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【酔っ払い失敗談】ここで泥酔するなんて……!義実家への結婚挨拶編

わたしは初めての人と飲むと、必ず泥酔する。

もともと人見知りで、気を使う性格なので初対面となると緊張してしまうのだ。緊張するとどうなるか。そりゃあもうどうにかその状況を打破しようとお酒を飲む。飲んで飲んで、気づいたらリミッターを外して飲み続けて潰れるのだ。

そんな自分の性質を知ってはいても、まさか「その時」泥酔するなんて思ってもいなかった。「○○さんと結婚させていただきます」という義実家への挨拶、その時に……

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初めて彼の実家に行く。それは誰がどう考えても一大イベントだ。ましてやそれが「わたしたち結婚するつもりです」なんて時には自分をよく見せようとう気持ちが働くのは至極当然のことだと思う。

その日、わたしは朝から緊張していた。買ったばかりのワインピースを「ちょっと丈が短かったかな?」なんて気にしながら、一番好印象を与えそうなイヤリングをつけ、ぼあぼあしたパーマ髪をひとつにまとめた。

彼は「気を使わないでいいよ。いつものままでいればいい」といってくれていたが、そんな言葉を丸呑みにできるはずがない。「結婚 挨拶 好印象」なんて言葉を片っ端からググり、「結婚 挨拶 盛り上がる話題」などと予習を念入りに行った。

そして気合を入れ、いざ義実家へ

テーブルを囲んで夕方の早い時間から飲み会がはじまった。話には聞いていたが、彼の両親はとてもお酒を飲む。彼らはスイスイと顔色ひとつ変えずにグラスを空にしていった。わたしは「できる女」を装おうと試行錯誤するも、どれも空回り(得意)。用意してきた話をしようとするも空回り(得意 二度目)。「できる女」は途中で諦め、「飲める女」を見せようとした。お酒が好きなおうちでは、お酒が飲める女が好まれる(はずだ)。では見せてやろうではないか!わたしの実力を!そう咄嗟の判断をしたわたしは、目の前のグラスを空にすることに全力を捧げた。

ビール、日本酒、日本酒、ビール、ワイン、ビール……

途中、パンツの缶詰の話をしたことまでは覚えている。

なぜかパンツの缶詰の話になって、それが一体なんの話だったのかわからないのだけれど、とにかくその響きがおもしろくて爆笑していたのだ。

そして気づいたら朝だった。朝も朝で会社勤めだったら遅刻している時間だった。

朝早くに起きて「お義母さん、わたし朝食作り手伝いますよ!」なんてできる女アピールをしようと思っていたのに、もはやそんな次元の話ではなかった。ガバリと起き上がると、服は昨日のワンピースのまま。髪はぼっさぼさに乱れ、イヤリングは片方なくなっていた。

(時空の歪みに落ちた!!!)

昨日飲み始めたのは16時くらいで、たくさん飲んだといっても数時間だったのに、いまは太陽がさんさんと照り付ける時間だ。どう考えても時空の歪みに落ちたとしか考えられない。もしくは宇宙人に連れ去られ、タイムスリップしてズレた時間に戻されたか……じゃないと昨日のわたしが泥酔して眠り込んだことになってしまう。

「ちょっと!起きて!わたしに記憶をください!!!」

横で寝ている彼を揺り起こすと「……大丈夫だよ。どんまい」と言い、細い目をまた閉じて眠りへと落ちていった。

「なにが大丈夫か!!!」

気持ちよさそうに眠る彼の頬をつねる。泥酔したのは自分なのに、完全に八つ当たりだ。

あぁ神様、できることなら昨晩に時間を戻してください……静かに手を合わせてみるも、昨日に戻ったとしたとして、どう考えても泥酔しないイメージを描くことができなかった。

(あぁ、一体どうやって言い訳しようか)

そんなことを考えるものの、脳はまだたっぷりとアルコールを含んでいてどうにも眠たい。

(あと少し寝て、スッキリしたら解決策を考えよう)

わたしは再び布団に潜り込み、静かに目を閉じた。

ちなみに次に目が覚めるのは、お昼ご飯の時間である。



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