マガジンのカバー画像

活字中毒者の偏愛読書日記

3
心動かされた本のエッセンスをお裾分け。ハマったらしつこい方です。何度も何度も何度も読み返します。
運営しているクリエイター

記事一覧

人は皮膚から癒される-1

衣食住に困らない。映画、音楽、アート、スポーツ、楽しい娯楽がたくさんある。大好きな人に、いつでもどこでも繋がれる。選択肢は無数にあって、自分の人生を自由にデザインしてゆける。 現代の満ち足りた生活。 なのにときどき、行き止まりに来てしまったような、一人ぼっちのような、どうしようもない息苦しさを感じることはないですか? 私はありました。あります。そういうときは波が過ぎるのをじっと待ちます(待ち切れずに手軽な快感に手を出すときもあります)。 我慢できないので自慢してしまい

イスラム流 幸せな生き方

今までぼんやりとイメージしていたイスラム像が、ことごとく覆った。 ×テロや過激なことをする排他的な集団 ○「常識ハズレの親切さ」を持つ人たち ×厳しい戒律に則った禁欲的な生活 ○ハタから見たら日本人よりゆるいかもしれない 特に印象深かったのはイスラム女性の在り方。 女性の抑圧だと見られがちなスカーフを巻く習慣や、あらゆる場所なされる男女隔離は、実は女性を保護するためのもの。イスラム社会で男女の待遇に差があるのは事実。でもそれは女性蔑視ではなくて、女性を優遇する社会だか

マチネの終わりに

こんなにのめり込んだ小説は久しぶり。一語一句取り零したくなくて、舐めるように読んだ。登場人物の口を借りて出る著者の言葉がいちいち胸に刺さる。息苦しさを感じた。でも読んだ。一度読んで、すぐにもう一度読み始めた。 すごい熱量でこの本と対話したから、30冊くらい読んだような気分。 読書が好きなのはどうして?「マチネの終わりに」の主人公2人にはそれぞれ実在のモデルがいるが、作者曰く、2人の現実に差し障りのない程度に設定を変更している。 というのも、 彼らの生を暴露することが目

¥100