入試拡大は貧困家庭の子どもにとってもチャンスだと思っています。

理由としては、そもそも貧困家庭の子どもは学力で大学に行けない可能性も十分に孕んでいるためです。

僕がNPO法人パラダイムを立ち上げて貧困問題を解決しようと思い立ったきっかけの生徒がそんな感じでした。

詳しくはパラダイムのオウンドメディアサイトのプロフィールをご覧ください。

端的に言うと、くみさん(仮名)というギャルみたいな母子家庭で育った子が看護師になりたいということで、僕が勤める塾に入って来たっていう話ですね。

くみさん(仮名)は、学力が低いというよりは今まで勉強をほとんどしたことがなかった子で、とても大学に行けるような高校生ではありませんでした。

しかし、彼女は推薦入試で沖縄県内の看護専門学校に合格しました。

この時は推薦入試という制度があって本当に良かったと思えた時でした。

これはくみさん(仮名)に限った話ではなく、貧困家庭全般に共通する問題です。

貧困であるがゆえに、小学生・中学生の時期に塾に通わせることができず、学力が低いまま成長していくということです。

個人的には、学力を上げることに塾は必須ではないと思ってはいるのですが、文部科学省などの調査によると中学3年生の通塾率は約60%らしく、もはや塾に通うのが当たり前かのようになっています。

このことから、貧困であることと学力には少なからず相関関係があると考えて良いでしょう。

貧困家庭の子は、学力もなく輝かしい経歴もない。

このような状況でどうやって進学するのでしょう?

おおよその進路先は高卒で就職・アルバイトするか、専門学校に進学するかの2択ですが、専門学校もタダではないので、本当にお金の無い家庭の子は労働します。

そしてその子はまた貧困家庭を築いてしまうという負の連鎖が「子どもの貧困」と呼ばれています。

僕はこの連鎖を断ち切るためには、大学への進学が一番堅実な道だと思います。

現代社会であれば、大卒の肩書はある程度の就職先を確保してくれ、安定した給与を得ることができます。

ところが、その大学に進学するには学力がないといけません。

そのため、僕は貧困家庭の子どもだからこそ、AO入試や推薦入試を活用するべきだと思っています。

くみさん(仮名)の指導経験から、まるでビリギャルのように学力を劇的に向上させることは無理だと判断しました。

そのため、自分自身をアピールして合格できるAO入試や推薦入試の方がまだチャンスがあると確信しています。

春名風花さんの言うように、華々しい実績をつくることはできないかもしれません。

しかし、そんな実績がなくとも受け入れてくれる大学は山程あるのです。

地方国公立大学や中堅私立大学から這い上がることのススメ

春名風花さんが恐れてる格差とは、お金持ちの子が良い社会経験をして、その実績を引っさげて大学に合格し、さらに裕福な家庭を築いていくという資本主義のお手本のような構造だと思います。

しかし、貧困家庭の子どもはそんな構造に無理に食い込む必要はありません。というか無理です。

東大や京大、早慶などハイレベルな大学を狙うのではなく、地方国公立大学や中堅私立大学など堅実な大学に進学し、コツコツ努力を積み重ねて貧困を脱することそれがまずはゴールだと思います。

地方国公立大学や中堅私立大学であれば、特別すごい実績は入りません。

地方の進学校でない、普通レベル以下の高校や商業高校や工業高校からでも進学できるチャンスがあります。

例えば、僕が住んでいる沖縄県にある琉球大学や山口大学、茨城大学、弘前大学などが地方国公立大学に当たります。

中堅私立大学でいえば、日本大学や京都産業大学、東洋大学などですね。私立大学は本当に山のように存在します。

これらの大学に進学するにあたって学力はそこそこ求められるのですが、AO・推薦入試は比較的ハードルは低いと考えて良いでしょう。

学内評定が4.3以上あれば学内推薦される資格があり、後は志望理由と自己PRがしっかりとできればまず間違いなく他の受験生と平等な勝負ができます。

何とか頑張って大学に進学した後、ある程度の企業に就職できれば、貧困の連鎖から脱することができるのではないでしょうか?

AO入試は貧困から脱するためのツール

上記のように春名風花さんがTweetした内容に共感する一方で、貧困家庭の子はAO入試をむしろ活用するべきでは?というのが僕の意見です。

春名風花さんの意見は、AO入試は素晴らしい実績がないと合格できないという前提知識の錯誤からきているものだとは思います。

しかし、このnoteの読者の皆さんにはAO入試や推薦入試というのは、素晴らしい実績がなくとも合格できるということを知って欲しいです。もちろん、大学のレベル等あるのですが、少なくとも地方国公立大学クラスでは部活に入っている程度の活動歴でも十分に合格できます。

大切なのは、活動歴ではなく将来に対するヴィジョンや自分自身をアピールする力だったりします。

その力があれば裕福な家庭の子でもそうでない家庭の子でも誰でも合格できるチャンスがあります。

そういった意味でAO入試という制度は、貧困家庭の子にとっては現状を打破するためのツールであるのです。そのツールを有効活用する必要があります。

なので、家庭の家事手伝いがあっても腐らず勉強は続けるべきですし、社会参加はしていくべきです。華やかな実績はなくとも、身近なボランティアに参加するだけでもコツコツと積み上げることはできます。

そうすることで、大学への合格をより一層近づけることができます。

春名風花さんのTweetは、批判的な意見が多いらしく誠に残念ですが、僕は学力(学歴)と貧困問題の関連性について問題提起した勇気ある発言だったと思います。

このnoteを読んでくださった皆様も貧困問題に関心を寄せていただければ幸いです。

ここまで読んでいただきありがとうございました。



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