儚く。華麗に。
私の名前は小坂菜緒。高校2年生。
私には好きな人がいる。私と同じ高校2年生で幼馴染
名前は高橋〇〇。中学2年生の時に1度告白をした。
中学2年生の時の12月。 少し雪が降っていた。
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菜緒:なぁ、〇〇。あのさ…
この日は2人でイルミネーションに行っていた。
幸い人は少なく、2人で電車に揺られ、家路についたとき、私は告白した。
〇〇:どうした?
菜緒:うちと付き合って欲しい。
〇〇は少し考えた後、何か哀しげな表情をして、私に言った。
〇〇:ごめん…
正直、振られるとは思ってなかった。
その一言を聞いた途端、世界から色がなくなっていくのが分かった。
〇〇は何かを私に言おうとしたが、その言葉がわたしに届くことは無かった。
足早に〇〇の前から去り、家まで駆けた。
あの日から2週間は何も手につかなかった。
菜緒:はぁ...なんでなん...
〇〇のことを忘れようとしても、忘れることが出来ない。目には涙が溢れてくる。時間だけが過ぎてゆく。
それから1年後、私は進路を決めなければならなかった。どの高校にも行こうと思えない。そんな中、〇〇が、日向高校へ行くという話を耳にした。
その話を聞くと、私の胸が何故か高鳴った。
私は気付く。私は〇〇のことがまだ好きなんだという事を。
でも、日向高校というのは私の今の頭では少し厳しい。それでも、〇〇のためと思うと頑張れる気がした。
それから私は勉強に励んだ。苦しくて、辛くて、何度も投げだしそうになった。
受験当日、会場の中に入り、自分の席がどこかを探していると不意に〇〇と目が合った。すると〇〇は優しく微笑んだ。
合格発表の日、私は少し震えながら自分の番号を見たに行った。
しっかりと確認をする。周りには泣いている人もいる
ずっと見ていくと、
菜緒:あった...
安堵と、〇〇と同じ学校に行けるという喜びが入り交じった感覚だった。
合格発表の日の夜、〇〇からメッセージが届いた。
(〇〇):どうだった?俺は受かってたよ
急な事だったので、なんて返せば良いのかわからず、
(菜緒):私も受かってた
なんていう、在り来りな返信をした
(〇〇):これからも一緒の学校だな
(菜緒):そうだね笑
「なんでいきなり?」なんてことは聞くことも出来ず、メッセージは終わりを迎えた。
入学式の日、クラスの割り振を見てみると、〇〇とは離れた。これが良い事だったのか、悪い事だったのかは分からないまま1年が過ぎた。
高校2年生になり、クラス替えが行われると、〇〇と同じクラスになった。
でも、話しかけようにも話しかけられず、クラス替えから2ヶ月がたとうとしていた時、〇〇が話しかけてきた。
〇〇:よっ、菜緒。久しぶりだな!
菜緒:久しぶり...
〇〇:元気だったか?
菜緒:まあ...なんとか元気かな笑
〇〇:?そっか。まあよろしくな
菜緒:うん
高校入学後、初めての会話は何と言うか、味気のないものだった。
大きな変化もないまま更に2ヶ月が経ち、現在に至る
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菜緒:今日は雨か 傘も持ってきてへんしなぁ
ちょっと教室戻ろっかなぁ
教室に行くと、〇〇が居た。
教室に入り、席に着くと、〇〇と目が合い、すぐに逸らした。
しばらく沈黙が続く。教室内には2人だけ。
雨の音がよく響いていた。
しばらく本を読んでいると、〇〇によって沈黙は破られる。
〇〇:なあ、菜緒
菜緒:何?
〇〇:あの時のこと、まだ恨んでる?
菜緒:そんなわけないやん なんで私が〇〇を恨むんよ
〇〇:いや、なんか怒ってたように見えてたから。。
菜緒:はぁ... 〇〇は女の子に対する配慮はないんか?笑
〇〇:悪い...
菜緒:許さへん...
〇〇:いやそこは、許す流れだろ!笑
菜緒:ふふっ笑、変わらへんなぁ〇〇は
〇〇:褒めてる?それ
菜緒:任せる笑
話してるうちに自然と笑いが増えてくる。
菜緒:1つ質問してええ?
〇〇:うん
菜緒:〇〇は気まずさとかないん?
〇〇は少し間をあけ、私に言う
〇〇:そりゃあるよ
菜緒:へ?
思わず腑抜けた声が出る
菜緒:じゃあなんで話しかけてくんねん
〇〇はまた、少し小声で
〇〇:菜緒が俺にとって大切な存在だから、かな?
顔が赤くなっていくのがわかる。熱くもなっていく
菜緒:な、なんで私が大切なんよ
〇〇:菜緒が世界で唯一の幼馴染だからだよ。
菜緒:じゃ、じゃあ...なんであの時、、私を振ったんよ...
目には涙が少し浮かぶ。ここで泣いてしまっては〇〇に申し訳ないと思い必死に堪える。
〇〇:それは...高校が別々になるのが怖かったんだよ...
私は少し困惑した。何故?という気持ちが溢れてくる。
〇〇:もしさ、あの時、俺が「いいよ」って言ってたら多分、菜緒は日向高校に入れてないよ笑
菜緒:は、はぁ!?なんでやねん!
〇〇:だって菜緒、付き合ったらずっと遊びそうじゃん笑
菜緒:...っ!
少しギクリとする。
〇〇:それにさ、俺が日向高校に行くって、誰から聞いた?
菜緒:えっと...確か... あっ、せや、金村さんと宮田さんの会話の中で聞いたわ。それがどしたん?
〇〇:それ、僕の作戦ね
菜緒:は?どーゆーこと?
〇〇:僕が金村さんと宮田さんに、「菜緒に僕が日向高校行くってことを遠回しで伝えといて」って言ったの。
菜緒:それなら直接言ってくれたらええやん
〇〇:いや、言おうとしたよ?ていうか1回言ったよ?
菜緒:なっ!?いつ!?
〇〇:僕が菜緒振った日
菜緒:そんなん聞いてへんし!
〇〇:言ってる途中で急に走り出して帰ったんじゃん
菜緒:あ…あのぉ...それは...ちゃうやん?
〇〇:話は戻すけど、要するに2人で日向高校に行くために振ったって訳、分かる?
菜緒:納得出来るかぁ!!!!
そんな会話を続けてるなか、下校のチャイムが鳴る
〇菜:あっ...
〇〇:だいぶ話してたんだね
菜緒:せやなぁ、帰ろか
雨はすっかり止んでいて、街は少し影に包まれ始めていた。
菜緒:な、なぁ
〇〇:ん?
菜緒:一緒に帰らへん?
〇〇:もちろん
2人は門を出て、家までの道を歩く。
道の途中、2人は他愛もない話を続ける。
しばらく歩いた後、〇〇は菜緒に言う
〇〇:ちょっと公園行かない?
菜緒:え?別にええけど
〇〇:ちょっと話したい
菜緒:わかった
誰もいない公園に着くと、2人はブランコに座る。
〇〇:僕さ、ずっと怖かった。
菜緒:なんで?
〇〇:菜緒が僕の前から居なくなるんじゃないかって。日向高校に来てくれないかもしれない。
もう会えなくなるんじゃないかって、振った日から何回も考えた。
菜緒:…。
〇〇:でも、今こうして僕の目の前に菜緒がいる。
日向高校を一緒に受けてくれた。本当にありが...
菜緒:ありがとう言うのは私の方やで?
私は〇〇の言葉を遮るように言う。
菜緒:〇〇がおらへんかったら、私はここにおらへんもん!私だって怖かったよ!
菜緒:〇〇が居なくなるんじゃないかって、私だって考えた!でも、〇〇のおらん人生なんか考えられへんから…
私は秘めていた思いを解き放った。
〇〇:菜緒…
菜緒:それに...私は...まだ〇〇のことが好きやねんから.
思いを全て伝えなければ、後悔するような気がした。
〇〇:菜緒。僕も菜緒がいない人生なんか考えれなかった。だからさ、今度は僕から言わせてよ笑
菜緒:うん...
〇〇:ずっと菜緒の事が好きだった。優しいところも、自分に厳しいところも、少し勉強が苦手なところも、友達思いなところも、全部が好きだから、
「僕と付き合ってくれませんか?」
菜緒:はい!よろしくお願いします!
菜緒は涙ながらに言う。
幸せの涙。安堵の涙。
2つの感情の涙が同時に溢れる
〇〇:よ、よかったぁ
菜緒:もう...遅いねん...
〇〇:ごめんやん笑
2人の話が公園内に響く。
しばらく公園に居たあと、帰路につくことにした。
帰る途中で、
菜緒:〇〇はいつから私の事好きやったん?
〇〇:んーとね、覚えてない笑
菜緒:なんでやねん!
〇〇:逆に菜緒は覚えてんの?
菜緒:えーっとね、幼稚園の時から!
〇〇:え、そーだったの、、
菜緒:は!?気づいてなかったん!?
〇〇:何にさ
菜緒:私が〇〇のこと好きだってこと
〇〇:いやぁ、気づいてないですねぇ
菜緒:私がバカみたいやん…
〇〇:え?菜緒はバk…
菜緒:は?
〇〇:はい。なんでもないです
そんな話をしているうちに菜緒の家の前に着く。
菜緒:今日はありがとさんやで
〇〇:うん、こっちこそありがとう
菜緒:これからもずーっと、よろしくな?
〇〇:もちろん、絶対離さないよ
菜緒:少し目瞑って?
〇〇:わかった
そうすると、菜緒は〇〇の頬にキスをした。
菜緒:大好きやでっ!
〇〇:お、おう//
菜緒はそう言うと家の中に帰って行った。
家に帰り、自分の部屋に入った菜緒は、
菜緒:〇〇にキスしてもうた//
1人で照れていた。
一方〇〇は、
〇〇:菜緒に、、、キス、、、され、た。
突然の出来事に呆然としていた。
雪のように儚く、華やかな私の恋。
こんな日常がいつまでも続きますように。
儚く。華麗に。
──完──
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