ユーザーにとっての価値とビジネスとどちらを優先するべきか
先日のイベントで、プロダクトマネジメントにおいて「ユーザーにとっての価値とビジネスとどちらを優先するべきか。ユーザー価値よりビジネスを優先させるステークホルダーとどう付き合っていくべきか」といった質問を頂いた。
「退会の導線をあえてわかりにくくして、離脱防止を画策する」といった施策が、具体的な一例として添えられていた。
・ユーザーとビジネスの価値、それぞれにおいて意見を徹底的に交わす。
・たとえビジネスが選択されるとしてもユーザーの価値について主張を行うべき(そうした意見がなかったことにされるため)。
・ユーザーとビジネスの2項対立ではなく「プロダクトの価値」に視座を昇華させて議論する。
といった見解が他の登壇者から述べられて、いずれももっともな内容だった。
退会の導線の件は見解が偏りやすい例としても、確かにビジネスとユーザーの2つの観点は直交することがある。ビジネス的な結果がでなければプロダクトが継続できない。当然、短期的な収益をあげることも必要にはなる。という前提を置いた上で、ユーザー価値を優先するべきという立ち位置を私も取る。何のためにプロダクトを作るのか?を突き詰めると、ユーザーにしか辿り着かないからだ。
それよりも「ユーザー価値よりビジネスを優先させるステークホルダーとどう付き合っていくべきか」というサブの質問のほうが気になった。ご質問を寄せられたのは、きっと真面目な方なのだろう。
私が言ったのは「ほうっておけ」だった。
真剣にユーザーとビジネスの価値について検討した上で、なおもユーザーサイドとビジネスサイドで衝突が予想されるならば、放っておく。その課題が重要であれば、おそらくステークホルダー側が怒りだすに違いない。そうでなければ、まさしく放っておけば良い。大した課題では無かったのだ。そんなことは意外とよくある。
そんなの火に油を注ぐことになるじゃないかって?
既にユーザーとビジネスの価値について十分に検討しているならば、あなたは相手との議論で理路整然と自分の見解を述べられるはずだ。そこから、
・ユーザーとビジネスの価値、それぞれにおいて意見を徹底的に交わす。
・たとえビジネスが選択されるとしてもユーザーの価値について主張を行うべき(そうした意見がなかったことにされるため)。
・ユーザーとビジネスの2項対立ではなく「プロダクトの価値」に視座を昇華させて議論する。
存分に話し合えば良い。ユーザー価値を主張しても、受けいれられない可能性があるので黙っていた、ということも伝えたら良い。沈黙自体がメッセージなのだ。
そもそも、こうした衝突となる事態への想像や、相手の見解を無視して自分の意見をただ通せば良いという関係者には、プロダクトマネジメントの勘所が無いと言わざるを得ない。プロダクト作りとは、「ひとのときを想う」を積み重ねてなんぼなのだから。
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