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灯りのように 音楽を


世界は常に

光と音に満ちている けれど



甘えたり怒ったり毎日響く鳴き声

尻尾を振り近付いてくる足音

安らかな寝息 時々寝言吠え

今は 何も聞こえない

静かな部屋は虚ろで

明かりを付けても淋しい

16年一緒に居た仔が死んだ現実を

無音が突き付ける



行き交う人の波と街の喧騒を抜け入った

地下に造られたジャズクラブ

ライトに照らされたステージから

奏でられる音楽と共に

空が放たれる

広がる青は眩しくも快く

仔を見送った日に見上げた青と重なり

沁みた


ライブ終了のアナウンスが流れ

一旦席に着こうとして 体が崩れた

-帰るといつも散歩をせがんだ仔の不在を

思い出すや足下に真っ暗な穴が開く

音無く広がる其れから離れようと

耳に残る音を綱代わりに立ち上がり

店を出る

穴の気配を引き摺りながら



外は色とりどりの照明に溢れ

見上げる夜空に星の輝きは探せず

曖昧なざわめきが流れ続ける中

想うのは 煌めきに満ちた店でのひととき

彼等は楽器等と共に音を楽しく操り

観客と踊り笑い遊ぶ

振り上げた右腕に残る熱を抱え

歩き出す


先を行きながらも時折振り向く仔と

懐中電灯を照らし一緒に歩いた夜道を

思い出しながら ひとり歩く

付きまとい続ける穴に気を付けて



虚ろな心に熱い息吹を

淋しさは喜びに包まれ

青空の下 遊ぼと手を差し出す

迎え入れるみたいに

不確かな世界を照らす灯りのように

音楽を 響かせて


今回は玉砕したて作品(笑) 今年4月から5月の出来事を交差してます。半年経ってもまだ穴の気配はあり、ライブ-音楽で今も気がもっている現状です。ただお寺でエリさん-犬の名前-を見送って家に帰ると、夏ライブの先行予約DM来たタイミングはホント、不思議で。ひと月経ってないのに動いて観たのが詩に書いた名古屋ブルーノートの、でした。
エリさんは二年介護をし16歳を迎える前になくなりました。女名ですが雄です。散歩が好きで朝夕夜3時間回り、ライブ前に歩いても終わって帰ると深夜でも散歩をせがみ疲労を感じながらも一緒に歩きました。倒れてからは寝たきりになり歩けなかったのは、悔しい、つまらなかった、と思ってます。介護も手探りで本当にこれでよかったのか、もっといい方法があったかも、と今も考えます…。考え出すと後悔でぐるぐるするばかり、エリさんのことは今回はここまでで。又書いたら語ります。
話し変わりますが、詩の最後の連をちょいと語ります。そもそもタイトルはライブレポートを書いていた時締めになんと書こうと思ってたら、深夜2時ぽんと湧いたのがこの言葉で、同時にこれをタイトルにして詩を書こうと決めたのです。詩でもこれをゴールに定め組んで、最後の連で「熱い」の先にどんな言葉をと考えてたらこれもぽんと「息吹」が来て、ダメだこりゃに。後はいかに「遊ぼ」を違和感なく組み込むかになってしまいました、と。ハイ、詩で遊びやした。だから玉砕したのかなぁ。…分からない方々へ。CASIOPEA3rdのオリジナルアルバムのタイトルを探してみてくださいまし。
まあ今回のを二年振りに書き上げ、書く喜びやらライブの楽しさを伝えたいという昔の動機やらを思い出しまして、の今でもあったりします。書くのが又止まったら私はどうなるでしょなぁ。今はともかく湧く限り書きます。