98&97本目「クラユカバ」「クラメルカガリ」【ネタバレなし】
※本文は全て無料です。
※再上映の日本同時上映につき、今回は省エネで。
映画についての基本情報
クラユカバ
公開日:2024/4/12(観に行ったのは再上映)
監督:塚原重義(日本)
クラメルカガリ
公開日:2024/4/12(観に行ったのは再上映)
監督:塚原重義(日本)
まえがき
近頃、アニメを観ていない。とこの映画の封切り当時からずっと思ってる。
7月からの「異世界スーサイドスクワッド」も結局途中で放置してるし。
嘗てはいっぱしの「アニメオタク」だったはずなのに、どうしてこうなった。まぁ、それはどうでもようござんす。
重要なのは、封切り当時の4月からずっと、「アニメを観ることを再開させねば」という危機感チックなものを抱えていたということなのだ。
そして、今回紹介する二作はアニメを観るリハビリ候補でありながら当時は予定が合わず見送ったのであった。それを改めて観に行く。
なぜこの二作に目つけたのか。
それは「クラメルカガリ」の方に理由がある。
私はいっぱしの「アニメオタク」だったとさっきは書いたが、そもそものオタクルーツはライトノベルにあるのだ。小学6年で隣のクラスのT君に「まぶらほ ~にんげんの巻~」を借りて以来、大学出るまでライトノベルは主要な趣味の一つであり続けた。今でもちょいちょい読む。
自然、「好きなライトノベル作家」ってのが出てくる。
その一人が成田良悟である。ガイ・リッチー映画の影響が強い群像劇、複雑な時間の交差と一見関係なさそうな人たちが最終的に集う作風が特徴の、今となっては大御所作家である。バッカーノの続編まだか?
その成田良悟が「クラメルカガリ」の原作小説を書いているのである。
それだけ。そう、それだけの理由であった。文字数を使いすぎ…。
「クラメルカガリ」はどうも外典、本編は「クラユカバ」の方らしい。
ならばいっちょ、両方観たるけんの!というわけであったとさ。
感想など
※上映時間の都合により、観た順番は「クラメルカガリ」→「クラユカバ」
クラユカバ
うーん。雑さを感じる。
ビジュアルは良い。好み。
「クラメルカガリ」よりもダークで外連味があって。
より「活動寫眞」っぽさを出してる。広告映画みたいなシーンも入れて。
サイレント風味にしたりもして。
しかし、話がよろしくない。
これはもう、いろんなクリエイターに言いたいのだが、
「別の理由でそこにいた主人公に、たまたまあった過去の因縁が事件のカギ」って筋書きは全く説得力がないよ。
「過去の因縁」に絡んだ理由でその場にいたのなら分かるけど、今回のは違うじゃん。ただ女の子助けに来たら、実は自分の過去と係わりが…って、「偶然」としか言えない。強引すぎるよ。
それともう一点。
続編や過去作での補完を意識したのか知らないけど、あまりにも情報の欠落が多すぎる。上映後の舞台あいさつだけでも、「観てるだけでは知りようのない背景」が次々出てくる。多少はいいよ。でも、主要登場の立場とか、意味深に何回も挿入されるカットの意味とか、そんなのは謎のままにしておいちゃダメでしょう。
一本の映画として完成してないと思った。
クラメルカガリ
「クラユカバ」は監督オリジナルだが、こちらには先述の成田良悟がかかわってくる。というわけで成田節炸裂。
…と言いたいところだが、ちょーっと肩透かし感。
成田作品の良さって、出てくるすべての人物が一つの事件に密接に関わって最後に結実するところなんだけど、本作はあんまりちゃんと関われてない人物がいる。具体的には軍人と飴屋。この二人のシーンだけ、裏で進行してる事件と関係が薄すぎてダレる。
ビジュアルや空気感については監督のこだわりが光ってる。これは「クラユカバ」と同じだが、こっちはより趣味的かも。「売(ばい。商売の意味)」なんて音だけで判別できる現代人は少なかろう。
あと、成田作品のオマージュキャラは結構露骨。
「情報屋の伊勢屋」はどう見ても「折原臨也」だし、「栄和島」も「平和島静雄」だ。ファンサーヴィスなのだろうけど、監督のこだわりが強い世界観の中にあってはちょっと違う気もする。
ペーパーお勧め度
「クラユカバ」が★1、「クラメルカガリ」が★3。
監督のビジュアルへのこだわりや世界観の作りこみは分かるのだが、それをストーリーに十分反映できてる感じがしない。
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