鳥取の旅のこと①

先月末、鳥取に行ってきた。鳥取行きを決めたのは、その2週間くらいまえで、ぽっと予定が空いて、『なんかもうここで行かないといけない気がする』と思って急いで予定を組んだ。

飛行機から鳥取の土地が見えた。あたりまえだけどなんか横に長い。あと黄色いなと思った。きれいな黄色。飛行機を降りてバスに乗る。やっぱり土地も空気も黄色のイメージ。

旅のコースはだいたいぜんぶ、ウナカメイネルのオーナーのまるさんに聞いた。行く前にまるさんが東京に来てたから「どこ行ったらいいかなぁ」って訊いたら、それはそれはいろんな場所を教えてくれた。「だんなしにここのコーヒーがおすすめだよ」とか「本が好きならここ見てみるといいよ」とか。わたしたちはまるさんのことをとても尊敬していて、まるさんがいる鳥取を見てみたいと思ったのがこの旅のきっかけだ。そして教えてもらった場所をなるべく漏れなく見て感じてみたいなと思った。

バスに乗って目指したのは倉吉。『夜長茶廊』というカレー屋さんがあるらしい。バスを降りて、またバスに乗って、地図を見ながら向かった。

お店について一息。わたしはバターチキンカレーとチキンカレーの、チキンチキンな2種類を頼んだ。カレーが来る前に、瓶に入った二種類のアチャールがどんどんっとテーブルに置かれた。ひとつはすごく辛くて、もうひとつは辛くないらしい。ほどなくしてカレーが到着。バターチキンカレーのバターがすごく濃くておいしかった。食べたときは、おーうまい!うまい!とがつがつたいらげたんだけど、数週間たった今、あの濃厚なバターの味が恋しくてたまらない。後で知ることなのだけれど、鳥取は乳製品がおいしいらしい。あとアチャールがたまらなくおいしかった。辛くないほうの瓶をふたりでひと瓶食べきりそうになった。辛いほうはけっこう辛くて、パパドに乗っけて食べると、刺激的なスナック菓子みたいで楽しかった。

夜長茶廊を出て、駅に向かうバスが来るまでしばらく時間があったので、周辺を散策。いいかんじの駄菓子屋を見つけた。わたしは駄菓子屋が大好きだ。昔からある変わらないおもちゃ箱みたいだから。駄菓子屋に入ると、駄菓子屋のおばちゃんが『どこから来たの?』と聞いてくれた。『東京から来た』というと、ごはんは食べたか?とか楽しんで、とか、言ってくれた。

バスにのんびり乗って、駅で乗り継いで、miepump coffee shopを目指す。ミエポンプは、田んぼの真ん中にあった。向かうまでの景色も、お店の窓から見える景色も、天国みたいだった。ほんとうは自分たちは生きていなくて、なんだか魂だけでその場所にいるみたいな。魂だけになって、ネルドリップしている光景をぼんやりと眺める。魂だけになってコーヒーをとチーズケーキを頂く。コーヒーが喉を伝っていったあと、胸のまんなかだけぽっと明るく照らされるようなかんじ。

実は旅に出る日の朝までわたしは、しょうもないことをクサクサと悩んでいたんだけれど、この景色を見て、魂だけになって、こんなにおいしいコーヒーを頂いてしまったら、いろんなことがどうでもよくなった。

そのあとも田んぼの道をずーっと歩いて行って、バスを待る。鳥取に向かうのに、由良駅から行ったほうが早そうだったのでそちらに行ってみる。コナンと写真撮ったりして遊んだ。

汽車に乗って1時間ほどで、鳥取駅に到着。まるさんとまるさんの奥様と合流して、お寿司屋「北海道」へ。鳥取なのに北海道なお寿司屋さん、とても楽しみにしていました。ネタが大きくて新鮮。ここぞとばかりに大好きな最高においしいサーモンをばくばく食べた。たまごがちょっとびっくりするくらい大きい。あとソフトクリームがすごいおいしかった。やっぱりさすが乳製品。

ごはんのあとはお風呂屋さんに案内してもらった。銭湯の使い方がまったくわからないわたしたちに、番台のおばあちゃんは親切にしてくれた。シャワーから出てくるお湯も温泉でびっくりした。このお風呂のおかげか、冬になると出てくる、東京にいる間はずっと痒かった蕁麻疹が鳥取にいる間は出なかった。

鳥取は、雨が降ったり、やんだりする。この日も、ぱぁっと晴れてるときと、雨のときとあった。でもそれがすごくいいんだ。